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Note 121: 大久保千代太夫一座「寺山修司 朗読劇 俺たちは行くぜ~千代フェス'21」を見た!

今日、2021年9月30日は、新宿、小劇場タイニイアリスで、大久保千代太夫一座公演「寺山修司 朗読劇 俺たちは行くぜ~千代フェス'21」を見てきた。
タイニイアリスは、今はTheater STAR FIELDという名前に変わっているけど、今回特別に旧劇場名での公演ということだ。
場所はスターフィールドだから迷わずに来てください。

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このチラシ、特に裏面すごくないですか。
40人以上の人が渦巻いている。
ウィ・アー・ザ・ワールドみたいだ。
こんな人数の人が舞台に乗るんだろうか。
そんな日生劇場みたいなことでは当然なくて、日替わりで演者がめちゃくちゃ変わる。
朗読劇、トークショー(水木金のみ)、ライブの三部構成だ。

ちなみに今日の出演者は以下のとおり。
朗読劇:マメ山田さん、永野希さん、真夢さん、はるのうらこさん、中村ナツコさん、植田晴帆さん、岩ゲントさん、大久保千代太夫さん、大久保鷹さん、Spider Tetsuさん(伴奏)、天神直樹さん(伴奏)
トークショー:大久保鷹さん、萩原朔美さん、池島ゆたかさん、三上寛さん
ライブ:マメ山田さん(手品)、Spider Tetsuさん、三上寛さん
(チラシ登場順)

いやいや1日分でも大変すぎるでしょう。
ウィ・アー・ザ・ワールドじゃないんだから(それはさっきも言った)。
人数もすごいけど超・豪華な演者陣だ。

大久保千代太夫さんは、月蝕歌劇団に初めて出たときは新大久保鷹さんと名乗っていて、実写版映画「進撃の巨人」に巨人役で出演して、目を突かれて死んでいた人。
普段から劇場で気さくに話しかけてくれるけど、実は相当偉大な人ではないだろうか。

小劇場だが、舞台の前にエア・カーテンという機械を設置して感染対策をしていたそうだ。
この装置に、後でトークショーに出てくる萩原朔美先生が興味を惹かれたらしくて、観察していたのがおかしかった。

真夢さんは今日だけの出演ということで、じゃあしょうがないなーと思ってド平日のこの日に見に行ったのだが、めっちゃ出番が多くて良かった。3年ぶりの男子役だそうだ。

ちなみに上の複雑を極めたチラシのデザインも真夢さんということだ。
多彩すぎ。
このチラシ作るの大変だっただろうなー。

以下、別にネタバレだからどうというわけではないけど、これから見る可能性がある人は見た後に読んでください。
10月3日、日曜日までやっている。
めっちゃ楽しいです。

以下今日の感想。

朗読劇は、寺山修司の舞台の名場面、詩の朗読、歌を絶妙にリミックス再構成した感じで、何本分もの感動があって良かった。
久しぶりに永野希さんを観た。なんか今回はしっとり大人な感じがして?胸にしみいる感じがした。

劇団A・P・B Tokyoでお馴染み、マメ山田さんがトコトコ……と出てくる。
こちらも久しぶりに観られて良かった。
マメさんが出てくると、舞台がフワーッとピンク色の夢空間になるような気がする。

最後は大久保の本家、大久保鷹さんが大音声でシメ。
ビリビリ……と体が振動するような声。

わずかな時間で、寺山演劇のエッセンスが濃縮して楽しめる演目だった。

小休憩を挟んでトークショー。

左から大久保鷹、三上寛、池島ゆたか、萩原朔美という超豪華メンバー。

以下、トークの話題をつまみ食いで書く。
いぜん注意されたのだが、トークを「」で囲んで書くときは、読む人は本当にそういう発言があったと思うから、一字一句間違えずに書かないといけないということだが、そんなことできるわけがなくて、以下は完全にぼくなんかのオボロゲな記憶に基づく大意、受け止めなので、そこんとこよろしくお願いします。

千代太夫さんが「私が司会なんか出来るはずがないんですが……。私は実は寺山修司さんの芝居はあまり詳しくなくて、ずっと状況劇場、鷹さんの周りにくっついていた人間なんですが、今日は寺山さんの朗読劇ということで、鷹さん、状況劇場が天井桟敷に殴り込みなんて話、昔ありましたけど……」みたいな取っ掛かりで鷹さんにマイクを回す。

鷹さんが「あれは、みんな血気盛んだったけど、冗談というか、ヤラセ。そういう時代だった。(ここで爆笑トークの数々があったが割愛)
「でも、状況劇場は河原乞食みたいに、あっちこっちの地面でテント張ってやってたけど、天井桟敷は常設小屋もあったし、家出のすすめとか言ってるけど、家出してきたような感じの人はいなくて上品な感じだった」みたいな流れで、萩原朔美さんのターン。

