鎌田 恭幸(鎌倉投信 社長)

鎌倉投信株式会社 代表取締役社長 / 独自の視点で「いい会社」に厳選投資する公募投信「…

鎌田 恭幸(鎌倉投信 社長)

鎌倉投信株式会社 代表取締役社長 / 独自の視点で「いい会社」に厳選投資する公募投信「結い 2101」と、社会を創発するスタートアップを支援する有限責任投資事業組合(私募)「創発の莟(つぼみ)」を通じて、心豊かに成長できる社会に貢献することを目指しています。

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noteを始めるわけ

投資や資産運用に関する色々な思いをつづっていきます。 はじめまして。鎌田恭幸です。 大学卒業後、日系・外資系の金融機関で35年にわたり資産運用業務に携わってきました。2008年11月に鎌倉投信を設立し、創業当時から代表取締役社長として経営全般をみています。 鎌倉投信では、2010年3月から主として上場企業の株式を投資対象とした公募型の投資信託「結い2101(ゆいにいいちぜろいち)」の運用・販売(直販のみ)を開始しました。独自の視点で「いい会社」に投資し、その発展・成長を

    • 新著「社会をよくする投資入門」で伝えたかったこと

      お金をふやすことと「社会をよくする」ことは両立する将来が不安で、お金をふやすために投資をしようとしているのに、「社会をよくする」なんて、「そんなお人好しなことは言っていられない」と思う人が多いかもしれません。「社会をよくする」というと、お金をふやすことの反対にある「寄付」をイメージしたり、「経済的な利益が犠牲になりがちなのでは」と、疑問に思う人もいるでしょう。けっしてそうではありません。 お金をふやすことと「社会をよくする」ことは本来両立するのです。 「社会をよくする投

      • 新著「社会をよくする投資入門」の「はじめに」を全文公開します

        <章立て> 第1章 「社会をよくする投資」とは何か 第2章 リターンの大元は「事業」である 第3章 経済の海と金融クジラ 第4章 「欲望」が集まる金融市場の構造 第5章 投資の「新しい選択肢」 第6章 「社会をよくする投資」の実践 最終章 投資の先にどんな「10年後」を描くか ~はじめに~「『社会をよくする投資』なんて、きっと儲からないんだろう」 「自分の老後も不安なのに、『社会』なんて優先できない」 僕たちはいつも忙しく、自分のことで精一杯だ。どうすれば投資で儲かるか、手

        • 投資が社会を形づくるわけ

          資本主義はどこに向かうのか2022年、米国の日本銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたベン・バーナンキ氏ら3人がノーベル経済学賞に選ばれました。同氏の受賞は、1930年代の世界恐慌の研究から、銀行の経営破綻がいかに金融危機を深刻化させるかなどの分析が評価されたものです。 バーナンキ氏は、FRB議長在任中に起きた2008年のリーマンショックの時、この研究をもとに、事実上のゼロ金利政策の導入、米国債や住宅ローン担保証券をFRBが買いとるなど、市場に大量のマネーを供

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          静かに進む鎌倉投信の挑戦

          鎌倉投信が日本株にしか投資しない理由鎌倉投信は、いまのところ日本の会社にしか投資をしていません。その理由は、遠く離れた海外の会社を調査することの難しさもありますが、それ以上に、日本のポテンシャルを感じているからです。さらには、そのポテンシャルを伸ばし、日本を豊かな国にしていきたいと強く願っているからです。 日本の「いい会社」のなかには、日本のなかで新たな事業領域を創造したり、これから世界に展開できる会社は数多くあります。日本は、少子化や高齢化、医療や介護、教育、自然災害、

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          あなたは投資の先にどんな景色を見るか

          お金を増やすだけではなく、「自分にいい投資」とは鎌倉投信では、運用報告の一環として、様々な形で投資先のいい会社とお客様をつなぐ「場」を設けています。たとえば、投資先の経営者や社員にお客様の前で講演してもらったり、お客様と一緒に投資先を訪問する機会も多くあります。そのなかで、最も大きな取り組みが、年に一度、お客様、投資する会社が1000人規模で集う「場」、受益者総会®です。 金融商品は、着るものや食べるものと違って、すべてが数字で表現されるので、なかなか手触り感を持つことがで

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          Death Valleyのどん底で見た投資の風景

          東日本大震災に見た投資の風景大手の外資系運用会社を離れ、鎌倉投信を設立してからは、いろいろな想いをもった個人の投資家と関わる機会が随分と増えました。とにかく効率的に高いリターンを求める年金基金などの機関投資家と違い、個人の運用に対する考え方は幅広く柔軟です。そこから今まで考えたこともなかった投資の可能性に気づく瞬間がありました。そうした観点で僕自身に強い影響を与えた二つの出来事を紹介させてください。 一つは、東日本大震災の時に見た投資の風景でした。 2011年3月11日(

          Death Valleyのどん底で見た投資の風景

          「匠」の進化がもたらすもの

          1.鎌倉投信流「匠」の着眼点日本のモノづくりの代表的な会社といえば、トヨタ自動車や日立製作所などがすぐに頭に浮かぶでしょう。しかし、「結い 2101」の投資先は、どちらかというとそうした大手ではありません。この会社のこの技術がないとパソコンがつくれない、この会社のこの部品がないと携帯電話がつくれないといった、ニッチな分野で高い技術力や商品力を持つ会社に着目しています。こうした会社は、技術革新によって産業構造が変わったとしても必要不可欠な技術・部品を供給でき、価格競争力も高い傾

