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いつもと同じ時間に起き、いつもと同じ時間に朝の支度をした。洗濯をした。空気がうまい。コーヒーが染みる。体も元気だ。予定は何もない。やりたいと思ったことだけをしよう。 外を走る車の音が心地よい。空が澄んで遠くまで青い。平日には平日の、休日には休日の音がある。平日には平日の、休日には休日の色がある。

    • 休息

      知らないところで働いている人はたくさんいる。夜中でも早朝でも働いている人がいる。そうして世界は廻っている。 臓器も働き続けている。肝臓は心臓や胃のように動いている様子が当人にも分からず、悪くなっていても滅多に症状の現れないことから「沈黙の臓器」と呼ばれるらしい。 しかし、肝臓は僕らの生命維持にとって実に重要な役割を担っているそうだ。驚くことに肝臓の働きは実に500種類もあるという。そんなに仕事があることに驚愕だが知らない間にそんな激務をこなしていたんだと思うとまだ見ぬ肝臓

      • 腐るほど

        Mさんという同僚がいる。誰かが「逆に~」とか「意外に~」なんて言葉をつかって話していると結末までじっくりと聞き、話し終えるのを待ってから「全然”逆に”じゃないよね。」とかいう。平たく言えば嫌なやつだか、相手を選ばないそのツッコミは時に爽快である。 ある日、最近CD買わなくなったね〜と雑談していると20代の後輩が「自分CD買います。腐るほど持ってるっす。」みたいに息巻いた。するとMさんが「CDは腐らないよね。」と言い放った。さすがMさんするどいね!(笑)ということで話は終わっ

        • 時代

          写真を撮る。それが現像され「写真」になって手元に届く日。形容しがたい高揚感があった。今は簡単に写真が撮れる時代。気に入らなければ消去すればよいし、納得感が得られるまで何度も撮り直しをすればよい。必要ならば加工すればよい。決して悪くない便利な世界。 好きな子の家に電話をかける。呼び出し音が永遠に感じるような緊張感。お父さんが出た時には「すみません」と言って切ってしまったという話は昭和世代のあるあるか。今はSNSでいつでも好きな子と繋がれる時代。必要ならば愛の言葉を送ればよいし

          サッカー

          僕が通っていた小学校は、サッカーが盛んな地域にあった。友達の多くはサッカーチームに所属していたし、そのチームは全国レベルのチームだと聞いたこともあった。そんな土地柄から女子の中には「サッカーが上手い人が好き」と公言している子もいた。 僕はチームには入ってはいなかったが、昼休みには決まってサッカーをしていた。純粋にサッカーを楽しんでいたというよりは、女子の視線を集めたかったからだ。 5年生の時、「サッカーうまいね。」と話しかけてきたのは、同じクラスのちょっぴり気になっていた

          サッカー

          洗濯

          洗濯が好きだ。 今日のようなさわやかな休日の洗濯は特に好きだ。 まずは青のバスタオル。次に黄色のフェイスタオル。勢いよく広げたときの音がいい。Tシャツをハンガーにかける。光を浴びた白が眩しく映える。間隔はもちろん、彩りも大事にしたい。 それから、少し離れて見る。 「うん。美しい。」などとほくそ笑み振り返る。 風に揺れる洗濯物の音が笑い声に聞こえた。

          記憶

          小学生の頃、僕の住む家の近くにパン工場があった。風向きによっては、焼きたてのパンのにおいが家の中までやってきて、なんとも言えない幸せな気分になったものだ。 今でも香ばしいパンの匂いを嗅ぐたびに、あの頃住んでいた家を思い出す。その頃、必死で集めていたビックリマンシールを思い出す。遅くまで遊びすぎて家を閉め出されたことを思い出す。兄の部屋でこっそり聞いたBOØWYを思い出す。匂いが脳を刺激して温かい記憶を呼び覚ます。 あの工場はもうなくなり、今は大きな看板の紳士服店が建ってい