「天井桟敷は、芝居が下手だったね。状況劇場はみんな芝居がうまかったけど、天井桟敷の卒業生は、作家とか、監督とか、スタッフ系が多い。
「でも、寺山さんが病気になって、亡くなるまでは、最後まで毎日見舞いに来たのは、唐十郎さん夫妻だった」

続いて天井桟敷卒業生で、"ミスター・ピンク”の異名を持つピンク映画監督の池島ゆたかさん。「ぼくは萩原さんとは、2回ぐらい朝までお話したことがあって、なぜそれを覚えているかというと……」という導入でエピソードがあって、萩原さんが「それは失礼しました……」というくだりが面白かった。

続いて三上寛さん。「千石正一さんって言う、爬虫類の研究者で、ナマズの研究をしていた秋篠宮様に教えたこともある人がいたんだけど、千石さんも天井桟敷にいたんですよ。なんでかって言うと、天井桟敷の舞台に出てくるヘビの係だったんです。
「あと、京都に昔から出てるライブハウスの人が実は元天井桟敷の人だったり、ぼくの行くところ、なんか天井桟敷がどこにでも出てきて……。
「ぼくが戦場のメリークリスマスに出た時も、三上博史が一緒に出てきて、うちの母親がなんであんたの名前2回出てくるのって言われた。三上博史は、寺山さんがふざけて、ぼくの本名を芸名につけたんですよ」
みたいな話。

また鷹さんが「萩原さんと、実際に対面するのは久しぶりだけど、さいきんフェイスブックで友達にしてもらって、それで、萩原さんが『路上に落ちてるマスクシリーズ』っていう写真を乗っけてる、あんなのが気になるのは、偏執狂ですから!
「いぜん『超芸術トマソン』をやっていた赤瀬川原平さんと町を歩いていたら、急に赤瀬川さんが電柱の根っこに何か見つけて、それが小さな藁人形だった。そんなのが目に入るっていうのは、やっぱ偏執狂だと思う」
みたいな話をしていて場内爆笑。

ぼくなんか元ビックリハウサーだから、萩原さんのそういう話が聞けて本当に楽しかった。
(ビックリハウサーと言うのは雑誌『ビックリハウス』の読者のこと。説明になってねえ!)

小休憩を挟んでライブ。

まずはマメ山田さんのマジックショー。
A・P・Bの舞台でもチョコチョコ手品を見ていたんだけど、こんなにたっぷり見たのは初めて。
後半は客いじりの話芸も楽しめた。
こんなに喋りが軽妙な人だったんだ。

次に朗読劇の伴奏も努めていて「血は立ったまま眠っている」に曲を付けて熱唱したSpider Tetsuさん。
普段はブルースを歌っているらしくて、セミアコのギターを掻き鳴らして3曲歌った。
ガッツのあるブルースで、2曲めの、15歳の時に作ったという自作曲がねっとりしたテンポですごく良かった。
客席が超あったまって、イェイ!ワァオ!的な歓声が客席からあがったし、ぼくもあげた。

http://spidertetsu.com/

トリは三上寛さん。
低いダミ声のトーキング・ブルースと、美しい高音の歌が一人デュエットのようで、歌を聞くと一気に青森の風景が広がる。

ということで、おなかいっぱい、夢いっぱいで、7時に始まったのが気づいたらもう22時。
情報量多くて本当に楽しい1日だった。

ちなみにぼくは2日土曜日にもう一回行くよ。
出演者を書き出してみよう。

朗読劇:マメ山田さん、白川沙夜さん、睡蓮みどりさん、MIKAさん、はるのうらこさん、柴奏花さん、中村ナツコさん、植田晴帆さん、岩ゲントさん、大久保千代太夫さん、大久保鷹さん、Spider Tetsuさん(伴奏)、天神直樹さん(伴奏)
ライブ:白崎映美さん、坂本弘道さん、マメ山田さん(手品)、Spider Tetsuさん、三上寛さん、戸川純さんandおおくぼけいさん、森永太郎さんと東京ギターラさん、福島泰樹さん、萩原信義さんとハリケーンサリーさんと笠野裕美子さん、山崎春美さんと森田潤一さん、チャーリー坂本さん、津田卓也さんとTSC50さん、京本千恵美さん(パントマイム)。

以上チラシ登場順。間違ってたらごめんな!
しかしライブすげえな。ウィ・アー・ザ・ワールド越えてウッドストック級だ!
わが青春の大スター、戸川純ちゃんが楽しみすぎる。
他の日もめちゃくちゃ豪華なので、ぜひお運びください。

(この項終わり)

↑↑↑ 画像だと分かりづらいけど、この三上寛さんのアルバム『BANG!』超オススメ!山下洋輔さんプロデュースだ!


会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA