【長編小説】 パリに暮らして 12
部屋に辿り着くと、酔いつぶれた柊二さんをベッドに横たわらせた。柊二さんは目を閉じたまま、熱い息をふーっと吐いて、そのまま動かなくなった。こういう状態の時に無理に動かされるのがどんなに辛いかをよく知っている私は、柊二さんをその姿勢のまま寝かせておいて、壁際にあるソファの方に行って、部屋に備え付けのミネラルウォーターの蓋を開けて飲んだ。黄色い色調の壁を、傘付きの間接照明が夕焼けのような色に染めていた。暖房が効いていたが、念の為にソファの上にかかっていた毛織りの暖かいショールを柊