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Note 116: 南青山の小さな画廊「Om. Art Gallery」に行ってきた

月蝕歌劇団を中心に活動する女優さんであると同時に、月蝕歌劇団、万有引力などの舞台美術でも活躍されている美術家、真夢さんが、南青山に小さな画廊「Om. Art Gallery」を開廊されたので、早速遊びに行ってきた。

場所的にはBASE南青山といういろいろなスモール・ビジネスの店舗が集まっているビルの一室で、最寄り駅は外苑前(近い)と表参道(ちょっと歩く)である。

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実はもう2回行った。
1回目はオープン初日の6月18日で、占い師・辻占mikhayahさん(中身はやはり女優で、さいきんYouTubeが超面白い小林機械くん)の占いイベントに行った。
こういう風に、アートの展示だけじゃなくて、色んなイベントも出来るスペース、ということらしい。
(7月2日にも辻占mikhayahさんの占いイベントがあるらしい)

占いも楽しかったけど、真夢さんの話が全然聞けなかったので、今日、6月27日に改めて行ってきた。
いろいろ興味深い話が聞けたので書く。
(今回、いちおう録音してプロのインタビューをしてみた)

ギャラリーを開くまで

それにしても、「知り合いがギャラリーを開いた」という文を、あんまり書かないような気がする。
自分でギャラリーを創設する、という発想を、普通はあまりしない気がするし、誰かがギャラリーを創設する瞬間に立ち合うこともあまりない。
真夢さんの話では、別に知り合いがギャラリーをやっているのを横で見ていたとか、誰かに助言をもらったとか、そういうことはまったくなくて、本当にゼロから、「無」からのスタートだと言う。

「私も、自分でギャラリーを作るとは思ってなかったんですけど(笑)。周りにそういう人もいないし。不思議ですね。

「きっかけとしては、けっこう最近の話なんですけど、韓国語を勉強するためにソウルに住んでいたとき、友達と一緒に観光スポットになっているアート関係の店が集まったビルに行ったら、ガラス張りのギャラリーがたくさんあって、空き店舗のギャラリーもあって。で、私も自分のギャラリーが欲しいってポロッと言ったんです。友達は否定的で、そのときは雑談で終わったんだけど。

「その時から、もし自分が東京にギャラリーを作ったら、何を置いたら楽しいかとか、どういう風に展示しようか、友達に働いてもらおうかとか、いろいろ考える時間が増えて、頭の中の自分のギャラリーが、どんどんリアルになってきたんです。

「で、たまたま自分の部屋を引っ越すことになって不動産のサイトを見ていたら、自分の部屋としてはいいところがなかったんだけど、店舗のページにここの物件が出ていて『あっ借りたい』って思ったんです」

−− 確かにここもガラス張りのビルですね

「そうなんです。ガラス張り。それで借りようと思ったんです。なかなかイカれてますね(笑)

「ただ、私はフリーランスで、事業の経験もないし、たぶん審査で落ちると思ってたけど、受かっちゃって。それから、どんどんギャラリーのことを具体的に考えるのが、本当に楽しくて、こんなに自分にとって楽しいことだったら、やらない手はないって思って、失敗したらやめちゃえばいいから、やってみようと思ったんです」

ということで、ひらめきというか「天啓」みたいな感じらしい。
真夢さんは、思考ではなく直感に従うのが大切だと思っているようで、それは作品の世界にも通じるものがある。

作品

作品について話を聞いた。1つの壁にはキャンバスにアクリル絵の具で描かれた作品が並んでいる。

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「基本的に抽象画なので、来てくださる方は、なかなか感想が言いにくいみたいなんですが、好きなように受け取ってもらって構わないです」

1つ1つに題名がついている。まず『Soul』という題名の絵があった。
(あえて作品の写真を1つ1つバッチリとは取らなかったので、気になる方はぜひ現地にお運びください)

「これは英語で読むと魂って意味になっちゃうんですが、韓国のソウル(Seoul)駅の情景です」

-- じゃあ、わりと写実的な絵ですね。

「そうですね。これと、上の方に掛けている『Moon』って絵は写実的ですね。ほんのり三日月が描いているんですけど」

-- 月と言えば、真夢さんの舞台美術では、万有引力の『リア王』の月の絵がありましたね。

「あれは人生の大作ですね。あんな大きな絵を1人で描いたなんて。まだ万有で保存してくれてるみたいです」

-- 月蝕歌劇団の舞台美術では「メトロポリス」のロボット(人間が着るメカ)が、強烈に印象に残ってます。

「ありがとうございます。あれは高取英さんも気に入ってくださっていました」

-- ああいうのも、別にお手本があるとかじゃなくて、ゼロから作ったんですよね。

「そうですね」

他にも『Water』、『Line』などの作品がある。

-- この『Line』って作品、なんか夕方の団地っぽい感じがします。

「へぇー、なるほど。そういう、描いてる自分が思いもしなかった感想をもらうのは嬉しいです(笑)。いぜん来たお客さんも、下に置いてあるコップのデザインがメカっぽくて好きって言ってたけど、自分では全然メカのことは考えてなくて、面白かった」

『Air』という、パッと見、真っ白な絵がある。一見、何も描いていないキャンバスを掛けたコンセプト・アートかと思ったが……。

「それは、私はちゃんとこだわりがあって、何も描いていないように見えて、実はちゃんと描いているんです。キャンバスの横(厚みの部分)を見てくださると分かるんですけど」

そう言われてよく見ると、半分ちゃんと絵の具の色がついている。
へぇー!
失礼しました。
今日見た絵の中ではこれが一番気に入ったかもしれない。

グッズ

絵の他にコップ、Tシャツなどのグッズも売っている。

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最初、美術館のお土産のように、絵をグッズにプリントしたのかなと思っていたのだが、そうではなくて、グッズの方はデジタルで作ったそうだ。
こちらは、SUZURIというオンライン・ストアでも売っている。

『Iron』というモチーフのグッズがあって、ビルの窓と、一見棒をランダムに積み重ねたように見える画像のコラージュになっている。

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-- この、下の方のわしゃわしゃっとなった棒、なんですか

「これは、観覧車の一部です。観覧車の、何て言うか、パーツ(支え?)」

観覧車にこんな部分あったっけ……。
あとで検索してみたら、あった。

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へぇーへぇーへぇー。
観覧車がこんなに複雑な構造だったなんて……。
そして、観覧車をこんな見方ができるなんて……。
アートって、描いてる人の「ものの見方」を覗き込むような楽しみがあるなーと思った。

他にも『Hole』、『Soil』、『Park』などの作品がある。
『Park』のマグカップを買ってみた。

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遊具で子供がわちゃわちゃ遊んでいる感じ。
これも抽象と写実の交わるところに生じる作品だ。

今後は、他の人の作品も展示したいし、占いとか、対面で行うイベントやパフォーマンスが出来る人がいれば催したいということだ。
ワンルームの、小さな小さな画廊だけど、キャンバスの向こうには、世界が無限に広がっている。
めっちゃ楽しいから、ぜひお運びください。

(この項終わり)

会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA