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ロックダウンのNZで レベル4ロックダウン再び!!

ニュージーランド政府は、本日17日会見し、オークランドで市中感染が1件確認されたこと、それに伴いニュージーランド全土が再びロックダウンに入ることを発表した。

この異様な速さの決断には訳があって、この1件がデルタ株であることを疑っているからだ。

自宅で「どうせまたオークランドが悪くてレベル3、全土が2かな」とふんぞり返って見ていたら、全土で4と聞いてひっくり返った次第です。

デルタ株は、まだワクチンがどの程度効果的なのか、ニュージーランド政府はまだ結論を出していない。また、パブリックへのワクチン接種自体がなかなか進んでおらず、その状態でデルタが入ることに(まだ決まったわけではないが)政府は強い危機感を持っているようだ。

エリミネーション戦略が機能しているNZ

こういう話をすると、日本の友人から「ニュージーランドは決断が早くてすごい!」という声を聞く。しかし、日本とニュージーランドでは状況が違いすぎて、もはや比較が意味をなさないと感じる。

ニュージーランド政府が早く、強いロックダウンを決断できるのは、これまで積み重ねた経験もそうだが、市中感染がない状況の前提があってこそだ。

まず昨年、初めて入ってきたときに4週間徹底的にやって市中感染をゼロにできたことが全てだった。あの段階だったから、ゼロにするのに4週間で済んだ。そして、その結果、市中感染がゼロに(エリミネーション)できたから、今回もオプションを持つことができている。

エリミネーション戦略は、最初に勇気を持って早く、強くやった国だけが選択できる戦略で、人口500万人の島国という幸運もあって、ニュージーランドはこれに成功した。この前提があるからこそ、今回も強く、早く、やる意味がある。

オリンピックと日本の現状

仮に、誰が今の日本のリーダーになっても、打てる手はほとんどないはずだ。

具体的な数はもう追いかけていないが、日本では市中に例のウイルスが蔓延している状態だろう。その状態でオリンピックを開催したのは、確かにやけっぱちにしか見えないが、だからといって今から日本が法律を変えてロックダウンすればニュージーランドのようにウイルスを市中から駆逐できるかといえば、それは難しいはずだ。最初に封じ込めできなければ、ロックダウンしても市中感染をエリミネートするのに年単位の時間がかかってしまい、社会が、ロックダウンの痛みに耐えられないのだから。

ということは、もはやオリンピックをやってもやらなくても、最終的な結果は変わらなかったと言えるのかもしれない。蔓延状態と上手く付き合いながら、ワクチン接種を加速してその重症化抑制効果に期待するしかない。

ニュージーランドも出口戦略としてはワクチンに依存するのは同じだが、ワクチンがデルタをはじめとした新規株に効果があるかどうかがわかるまで、エリミネーション戦略で様子を見られるオプションがあるのが異なる。国境が閉じていることを除けば、国内はほぼ例のウイルスがない状態を維持できていた。筆者も、ほとんど例のウィルスのことを忘れて過ごしていたほどだ。

ノウハウの蓄積

そして、最初のロックダウンのノウハウと成功体験で、今回のように散発的なロックダウンを政府がめちゃ早でぶっこんでもパブリックが混乱しない。

スーパーからモノが消え、KFCの食い納めに行列ができるくらい。

予定が狂うのは面倒だし、立場によって色々考えはあるだろうが、今まで自分たちが代償を払って積み上げてきた状況を台無しにしないように、という一定の社会的なコンセンサスはあると感じている。

政府が、オークランドのロックダウンを7日間にしたことは、もちろん震源地である当地の行動制限を重視している点もあるが、「7日間のロックダウン」が、国の手当てスキーム発動のトリガーであることも見逃せない。

今回オークランドが7日間、その他が3日間の予定となったことで、このスキームが発動し、個人事業主を含む全国のビジネスオーナーは、このロックダウンによって前年度から売り上げの4割減を見込む場合、インターネットによる申請により、従業員の給与手当てに使えるお金が2週間分、一括で支払われる。

フルタイムワーカーひとりにつき600ドル/WK、、、とその他にも色々あるが、とりあえず当面の雇用を維持するための一時金が、事業主経由ですぐに支給される。

詳しくは、公式HPを参照

国が、やるからにはちゃんと金を出す姿勢を見せることは、政府による行動制限を一定程度認める社会的コンセンサスを形成するのに役立っていると思う。

国境開放への道のり

実は先日、政府は国境の開放に向けてロードマップを発表したばかりだった。

詳しくは上記を参照してもらうとして、具体的には

1 エリミネーション戦略を当面維持
2 ワクチン接種の前倒しと1回目の優先接種
3 外国からの到着者を、独自に決定したリスク度に基づいて隔離
4 リスク別隔離を少数人数で先行実施後、様子を見てパブリックに適用

一言で言えば、国民全員にワクチンを打ち、各国を蔓延状況に応じてランク付け、入国時の隔離をするか、しないかを決める、となるだろう。

各国のリスクは様々な科学的指標に基づいてニュージーランド政府が「高・中・低」の3段階に分ける。リスクが「高い」ところからの到着者は現在と同じく強制隔離(自己負担)、「中」は強制隔離の期間を短くするか、自宅隔離などの措置、「低」は隔離なしとなる模様だ。

これを、来年、2022年に実施するため、2021年はその準備に当てるという。これには、上記のリスク別隔離制度の運用を、少数のグループで実験的に実施して様子をみることも含まれる。

どの段階でも、基本的にエリミネーション戦略は維持するので、今回のように市中感染が確認されればロックダウンをする。しかし、ワクチンに頼るのならいずれエリミネーション戦略を放棄する段階がやってくるはずだから、この矛盾を政府がどう乗り越えるのかが、筆者のNZ市民としての関心ごとである。

早く息子をじじばばに会わせたいしね!

どうなることやら。

たくさんの方々からサポートをいただいています、この場を借りて、御礼申し上げます!いただいたサポートは、今まではコーヒー代になっていましたが、今後はオムツ代として使わせていただきます。息子のケツのサラサラ感維持にご協力をいただければ光栄です。