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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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記事一覧

仕事の収入:写真の部屋

「継続はチカラなり」という江戸の川柳がありますが、今日、あるカフェで大耳に挟んだ会話でこの言葉を思い出しました。今日はちょっとリアリティのある話なので、ここからは定期購読メンバーだけにお伝えします。

バターチキンカレーの意味:写真の部屋

「ライオンはウサギを狩るにも全力で挑む」という江戸の川柳がありますけど、とにかく何をするにしても出し惜しみをせずに全力を出さなければいけないと思っています。 自分にはライオンレベルの能力があるなどという驕った考えは持っていませんし、相手を兎のようにひ弱なものだとも思っていません。しかし、ただの比喩でさえコンプライアンス警察の目に触れると面倒なので、こうしていちいち書いておくのです。 5月30日に大阪・梅田の関西大学でトークイベントがあります。トークの後にはその場で実際に撮

大阪の皆様へ:写真の部屋(拡散希望)

東京で仕事をしているフォトグラファーが大阪にあまり縁のない理由は単純で、大阪の仕事は大阪で用が済むからです。私たちは風光明媚なロケ場所を探して日本中を移動しています。釧路や石垣島などに行くことはありますが、ロケ地として大阪で撮影することはほぼありません。そして「大阪のクライアントの仕事」は大阪にいるスタッフで十分足りているのです。 そんな理由から、過去に大阪に行った回数は片手で数えられるくらい。ばんばひろふみレベルです。『ロバート・ツルッパゲとの対話』の大阪でのトークイベン

まず買うべき撮影機材:写真の部屋

明日から北海道ロケ。事前のロケハンができないので撮影前日に軽く下見をします。なぜかわからないのですが外国に行くよりも日本の地方のほうが緊張します。そもそも別の国だと想像がつかないことが多く、フレキシブルに対応するしかないからかもしれません。理解が深い場所ほど微差が気になりやすいということでしょうか。 ロケハンで場所のイメージを掴んだら、使うレンズやカメラが決まります。これくらいのアングルなら何ミリのレンズが必要だなとわかるのですが、ロケハンなしの場合は余裕を見て機材を準備し

バングラデシュ構図:写真の部屋

被写体を真ん中に置くのは「バングラデシュ構図」と言って、よくないと言われることがあるそうですが、何かを注視するときは必ず両目の中心で見ていますから、写真を撮るときも同じでいいのです。

アートの著作権:写真の部屋 / Anizine

尊敬する写真家の先輩である伊島薫さんがFacebookに書かれていたことを読んで考えました(画像は伊島さんの投稿からお借りしました)。 伊島さんの商業的な写真もアートとしての写真もずっと拝見していますが、若輩者が僭越ながら感じることは「写真に向かう姿勢の素晴らしさ」です。 自分が写真を見るとき、写真家に会うとき、何を基準にしているかというと、自分だけの表現をしているかどうか、です。それをやや乱暴に言い換えるとアートかビジネスかということにもなります。もちろんアートビジネス

構図とは違うもののこと:写真の部屋

「大きな木があるなあ」「電柱と電線が邪魔で、いい感じだなあ」 などと思って一枚撮るのですが、何かが足りない気がします。写真だけを学んでいる人はここで「構図」と言うのでしょうが、それとは違う要素があります。次の写真を見てください。

熱海とカンヌ:写真の部屋

友人と「写真に写っているものが、どれだけ本物であるか」という話をしていました。まず、本物という言葉の定義ですが、それは『自分が本当に写したかったもの』と言っていいと思います。あるとき知人が熱海に遊びに行っていたのですが、ソーシャルメディアに載せたその写真に「いまカンヌにいます」と書いていました。冗談として面白いかはさておき、こういうのは本物を考えるヒントになると感じました。 日本人が熱海に行くのとカンヌに行くのとでは当然のように希少性に差があります。ですからカンヌを訪れた人

食中毒のシェフ:写真の部屋

「1000回スタジオに入った経験があっても、毎回悩むんです」 ベテランの写真家から聞いた言葉です。「悩む」というのが私レベルには到底理解ができないくらい高度な意味なのでしょうが、それでも「今回は簡単」などとは思っていないのだな、と驚きました。 写真の技術は、カメラなどの機材の科学的な理解、現像やレタッチなどのポストプロダクション、撮影時に必要なコミュニケーション、プロップなどへの教養、ロケーションの選択眼、それらすべてを満たしていないと仕事になりません。 他人の写真に対

サボり写真:写真の部屋

若い頃、先輩から「お前は、雨が降っていると家の猫しか撮らないのか」と怒られた友人がいました。写真には行動の量が写りますから、雨だから部屋にいる猫でも撮るか、というサボリは伝わってしまうよ、ということだったのだと思います。 20代の人に会ったとき「おじいちゃんかよ」と言いたくなるほど枯れた写真を見せられることがあります。ベランダにある花、テーブルの上のオーガニックなクッキーとカプチーノの露出オーバー気味の写真に「日常の繊細な美」みたいにポエちらかしたキャプションがついているの

山村紘未さん:写真の部屋(無料記事)

いいモデルが目の前にいなければ、いい写真が撮れないのは当たり前です。つまるところ、写真家にとって「いいモデルと出会う能力」がとても大事だということになります。写真はモデルで女優の山村紘未さん。ある撮影で知り合い、何度も仕事をしました。 モデルとして活動していたときから、この人は俳優に向いているのではないかと感じていました。衣装を着てカメラの前に立った瞬間に何かが見えてくるからです。神秘的な言い方は好きではありませんし、おおげさな表現かもしれませんが、彼女がそこにいれば何もし

心がロコモコする:写真の部屋

私は30歳くらいまで「引きこもりのインドア人間」でした。広告のアートディレクターをしていたのですが、当時はわざわざスタジオで撮るアイデアばかりを提案していて、なぜかロケは避けていました。出不精だったのです。今はデブ性ですが。パワハラじみたオヤジギャグはさておき。 広告の仕事では自分がロケーションを決めるときもあるのですが、「ここでこういう撮影をする」というのが先に決まっていることもあります。そうなると行かざるを得ません。そこで「ロケって楽しいじゃん」と、10年遅れくらいの発

ハリウッド・メソッド:写真の部屋

写真でもムービーでもそうですが、演出して撮る側は「演技においてのグルメ」でないといけないと思っています。たとえば泣く演技。涙をスポイトで垂らして撮れば終わりではありません。なぜ写っている人はそこで泣いているのか、観る人がその涙に感情移入できるかどうか、が大事です。演出は小説を読んだり、映画を観たりすることで訓練できますが、そこで得られるデータは「してはいけないこと」の膨大なストックになります。 たとえば映画を観ていて、ここで主人公がこんなに泣くのはおかしい、と感じたとします

ギャラ問題:写真の部屋

相変わらず、平林監督が書いたことに影響されていますが、ギャランティの問題についてです。 平林監督の定期購読マガジンは非常に大事なことが書かれているので、是非とも。これに払う500円をケチると、今後の人生でいくら損をするかわかりません。で、私のほうも生々しい話になりますので、ここからメンバーのみに。