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エネルギーの使い方。



落ち切った体力

 退院後に声以外で困ったのは、体力がすごく落ちていたことでした。元々体力がある方ではないので、入院前にたくさん歩いて身体づくりに励んでいました。入院中に体力が落ちるのが怖くて、入院してからも毎日少しでもお散歩するつもりでいました。
 しかし、いざ入院してみたらお散歩できるところがほとんどなくて。外来のある1階は混雑していて、とてもじゃないけれどお散歩できる雰囲気ではありませんでした。それにパジャマでうろうろすると目立ってしまうので、抵抗がありました。病棟は1周しても1分かからないくらいだし、他の患者さんの邪魔になることを考えて断念。残されたのは階段ですが、普段から階段でよくつまずくので転ぶのが怖くて諦めました。
 1日3回ラジオ体操をするとか、ストレッチや筋トレをするとか。今考えると散歩以外にも体力を維持する方法はあるのですが、当時は思いつかずほとんどベッドの上で過ごした結果、見事に体力が落ちてしまいました。身支度をした時点でぐったり。1日のうちに何度も横になりたくなる。お昼寝をしないと夜までもたない。とにかく疲れやすくて、座っているのもしんどいくらいでした。

動けないことよりしんどかったのは

 体力がなくて動けないことよりも、ふとしたタイミングで「横になりたい…。」と思ってしまうのがしんどかったです。家にいるときはもちろん、出かけているときでも卒業式の最中でも。時間も場所もお構いなしに、「横になりたい。」は突然やってきました。その度に手術前の身体とは違うことを実感してしまうのがつらかったです。
 術後1か月が過ぎる頃までは、1日に何度か休憩を挟みながら動いていました。退院後2週間から1か月程度で復職している方をたまに見かけますが、パワフルさにいつもびっくりします。もちろん、本当は身体も気持ちもとてもしんどいけれど働かざるをえない方もいるのだろうと思っているのですが。働くなんて考えられないくらい、私は体力が落ちていました。体力をつけるために動きたいけれど、動くと疲れる。毎日少しずつ動くしか回復の道はありません。もどかしかったです。

付き合い方模索中

 術後2か月以上経つ今でも、身体との上手な付き合い方は分かりません。すぐ疲れてしまうし、寝ても疲れがなかなか取れません。前日の疲れを持ちこしているような感じです。私の場合は午前中の方が身体がだるくて、お昼過ぎにようやくエンジンがかかってきます。午前中にしんどいのは、持ち越した疲れに身体が慣れてくるまで時間がかかるからではないかなと思っています。仕事を始めたらやっていけるのか、かなり不安です。でも退院後しばらくは欠かせなかったお昼寝をしなくても、夜まで生活できるようになりました。1日1万歩近く歩けるようになりました。本当に、本当に少しずつ、日常が戻ってきています。
 病気を経験した方2人が同じように仰っていたのが、「99.99%になれても、100%には戻らない。」という言葉でした。治療をしても、何もなかった頃の身体と完全に同じ状態にはなれない。病気を抱えて生きるというのは、そういうこと。先輩の言葉には重みがありました。本人にしか分からない変化がたくさんあるし、本人も気づいていない変化がどこかにあるのでしょう。自分でも分からないことを他人に理解してもらうのはとても難しい。私が私のことに敏感でありたいなと考える、今日この頃です。


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▽ まとめ


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