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私を困らせる牡丹のしわざ*恋するエネルギーの生まれる花

牡丹が美しすぎて困っちゃうんですけど。

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」の牡丹のこと。

女性の容姿や佇まいの憧れを華やかな花に例えたのだと思う。

百合はたいていの人は分かるはず。

日本の原種のユリと交配してできたカサブランカは特に有名。

大きくてあでやか。

上品な見目麗しさで香りも濃厚。

スペイン語で白い家という意味のモロッコの都市から命名された。

もしも白じゃなくて、鬼百合と掛け合わせた朱色の花なら、
「フシミイナリリー」とか日本語的に名付けられたのではと思って見たり。

百合はその花粉がなかなかトラブルのもとで、
スカシユリやササユリのようなものなら、ともかく、
頭でっかちなカサブランカだと花瓶にも仏前にも差す訳にはいかない。

芍薬と牡丹は良く似た花だけれど、芍薬は草で、牡丹は木だ。

芍薬は春になってようやく、土の中から芽を出してくる。

細い茎の先に花をつける芍薬と、木の枝の先に花をつける牡丹。

それに、牡丹が咲いてから、芍薬が後を追うように咲いてくる。

昔の我が家には、銅葉に黄色の牡丹がひとつあっただけなので、
花畑に初めて牡丹を植えてみたら、エゾシカは食べないし(ここ重要)、
それは大輪のピンク色の花だったので、幾重にも重なり広がる花びらに、
(これはもしや薔薇よりも、この世のどの花よりも美しいかも!)と、
感動に感動を重ねてしまった。

(あなたはいったいどこの世界からやってきたの~?)と、
この世のどの花よりも私のスペシャルになってしまった。

牡丹はなんといってもそのボリューム感が圧巻だ。

13本の牡丹を植えたあとに、決定的な母の一言を聞く。

「花びらがバラバラこぼれ落ちるから、仏前には向かない」

え。。。。。。

「芍薬ならいいんだけどね。牡丹はそのままで眺めた方がいい」

それで、切り花にするのは諦めて、
仕方がないので、追って芍薬を増やすしかなかった。

牡丹は台木に芍薬を使うので、牡丹の下から芍薬の葉が出てきた時には、
その芍薬も分けて増やしていった。

芍薬の細い茎から「立てば芍薬」という、
全体の見目麗しさは分かるのだけど、
「座れば牡丹」というのはどういう由来なのだろうかと思う。

英名だと牡丹はツリーピオニーと言い、
芍薬はチャイニーズピオニーと呼ぶので、どちらも似た花だという認識。

芍薬とは綺麗な薬草という意味だし、
花言葉は「美しい」だの「幸せ」だの「愛」だの、女性的。

牡丹は中国では歴代の皇帝に愛された宮廷花であり、
詩人の「牡丹は花の富貴なるものなり」という由来があるように、
「富貴」「高貴」「王者の風格」など男性的だ。

どちらも繊細な花びらを幾重にも重ねてまとい、
植え替え後はしばらく花を咲かせないし、
おしべやめしべが花弁になっていくため、
隠すように咲いていくことから
ヨーロッパではアジア人の奥ゆかしさを感じ取ったらしい。

しかし例えば唐の時代に、牡丹は国家の繁栄の象徴とされて、
「百花の王」と呼ばれた。

日本はピンク系が多いけれど、中国は原種を含め、赤系が多い。

「花王」や「太陽」など有名な品種に赤い花は多い。

牡丹はなぜ男性的な花言葉で「おす」で「」なのか。

単純に想像すれば、
美しいその花を愛でることで男性の征服欲を満たすのかも知れない。

雄蕊おしべも花弁に変わり、
やがて種子になるところから由来するという「牡」の意味と、
原種の花の濃い赤紫色から来ている赤色を意味する「丹」。

「丹」は赤が生命エネルギーの象徴であるとともに、薬の意味も持つ。

特に不老不死の薬。

何事にも表の意味も裏の意味もあり、
どんな出来事も、少数の人にしか知られない出来事の方が意味を持つ。

木肌というものは時に花と同等に美しく、
白樺の白や、桜の赤や、百日紅でさえ乙女の素肌のようだ。

樹木のひとつに数えられる牡丹は、その木は醜いほどごつく、
悩んでいるかのように不安定だ。

葉といえば、瑞々しさも感じられず、輝きを放つ若々しさもなく、
大きいというだけで、その葉に芍薬のような繊細さはなく、野暮だ。

それなのに、大輪は、花の中で最大とも言える蕾の大きさで、
その姿勢からは想像できないほどの華麗な美が誕生する。

ひと花だけでも存在感は計り知れない。

これが男性の「王者の風格」でなくてなんなのか、と思う。

私の知る、男性としての最大の魅力は「純真」だ。

「お気楽だけど無責任ではありません。それにとても純真です」

そう言ってアピールされた思い出がある。

彼の純真さを思い出すと、牡丹が男性の、
心根の美しさを表す花でなくてはいけないという気にさせられる。

唯一無二の濁りのないパワフルな色の、美しい花が牡丹。

純真は、この世の中で最大級に華麗で美しいものであるべきだ。

もう、女性ホルモン爆上がりで、好きになりすぎて困っちゃう~。



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