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介護現場放浪紀行

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コンビニのスプーン。

昨今、いろいろな高齢者グッズが出ている。

我々が開発しているセンサーを活用した機器もあれば、日用品までその種類は様々だ。
福祉機器展なんかに行くと、その多さにびっくりする。

…日用品といえば…見学で訪れたある施設にいらした方を思い出す。

ご飯を食べるのが大好きなAさん。
なかなか動かない体を、ご飯を食べるときは懸命に動かして食べていました。
まわりの介護職の方も、全て介助することはあえてせず

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「75年目の初対面」

「75年目の初対面」

初任者研修時代に、講師の方々の現場体験をいくつか伺った。

今日はその中から、衝撃的だった話を紹介したい。

「訪問介護でお会いした、75年歳のAさん。

彼女にとって、私は初めて見た他人でした。

彼女は、75年間、家族以外の人間を見た事がなかったのです。

小児まひを持って生まれたAさんは、生まれてからずっと、家族に介護されながら生きてこられていました。

母親が生きているときは母親に、母

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女が道具だった時代。

介護施設をいくつか回る中で、夜勤に同行させて頂くことがある。

夜は時間がたっぷりあるので、日中できないような込み入った話をする場合もある。

今日はその中から、利用者さんから伺った打明け話について、お話する。

「私はね…娘が3人いるんですよ。でもね、妊娠は5回したことがあるの。」

「流産されてしまったんですか…?」

「いえ、おろされたの。それも自分の旦那に。」

私は話の意味がうまく飲み込

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「入れてください」

「お風呂に入っている間中ずっと「入れてください」とおっしゃる90歳のAさんという方がいました。

「お風呂には入っていますよー?」と介護職が話しかけると、Aさんは介護職の手を自分の股に持って行きました。

Aさんのいう「入れてください」は、男性器を入れてくださいの意味だったのです。

入浴中は、男性スタッフなら誰彼構わず「入れてください」というAさん。

最初はスタッフたちも、はぐらかして

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