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『過去から学ぶ我ら』~繰り返される過ち~子どもたちに贈るやさしいエッセイ 卒業生 長谷川 尚哉(はせがわ なおや)

宿題を忘れたくて忘れる子はいません。
でも、うっかり、そう!うっかり忘れてしまうのです。

では、忘れないようにするには、どうすればよいのでしょうか。
解決策はあるのでしょうか?

宿題をうっかり忘れてしまう、あなたの気持ちを少し楽にしてくれる「クスっと笑える」エッセイです。
ぜひ、ご覧ください。

リテラ「考える」国語の教室 卒業生 長谷川 尚哉 (はせがわ なおや)


学校に通っているとたまに宿題が出る。
出た宿題はメモしておいた方がいい。
絶対忘れるから。
想像してほしい。
一日を終え、風呂に入って歯を磨き、布団を敷いて、まさに、さあ寝るぞ、というときに思い出すのだ。
そういえば宿題が出ていたな、提出期限は明日だな、と。


このようなことを、わざわざ想像する必要のない人もたくさんいるだろう。
私もそうだ。
なぜなら我々はこのような事態は想像などしなくとも、ただ自分の体験を思い出せばいいのだから。
何回こんなことがあっただろうか、これは想像してみる必要がある。
なぜなら何度もありすぎて、具体的に何回あったかなど思い出せるはずがないからだ。
思いだ出せないものは想像してみるしかない。


人間は過去の失敗から学ぶことのできる生物である、という主張に対する反例はいくつか挙げられている。
その多くは社会や地球環境に対して人間がしてきたこと、今現在人間がしていることなのだが、我々の存在もこの議論において、それらの反例と同じ役割を果たすことができる。
我々は学ばない。
何度怒られても、どれだけ成績が下がっても宿題を忘れ続けてきた。
我々は、人間が過去の失敗から学ばないことの、最小単位の証拠なのである。
メモをした方がいいだなんて冒頭に書いたが、そんなものは助けにならない。
メモしたところで忘れるものは忘れるのだから。
というかメモしたことすら、なんならメモ帳の存在すら忘れるのだから。


などと思っていたのだが、実は多くの児童や、生徒、そして学生たちは我々ほど頻繁に宿題を忘れないらしい。
そして彼らに秘訣を聞くと、数名からはメモをしたらいいと返ってくる。
そしてまた別の数名は、真に驚くべきことだが、一度宿題を忘れて怒られて以来気を付けているから忘れない、などと言いうのだ。
どうやら人間は過去の失敗から学ぶことのできる生物らしい。
我々の方があまりに学ばないだけであったようだ。
同士諸君、メモ帳を買おう。
私も最近買った。
これで三冊目くらい。
前の二冊はなくした。

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