マガジンのカバー画像

きょうだい児に読んでほしいnote

13
「きょうだい児(精神疾患を抱える当事者のきょうだい)」の方に、とくに読んでほしいnoteを抜粋しました。
運営しているクリエイター

記事一覧

疎遠だった“きょうだい”からのSOS

少し前のことになりますが、「離れて暮らすきょうだいからSOSがあった。どうしたらよいか…」という相談が続きました。 相談者には、精神疾患を抱えるきょうだい(以下、本人)がいますが、適切な医療につながっていません。相談者は親の勧めもあって、実家から離れて暮らし、本人とも長く没交渉だと言います。 ところがその本人が、前触れもなく急に、相談者を訪ねてきたというのです。 このようなケースでは、本人が金銭トラブルや第三者とのトラブルなど、のっぴきならない問題を抱えていることがほと

♯038 将来を案じる“きょうだい”必見! この先ずっとモヤモヤを抱えないために、現実を直視しよう

昨年も、弊社には当事者の「きょうだい」からのご相談が多くありました。今まで本人の対応をとってきた親が高齢化し、家族の問題は、「きょうだい」へと、いよいよ代替わりを迎えています。 きょうだいが求める解決策「誰かに何とかしてもらいたい」はありえない!?これまでにも何度か書いてきたことですが、きょうだいの立場の相談者から寄せられる相談事例では、以下が特徴的です。 ・対象者(本人)と親が同居していていて、きょうだいは別居している ・今まで、本人対応は親が中心で、きょうだいは深く関

有料
660

精神科医療の理想と現実

最近、弊社に寄せられた同じような相談から、精神科医療の「理想」と「現実」について考える機会がありました。 相談者はいずれも本人のきょうだいです。本人は精神科に通院していますが、就労や作業所への通所など社会参加はできていません。親はすでに亡くなっており、きょうだいとも別居で一人暮らし。孤立した毎日の中、食事や保清もおろそかになりがちです。 「これまでも、状態が悪くなると1~3カ月間入院し、退院してはまた不規則な生活に戻り再入院……ということを繰り返してきました」と、きょうだ

家族(親)との距離感

コロナ禍により、「ソーシャルディスタンス」という言葉がすっかり生活の一部となりました。「3密を避ける」「人と接するときは距離を十分にとる」……、コンビニでの買い物一つとっても、人との距離感に注意を払うようになっています。 ところが自粛期間中、家庭内では、真逆の事態が起きることになりました。リモートワークやオンライン授業により、家族が揃って家にいる時間が増えたのです。今までにないほどの「家族密」です。 「家族との時間を思う存分にとれた」と喜ぶ方がいる一方で、想像以上にストレ

介護と障害のダブルケア

「実家に精神疾患(あるいはその疑い)のある当事者と高齢の親が同居しており、相談者であるきょうだいは自立している」という家族構成からの相談は年々、増加しており、今後も増えていくことが予測されます。 とくに、相談者(きょうだい)がさまざまな問題に直面するのが、親に介護が必要になったときです。 当事者が医療や福祉の支援につながっており、大きな問題なく日常生活が送れていたとしても、同居する親に介護が必要になれば、生活のバランスは崩れることになります。これまで当事者の生活を親が支え

♯026 きょうだいの問題を放置した結果、起こること

きょうだいの問題を放置した結果、本人も親も高齢化してしまい、切羽つまった他の子供たちからの相談が増えています。 このnoteでは、以下に当てはまる方に向けて、この先、現実的に起こりうることを述べてみたいと思います。 ・きょうだいに精神疾患の疑い(「長期ひきこもり」含む)があるが、精神科未受診である。 ・きょうだいが精神疾患だが(受診歴あり)、長く受療中断している。 つまり、本人(きょうだい)は、本来であれば、適切な治療や支援が必要でありながら、なんら対応がとれていないケ

