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KH Coderで自分のマガジン分析! 4/4

前回記事の続きです。


第1段階の分析により、次のことが明らかとなった。
・特徴的な語の抽出や、語どうしの共起関係の把握ができた。
・記事全体が4~6クラスターとなりうる可能性が示された。
・特に、トピックモデルを活用した分析により、それぞれのクラスターに特徴的な語の抽出が行えた。
これらにより、マガジンの全体像を計量的に把握し、コーディング・ルール作成の参考を得た。


第2段階の分析により、次の4点が明らかとなった。

特徴を捉えていると言いうるコードは、
・「都会と田舎は違う(格差)」
・「グローバル教育の定義と概念化(何でもグローバル教育になる)
の2つである。


「いろんな種類の教育がある」はコーディングルールを再検討し、必要なら「概念化」に入れるとよい


「具体的なグローバル教育の手法」は、特徴的なコーディングであるものの、絶対数が少ない
母数の影響もあるものの「特定記事の狙い撃ち」っぽいコードと考えられる。


「学校は忙しい」というコードは取り立てて特徴がない。(あってもなくても変わらない)



総合考察

本研究(このマガジン)の背景

筆者は公立学校教諭としてグローバル教育を実践してきた。

大学院での学び、論文や書籍、グローバル教育に関する学会の動向、他の都道府県の教員の話などを総合すると、

「どうやら都会と地方では、求められるグローバル教育が異なるのではないか」

と考えるに至った。
例えば、教育格差(SES, Socio Economic Status)の研究では、住環境も含めた格差が存在するということが明らかになっている。
(松岡亮二 2019 教育格差)←名著、力作です。ぜひ。

都会と地方の実態が異なるのであれば、それぞれに応じたグローバル教育が検討されるべきであろう。

現に、地方のグローバル教育の実態は様々であり、ある議会で×××があったり、グローバル教育に関する教員の私的な勉強コミュニティが解散となったりしている。

地方でグローバル教育に興味を持ってがんばっている教員が散在する、孤軍奮闘状態となっており、「浮いている」可能性もある。

しかしながら、地方であっても外国にルーツを持つ子どもや大人はおり、今後も増加する可能性がある。
多様な価値観やインクルーシブ教育の側面からも、グローバル教育は求められている…(以下略)。

本研究の目的は、「グローバル教育マガジン」の計量的な分析であり、
第1段階の全体像把握、
第2段階のコンセプト抽出
を試み、その結果を基に本マガジンを考察することであった。

このマガジンの内容で全体的に強調した「つもり」の内容は、
・都会と田舎の違い(格差)
  ・グローバル教育の概念化(何でもグローバル教育になりうる)
であった。

KH Coderを用いたテキスト分析により、
上記2つのコンセプトは明確に描かれていることが計量的にも明らかとなった。

また、KH Coderの特徴を考えると、

・1文単位での、極めて明快な「語」の使用
(ストレートに、一文ではっきりと意見を書く)
・1セルにつき、1トピック
 (note記事1つにつき、メインの主張はひとつで、寄り道しない)
 (H5単位で集計する場合)

により、いっそう明確な分析結果が得られる可能性がある。
(コサイン、ユークリッドで解決できるのかもしれないが、大きなデータを扱っていないこともあり、まだよく分からない)

樋口(2021、P113)が提示する、
「計量テキスト分析に適した問いの立て方」
という課題についても、今後考える。

(私の文章がふにゃふにゃだということが証明されてしまったとも言える…)
(ただ、明確に書くということは、コンテクスト、アトモスフィア、他者への配慮を切り捨てるという側面もある。いずれにせよ、KWICでの確認が大事ということ)

KH Coderの勉強はまだ4週目である。
この記事そのものもKH Coderの勉強・練習である。
今後さらに勉強し、KH Coderを修論で活用できる技量を得る。

(なお、KH Coderをメタ認知に使うという私のウラ目的も達成できそうである)


謝辞

開発者の樋口耕一先生に感謝いたします。
あらゆる自由記述を計量的に分析する可能性を開いていただきました。
マウスのクリックのみで、専門知識がない私であっても使うことができます。

オフィシャルのテキスト【社会調査のための計量テキスト分析】は、
何周しても新たな発見があります。細かい記述まで配慮して書かれていることを、毎度感じます。
また、対面やオンデマンドの講座では、そのお人柄にも感動いたしました。
敬服いたします。そして研究を応援しております。
ありがとうございます。

(この記事での間違いは、すべて私の理解・勉強不足に起因するものです)


文献
樋口耕一 2021 社会調査のための計量テキスト分析 ナカニシヤ出版





KH Coderに興味を持たれた方へ
ちょっとだけなら簡単にできますよ。

1 分析したい文書をエクセルに入れる
2 KHダウンロード、起動、新規プロジェクト (YouTubeなど参照)
3 前処理→テキストのチェック→前処理の実行
4 ツール→抽出語→共起ネットワーク→(難しいことは何も考えずに)OKボタン

これだけで共起ネットが描けます。

(社会人が大学院に行くと例えばこんな勉強ができます。)


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