          「匠」の進化がもたらすもの

          「結い 2101」の投資の着眼点「共生」 ~自然・地球環境との対話~

          さて、前回のnoteでは、鎌倉投信が投資先として「いい会社」を選ぶときに着目している「人」「共生」「匠」の三つの要素のうち、「共生」について書きました。共生には、大きく「誰と共にいい社会をつくるか」という視点と、「自然・地球環境との対話」という視点とがあります。そのいずれも年を追うごとに重要性が増していることを実感しています。 今回は、「自然・地球環境との対話」について考えてみようと思います。 自然資本に対してお金を払う時代になった スイスに本部を置く民間のシンクタンク「

          「結い 2101」の投資の着眼点「共生」 ~自然・地球環境との対話~

          誰と共にいい社会をつくるか

          個社単体で成長する時代から共に価値を共創する時代に 「共生」を量る着眼点として、鎌倉投信は主に、「顧客・取引先」との関係、「地域社会」との関係、「自然・地球環境」との関係が重要だと考えてきました。10年前は、どちらかというと会社が、顧客や取引先、地域社会に一方的に貢献するという印象がありましたが、ここにきて価値を共創するパートナーといった関係に変わってきたように感じます。 会社と自然・地球環境との関係においては、単に地球に優しいでは済まされず、使用する自然資本をプラスに

          誰と共にいい社会をつくるか

          「いい会社」ってどんな会社?

          「いい会社」とは? 鎌倉投信が運用する公募型の投資信託「結い 2101(ゆいにいいちぜろいち)」では、独自の視点で「いい会社」に投資しています。「いい会社」とは、一言でいえば、本業を通じて社会に貢献する会社であり、会社に関る全ての人の幸福を追求しようと努力している会社です。 社会に貢献するとは、決して事業性や収益性を犠牲にするものではありません。社員の成長や社会をいかによくするといった視点を持つことは、付加価値を創造したり、新たな事業領域を発掘する上で欠かすことができな

          「いい会社」ってどんな会社?

          「いい会社」への投資がいい未来をつくるわけ

          なぜ日本の未来に希望を感じない人が多いのか 僕は、長年投資に関わる仕事をする中で、会社と投資、会社と金融との相互関係が、こうした状況を生み出してきたと感じています。一言でいえば、経済や社会の中核を担う会社やそれを支える金融が、人の“生きがい”や“働きがい”をつくってこれなかったのです。 日本では、1990年に不動産・金融バブルが崩壊して以降、金融機関は10年以上にわたって不良債権処理に追われ、存続をかけて合併を繰り返すなど、金融機能はマヒし続けました。新たな産業を喚起す

          「いい会社」への投資がいい未来をつくるわけ

          数字しか見ない投資の先に未来はあるか

          数字しか見ない投資の先に未来はあるか 正月に、僕の子供達と投資の話をする機会がありました。彼らは、成人する前からお年玉などで鎌倉投信が運用する投資信託「結い 2101」に投資をしてきたのですが、社会人になって収入も増えてくると世界の株式に幅広く分散投資をするグローバル株式インデックス商品への投資も始め、しっかりと資産形成に取り組んでいます。 なぜ投資をするのか?と尋ねると、銀行預金にお金を預けてもお金が増えないからだとのこと。仕事は自営業ということもあって、将来の生活が

          数字しか見ない投資の先に未来はあるか

          優れた運用会社には、必ず一貫した投資哲学がある

          「投資はまごころであり 金融はまごころの循環である」 これが鎌倉投信の投資の哲学である。通常の運用会社では、株式などに投資をするとき、事業の成長性を見たり、財務分析をしたり、それに対して株価が割安か割高かなどを判断して投資する。それなのに「まごころ?」と感じる人がいるかもしれない。鎌倉投信でも、もちろんそうしたことはおこなうが、それよりもその会社の本当の価値、真価を見定めることを大切にしている。それが「投資はまごころ」に込めた想いである。 「投資はまごころである」ことの意

          優れた運用会社には、必ず一貫した投資哲学がある

          なぜ「公募型」「投資信託」「直販」だったのか…鎌倉投信の事業戦略を立てた時の想いとは

          2008年11月に鎌倉投信を設立する前、僕の声掛けで集まってくれた創業メンバーは、約半年かけて議論を繰り返しながら、創業の目的や事業の戦略を練り上げました。前のnoteでも触れましたが、当時のメモをみると、運用会社を自ら立ち上げる目的について、このように記されています。 「個人投資家が一生涯安心して預けられる運用商品の提供と長期投資の考え方に根差した資産運用を社会に広めることを通じて、金融的な豊かさと心の豊かさを実感できる社会づくり、人の輪、夢の輪が育まれる社会づくりに貢

          なぜ「公募型」「投資信託」「直販」だったのか…鎌倉投信の事業戦略を立てた時の想いとは

          金融の常識から外れた鎌倉の地、しかも築100年の日本家屋で創業したわけ

          鎌倉で資産運用会社は成立しない? 鎌倉投信は、JR鎌倉駅から20分ほど歩いた住宅街の隅にあります。かつて源頼朝が父義朝の菩提を弔うために建立した勝長寿院(当時、鶴岡八幡宮、永福寺と共に鎌倉の三大寺社とされた)があった地域で、大御堂ともよばれる場所です。 日本では、運用会社といえば東京に拠点をおくのが常識です。当時、同業者からは、投資家が集う都心から離れた場所で資産運用ビジネスは成り立たないと言われたものです。しかも、本社屋に選んだ建物は、駅前のビルではなく、当時築85年、

          金融の常識から外れた鎌倉の地、しかも築100年の日本家屋で創業したわけ