紫苑の始まり

学生時代を思い出して始めた写真撮影、 動かなくなり始めた指で遊んでいるゲーム、 ふと目…

紫苑の始まり

学生時代を思い出して始めた写真撮影、 動かなくなり始めた指で遊んでいるゲーム、 ふと目にとまった論文へのコメント、 退職した大学教員が作る徒然なるブログです。

マガジン

  • 社会科学のエッセイとレビュー

    社会科学、特に組織論とイノベーション論の分野のエッセイと論文レビューなどの記事

  • 写真と紀行

    日々持ち歩いているカメラで撮影した写真、お出かけした先での美しいと感じた風景の写真、旧宿場町の今、など写真と紀行のマガジンです。

最近の記事

研究的なシリーズエッセイ 『学習する社会』#3 イノベーションから学習へ(イノベーションについて)

イノベーションから学習へイノベーションと流行・普及 イノベーションのような変化が経営学において研究対象とされたのは、それほど古いことではない。経営学の原点は、科学的管理法と官僚制の議論に求められる。人々の行動を組織的に管理できると考え、組織的行動における安定性に言及している基礎的な考え方である。現在でも、安定性を追求することは重要である。未だに科学的管理法の中核である時間研究や動作研究が行われていない業界や会社は少なくない。そうした業界や会社で科学的管理法を取り入れると、大

    • 論文レビュー #2 林徹「差異への対処: フォレットとバーナードの比較」を読んで

      友人からの紹介で、林徹「差異への対処: フォレットとバーナードの比較」(経営学史学会編『現代資本主義のゆくえと経営』経営学史学会年報 第31輯、2024年5月、pp.103-114)を読んだ。私なりのコメントを記しておきたい。なお、私はバーナードの著書『経営者の役割』は読んだことがあるが、フォレットの著書は読んだことがないので、学説史として内容に踏み込んだコメントではなく、この論文の記述内容に限定してコメントしたい。 論文の内容 この論文が掲載されている雑誌からわかるよう

      • 中山道「関ケ原宿」の今。おいしい醤油に出会いました。

        江戸と京都を結んだ五街道の一つ中山道の美濃16宿、その西から二番目の「関ケ原宿」を訪ねました。天下分け目の戦いで有名なように戦国時代の史跡はもちろん、壬申の乱の史跡などが随所にありました。ただ、今回は中山道沿いを歩きましたので、戦国時代の史跡はほぼ訪れませんでした。現在もなお交通の結節点で、国道21号線(旧中山道)と国道365号線(旧北国街道)の交差点を通過する車列は途切れることはありませんでした。とは言え、一歩幹線道路を外れれば、人通りもまばらなほのぼのとした田舎の街が広が

        • 研究的なシリーズエッセイ 『学習する社会』#2 イノベーションから学習へ(「当たり前」について)

          イノベーションから学習へ久しぶりに東京から次男が帰ってくるという。夜行バスが到着した早朝、地下鉄に乗ると連絡をしてきた。最寄り駅の前面道路はそれほど広くなく一方通行で、通行方向に向かって右側に駅舎、左側にコンビニなどが並んでいる。そのため送迎の車は道路の右側に停車しているのが常であった。しかしその日の朝は道路の左側に停車している車があった。右側停車と左側停車が混在すると停車できる台数が少なくなるので迷惑であった。しかし、日本では車が左側に停車することが当たり前である。文句をい

        研究的なシリーズエッセイ 『学習する社会』#3 イノベーションから学習へ(イノベーションについて)

        • 論文レビュー #2 林徹「差異への対処: フォレットとバーナードの比較」を読んで

        • 中山道「関ケ原宿」の今。おいしい醤油に出会いました。

        • 研究的なシリーズエッセイ 『学習する社会』#2 イノベーションから学習へ(「当たり前」について)

        マガジン

        • 社会科学のエッセイとレビュー
          6本
        • 写真と紀行
          5本

        記事

          研究的なシリーズエッセイ 『学習する社会』#1 シリーズエッセイを始めます

          シリーズエッセイを始めるにあたって 日常生活では、ほとんどの物事を「当たり前」として、その「当たり前」を強固だと思っている。しかし、「当たり前」は意外にあやふやで、局所的である。当たり前としての「常」は最初から「常」ではない。最初は「異」であったものが「常」に変化し、「常」が「常」である範囲も変化する。 例えば、半世紀近く前の1979年に発売されたウォークマンは、いつでもどこでも私だけでテープに記録した音楽を楽しむ環境を始めて提供した。その後、記録媒体はテープからMD、

          研究的なシリーズエッセイ 『学習する社会』#1 シリーズエッセイを始めます

          実証重視の社会科学の将来に対する危惧 ~組織論・イノベーション論分野を中核として~ #1

          大学を退職して、研究の一線からは身を引いた研究者として、最近の組織論やイノベーション論の研究の在り方について危惧を抱いています。いつの頃からかは判然としませんが、経営学会や組織学会などの組織論やイノベーション論の研究が発表される主要学会では実証が重視されるようになってきました。実証は重要ですが、重要視しすぎる風潮、実証しておけば良いという風潮は社会科学分野の研究や学問をゆがめるような気がします。 理論と実証 例えば組織現象やイノベーションの発生・進行などを説明する理論が存

