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サッカー

僕が通っていた小学校は、サッカーが盛んな地域にあった。友達の多くはサッカーチームに所属していたし、そのチームは全国レベルのチームだと聞いたこともあった。そんな土地柄から女子の中には「サッカーが上手い人が好き」と公言している子もいた。

僕はチームには入ってはいなかったが、昼休みには決まってサッカーをしていた。純粋にサッカーを楽しんでいたというよりは、女子の視線を集めたかったからだ。

5年生の時、「サッカーうまいね。」と話しかけてきたのは、同じクラスのちょっぴり気になっていた子だった。もっと上手くなって昼休みの女子の視線を釘付けにしたいと思った僕は、サッカーチームの練習を見に行ってみたい…親にそんな相談をしたことを覚えている。

そんな矢先、事件が起きた。

全校集会で先生が、「校庭でのサッカーを禁止します。」と宣言した。理由は、サッカーをする子が多すぎて、ガラスが頻繁に割れたり、けがをする子が多くいたりするからだとか。

それ以来、昼休みのサッカーはできなくなった。禁止令はとうとう卒業するまで解かれることはなく、最大の動機を失った僕のサッカーチーム入りもなくなった。


余談だが、当時クラスでサッカーが大好きとアピールしていた女子は、大人になってから小説家を目指しているらしいという噂を聞いた。「サッカ」が好きだというのは本当だったらしい。

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