有料
220

♯025 現実的な解決の視点とは? 家族の問題の「レベル」を認識する

弊社が介入した(もしくは相談に乗った)「家族の問題」において、一定の解決をみた家族の共通項を挙げてみます。 ①家族の中に、「判断力・決断力・行動力」のある人(キーマン)がいて、家族をまとめることができる(相談をしてきた人がキーマンとなる場合が多い)。 ②キーマンとなる人が、自分の家族の問題がどのレベルか、緊急性と難易度を理解できている。 長く問題を解決できていない親に足りないもの厳しいようですが、長期にわたり問題が解決していない(弊社がアドバイスをしても解決につながらない

有料
220

きょうだいの心構えと覚悟

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 昨年を振り返ってみると、 ① きょうだいからのご相談で、対象者(本人)が40~50代、問題が長期化しているケース ② 親御さんからのご相談で、対象者が10~20代前半、パーソナリティ障害、依存症、摂食障害などによる問題行動があるが、精神科では積極的に診てもらえないというケース が、以前にも増して多かったように思います。 今日は、①について考えてみます。この場合、「きょうだい自身がどのような立ち位置で相談

精神疾患と家族(きょうだいの関係)

押川の著書「子供の死を祈る親たち」でも引用していますが、社会福祉法人横浜博萌会 子どもの虹情報研修センターによる「「親子心中」に関する研究(2)」では、後半の講義録に、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦医師が登場し、自殺対策について述べています。その中に、以下のような記述があります。  三十代くらいの比較的若年者の自殺を見ると、「親が精神障害」「兄弟が精神障害」という人が目立ちました。実際に私が面接を担当した事例では、兄弟が精神障害で、親の関心がそっちば

♯020 きょうだいの確執が起きる家族背景

実家の資産や跡継ぎを巡ってのきょうだいのトラブルは、弊社にもよくある相談です。 昨年の12月、東京都江東区の富岡八幡宮で、元宮司の女性が弟に刺殺される事件が起きました。今年に入ってからも、5月には元千葉市議による妹一家殺傷、6月には、練炭自殺に見せかけて弟を殺害した容疑で姉が逮捕されるなど、事件が相次ぎました。 いずれも裁判が行われるまでは、事件の詳細な動機は分かりかねますが、弊社の経験上、「きょうだいに手をかける」にまで至る背景には、「親」や「実家」への執着があるこ

有料
220

♯007 きょうだい児の立場で、何をすべきか ③親は「心配ない」と言うけれど?

親の介護をどうするかは、今や社会問題となっていますが、実家に精神疾患(あるいはその疑いのある)きょうだいが同居しているとなると、さらに複雑な事態となることもあります。 親に介護が必要になったとき……想像してみよう 弊社に相談のあった事例として、「親に介護が必要な状況なのに、本人が(きょうだいを)自宅に入れてくれない」「訪問介護など第三者の訪問も、本人が拒否してしまう」「親は施設入所を望んでいるのに、本人が頑なに反対している」「(親が入院した際)親の主治医と本人が、治療方針に

有料
110

♯006 きょうだい児の立場で、何をすべきか ②親と腹を割って話し合う

これまでは漠然と「親が何とかするだろう」と考えてきましたが、親は高齢となり迅速には動けず、相談機関への説明さえ覚束なくなっています。親だけではどうにもならない状況にまで至ったからこそ、きょうだいにSOSが発せられたのだという現実を認識しましょう。 また、今になって親の本人対応の是非を指摘したところで、すでに修正がきかない状況であることは、傍目から見てもお分かりでしょう。親はもう、問題解決のための【キーパーソン】として動く機を逸しています。きょうだい自身が【キーパーソン】とな

有料
110

♯005 きょうだい児の立場で、何をすべきか ①現状を知る

親が、精神疾患(疑いを含む)のある子供(以下、本人)と同居しながら、適切な医療につなげられていないばかりか、親自身も健全な生活ができなくなっている……。本人の兄弟姉妹(以下、きょうだい)から、そのようなご相談を受ける機会が増えています。 家族の状況(よくある事例) そのうちに、親が何とかするはず!?きょうだいの中には、「親がそのうち何とかするだろう」という希望的観測のもと見て見ぬ振りをしている方もいます。しかし、親が倒れるなどいよいよの事態になってから動こうとするのでは、

有料
110