(詩)雨生まれのわたし

夏の前の
雨がなつかしい
梅雨の前の
雨のにおいがなつかしくて

誰もいない
海の見える駅の
プラットホームの壁にもたれて

ずっと
雨を見ていたかった
海の音聴きながら
波の音に遠慮して
細く小さくしっとりと
雑草の地面に落ちてゆく
雨粒がはじけてこわれる時の
笑い顔見たかった

それからやがて
雨は強くなり
海の音さえ聴こえなくなるまで
ずっと
雨を見ていたかった


雨の日が好きな雨生まれ
雨が恋しい雨生まれ

雨がなつかしいから雨生まれ
雨粒の気持ちが
いたいほどわかる雨生まれ

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