          実証重視の社会科学の将来に対する危惧 ~組織論・イノベーション論分野を中核として~ #1

          退職したらのんびりできると思っていた。・・・でも、想像以上に忙しくしてしまった。(プロフィールに代えて)

          大学を卒業して大学院に進学して以来40年以上、イノベーション論、コミュニケーション論、組織論の分野で研究に携わり、大学院修了後30数年間、愛知県下の大学で教育に携わってきました。退職前は管理職の立場にもなり、教育・研究に加えて校務にかかわる会議や判断業務も増加して、時間的にも精神的にも忙しい日々でした。 今年(2024年)3月に退職したのですが、そんな忙しい日々からは抜け出して、写真のように「退職後はのんびりしよう(できる)」と思っていました。ただ、老け込むつもりはないので

          退職したらのんびりできると思っていた。・・・でも、想像以上に忙しくしてしまった。(プロフィールに代えて)

          論文レビュー #1 加藤敬太「組織美学の生成と発展」を読んで

          友人からの紹介で、加藤敬太著「組織美学の生成と発展」(組織学会編『組織論レビューIV: マクロ組織と環境のダイナミクス』白桃書房、2022年10月、pp.181-200)を読んだ。私なりのコメントを記しておきたい。 論文の内容 加藤氏は「組織美学」と称される組織論の新しい視座について文献レビューという形で評価しようとしている。その内容は次のような 点に要約できる。 組織美学が組織文化研究の新たなパースペクティブであり、組織シンボリズム研究等で重要視されてきたアーティファ

          論文レビュー #1 加藤敬太「組織美学の生成と発展」を読んで

          中山道「今須宿」の今。「車返しの坂」と付けられた地名の背景は拍子抜け。

          江戸と京都を結んだ五街道の一つ、中山道には69の宿場があり、岐阜県には17の宿場があります。岐阜県の東の端にある「馬籠宿」が有名ですが、今回は西の端にある「今須宿」を訪ねました。馬籠宿までが木曽路で、それより西の16宿が美濃16宿と呼ばれます。今須宿は天下分け目の戦いで有名な関ケ原の西に位置しています。観光地というわけではありませんが、歴史を感じる史跡もあるほのぼのとした田舎の街でした。 歴史ある宿場 美濃16宿の中でも三番目の大きさだったという今須宿は、近江との国境でも

          中山道「今須宿」の今。「車返しの坂」と付けられた地名の背景は拍子抜け。

          一目百万本のツツジ! ツツジが満開の葛城高原は真っ赤に燃えていました。

          奈良県御所市の大和葛城山山頂付近にある自然ツツジ園に行ってきました。天気予報を見ながら予定を立てたのですが、残念ながら曇天でした。晴天時と比べて鮮やかさやコントラストが落ちている写真ですが、それでも十分にツツジが群生して、真っ赤に燃えている様子は伝わると思います。訪れた時はちょうど満開でした。 色々なツツジ 葛城高原に群生しているツツジの種類はコバノミツバツツジ・ミヤコツツジ・ヤマツツジ・レンゲツツジ・モチツツジなどです。多くは鮮やかな赤い花を咲かせるヤマツツジのようです

          一目百万本のツツジ! ツツジが満開の葛城高原は真っ赤に燃えていました。

          久々のFallout #1

          きっかけ AmazonでBethsdaゲームのFalloutが実写ドラマ化された。それに合わせて、Fallout4(FO4)の現世代機向け対応を含むアップデートが配信された。Fallout3(FO3)からすべてのシリーズをプレイしていたので、久々にFalloutの世界に入り込もうとFO4のアップデートをダウンロードした。ところが、かなりのmodがアップデートに対応できていないので、modを導入したプレイはまだ出来そうにない。Vanillaでも楽しめるけれど、modがアップデ

          久々のFallout #1

          独りよがりの写真展

          先日、名古屋市内をふらふらと散策しながら、気が向くままにスナップ写真を撮影してきました。特に美しいものをとろうとか考えずに、面白そうだなと感じたものを、その場で写真タイトルを考えながら撮影してみました。 (記事見出しの写真は「公園の樹」です。) 混雑する街中 解説をつけなければいけない写真は駄目だと思いますが、GW中に名城公園近くの金シャチ横町宗春ゾーンを散策していたら、昼食時よりも前にもかかわらずもうこんでいました。にもかかわらず、ぽっかりと空席のベンチ。ただそれだけで

          独りよがりの写真展

          霞間ヶ渓と粕川の桜

          一念発起 3月31日付けで退職し、写真部に在籍していた学生時代を思い出して写真を撮りに出歩くようになりました。学生時代に写真部だったからといって、芸術的な写真が撮れるわけではないのですが、カメラの性能が良いので綺麗な写真は撮れるようです。何回か出かけて写真は増えるのですが、誰に見せるでもないままでは一抹のさみしさもあります。私の写真が誰かの目にとまれば良いなと思い、一念発起、ブログを始めることにしました。 霞間ヶ渓を訪れる 4月2日に岐阜県西濃地方(濃尾平野の北西)の桜

          霞間ヶ渓と粕川の桜