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声が届かなくても。



卒業前にしたいこと

 身体も心もしんどかった術後1か月頃。少し無理をしてでもやりたいことがありました。卒業前の、先生方への挨拶回りです。学年の中で1番色々な先生にお世話になったんじゃないかと思うくらい、たくさんの先生にお世話になりました。ゆっくり話したい先生方には約束をしていましたが、アポを取るほどではないけれど一言ご挨拶をしたい先生もいます。本来なら謝恩会でご挨拶すればよいのでしょうけれど、謝恩会に行かない選択をしたので別日に挨拶回りをするしかありませんでした。
 術後1か月は、まだ声がかすれていた時期。挨拶回りをするかギリギリまで迷っていました。声のことを聞かれるだろうな。気持ちも万全じゃないし卒業直前なのに先生方に心配かけるのも申し訳ないし、やっぱり挨拶は控えておこうかな。そんな風に悩んでいたのですが心残りがあるまま卒業したくなくて、会いに行くことに決めました。
 とても行きたかった謝恩会を欠席することに決めたのは、「謝恩会に行かなくても、先生方に感謝は伝えられるんじゃない?」と気づいたからだったと思い出したのです。先生方にたくさんお世話になったのに。どんなときも支えてくださったのに。謝恩会に行かなくても感謝を伝えられると気づいたから欠席を決めたのに。来年度になったら会えない先生もいるかもしれないのに。今会いに行かなかったら、きっと後悔する。
 心を決めたのは卒業4日前、本当に直前でした。最後に笑顔で別れられるよう、私が疲れないのが最優先。片手で収まらない人数に挨拶をしようとしていたので2日間に分けて、卒業式で会える先生は卒業式でご挨拶することにしました。

私のためにも

 どの先生も「わざわざ来てくれてありがとう。」と言って、喜んでくれました。色紙やお手紙を準備していた訳ではないので、持って行ったのは感謝の気持ちだけです。メールするほどではないけれどずっと言いたかったこと、先生にしてもらって嬉しかったことなど。最後だから伝えられることを話しました。
 謝恩会の写真を見たとき、「私も行きたかったな。」と寂しい気持ちになりました。でも、大丈夫。最後にきちんと挨拶をしました。大学で会った分、ゆっくり話せた先生もいました。自分にできることはしたので心残りはありません。先生方へ感謝を伝えるために行ったことですが、私のためになっていました。声がうまく届かなくても、気持ちは届いたことが分かりました。卒業式と同じくらい、もしかしたらそれ以上に大切なことを成し遂げて。入学していたときには想像していなかった形で、私は卒業しました。


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▽ まとめ


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