青大井空

目印はいくつもある、この星の上に この星の上でぼくたちが いつかまたやり直せるように …

青大井空

目印はいくつもある、この星の上に この星の上でぼくたちが いつかまたやり直せるように 時を越え再びめぐり会えるように 目印はいくつもある、この星の上に……。 /小説と詩を公開中。1962年生まれ、男

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  • 詩の倉庫と化してます。多分1、000個位はいくかと。

  • (詩集)きみの夢に届くまで

    詩の数が多いので、厳選しました。っても多い?

  • 小説と童話

    小説と童話です。 赤字のnoteに貢献すべく、有料にしました(多分貢献度0でしょうけど)。

  • 詩、小説以外

    雑記など。

  • (戯言集)コロナと戦争屋

    コロナとの戦いでなくコロナ騒動を起こした連中との戦い。併せてロシア・ウクライナ間にみられるプロパガンダ並びに戦争屋との戦い。

最近の記事

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(小説)八月の少年

43章の連載です。よかったらお付き合いください。どの章も長文なので、時間のある時にお読み下さい。 (あらすじ)#アインシュタイン #リトルボーイ #マンハッタン計画 #原爆 #ヒロシマ #昭和天皇 #尾瀬 #創作大賞2024 #ミステリー小説部門 《本文》(エピグラフ)  That we are is the certainty that, we have been and will be.(Lafcadio Hearn) (一) (六) (十一) (十六) (

    • (詩)雨を待って

      雨が降り出すと 街は海になる 浅瀬の海 透き通った雨粒の海が 街中へと広がってゆく パラソルは船 色とりどりの船が行き交う 信号はハーバーライト 雨粒は 寄せ返す波の飛沫(しぶき) 雨音は潮騒 雀も鳩もカラスも みんな海鳥 宛もなく さびしげな舟唄を口遊みながら わたしの船はこの海の中 きみの港まで 辿り着けるかな? 雨を待って 今日は雨を待って出掛けよう パラソルの波に揉まれながら ゆっくりゆっくり きみのもとへと ささやかなわたしの船を漕いで

      • (小説)八月の少年(十八)

        (十八)tsuyu  激しい雨が降った。そのせいで暑さは少し和らいだのだが。雨に混じって遠くから爆発音が聴こえた。  またか?  今度はどこだ?  確か前に爆発音を聴いた時そこはスターリングラードで、ドイツが敗北した場所。  今度はどこが戦場なのだ? 「激しい雨ですね」  突然声が。驚いて振り向くと車掌だった。 「何だ、きみかね」  わたしは安堵したようにため息を吐いた。 「雨もだが、きみ。あの爆発音も」 「ああ、あれですか」  車掌が悲しげな声で答えた。 「あれは、あの国

        • (詩)母の日には

          母の日には 部屋の窓辺に 赤いカーネーションの 一輪挿しを飾り 窓を開け 風に吹かれよう カーネーションが 五月の風に揺れ あたかも おかあさん、 あなたがわたしに 笑い掛けて くれているかのように この星の 大地に、海に そして夜になれば 遠い銀河の中に 今はもう 眠るあなたのために 今は夢見る少女のように 眠るあなたが くすくすっと わたしに 笑い掛けてくれるように 五月の窓辺に 一輪の赤い カーネーションを飾ろう

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        (小説)八月の少年

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        記事

          (小説)八月の少年(十七)

          (十七)サンタクロース  ドスン。  突然列車が止まった。車掌が現われ急いで外へ出た。 「どうしたのかね?」  わたしも後に続いた。外は豪雪。吹雪の中を列車の先頭まで辿り着いた。まっ白な車掌の背中が立ち尽くしている。 「どうした?」  問いかけながら前を見ると線路に雪が!なんと列車の高さまで降り積もっていた。列車はその雪に衝突して止まったのだ。 「すごい雪だね、どうするのだ?」  尋ねてはみたが車掌とてどうもできまい。寒さに震えながらわたしたちはしばらく黙って雪を見ていた。雪

          (小説)八月の少年(十七)

          (詩)母の日

          カーネーションに 蝶がとまっている 今日が母の日だと 知っているのかな カーネーションは 笑っている カーネーションが お母さんみたいに

          (詩)母の日

          (小説)八月の少年(十六)

          (十六)ロスアラモス  列車は街を抜け、街を抜けると突然雪が止み春の山並みが見えた。確かに春だ!色鮮やかな山の緑が続く。列車は山の中へと入ってゆく。  山。  日が沈みすぐにあたりはまっ暗になった。列車はどんどん山奥へと。  もしかして、ここは?  確かに見覚えのある景色だった。確かここは?そうだ、ここはせみしぐれ駅の後に入っていった山の中だ。  どうしてまた同じ場所へ?  そう思う間もなく列車は止まった。今度は穏やかな停車だった。しかし目の前は無数の灯りで眩しかった。  

          (小説)八月の少年(十六)

          (詩)ルネサンス

          世の中にはね 幸福になってしまうことで ひとりでいる時の さびしさを忘れてしまうよりは ずっとひとりでいることを 選ぶ人もいるんだよ 世の中は不思議なもので そんな人にも そんな人なりのよろこびは 訪れるものらしい だから この世界に生きる誰かの さびしさや苦しさが わからなくなってしまうというのなら 幸福と呼ばれるものも あんがいそんなに いいことでもなさそうだ もしも幸福になる順番が 人に決まっているというのなら かみさま わたしはいちばん最後でいい すべて

          (詩)ルネサンス

          (詩)きみといた五月

          五月 すべてが五月 きみは何に 五月を感じる? ううんとね 木洩れ陽、風、緑のささやき……。 ぼくはね ぼくは、きみ きみの泣きそうな笑い顔 五月 すべてが五月だった きみといた五月

          (詩)きみといた五月

          (小説)八月の少年(十五)

          (十五)スノーマン  シートに戻った。絶え間なく雪は降り続いた。いくつもの昼と夜が流れた。窓の外はまっ白で他には何も見えなかった。遠く何処からか爆発音が聴こえた。戦争はまだ続いているのだ。いつになったら終わるのだろう?ふと雪景色の中に何かが見えた。何だろう?吹雪の中にぽつりぽつりと黒い影。  戦車だ。ああ、今あそこで戦争をしているのだ。  兵士に抵抗する市民の姿が見えた。飢えと寒さと疲労に倒れる兵士が見えた。破壊された家の片隅にひとり取り残され泣いている幼子が見えた。そして

          (小説)八月の少年(十五)

          (小説)八月の少年(十四)

          (十四)聖夜  受話器を置いて列車の窓を見た。雪はもう街の家々の屋根に積もっていた。 「メリークリスマス!」  街の通りを子どもたちが嬉しそうに駆けてゆく。その後を白い子犬が尻尾を振りながら追いかける。その息がまた白い。その息の白さが何ともいとおしい程に白いのだ。気が付くと電話ボックスは消えていた。 「メリークリスマス!」  わたしは初めて教会で聖夜を迎えた晩のことを再び思い出した。わたしはその夜の記憶を辿った。  近所の主婦たちによる賛美歌。子どもたちの救世主誕生劇。牧

          (小説)八月の少年(十四)

          (詩)雨生まれのわたし

          夏の前の 雨がなつかしい 梅雨の前の 雨のにおいがなつかしくて 誰もいない 海の見える駅の プラットホームの壁にもたれて ずっと 雨を見ていたかった 海の音聴きながら 波の音に遠慮して 細く小さくしっとりと 雑草の地面に落ちてゆく 雨粒がはじけてこわれる時の 笑い顔見たかった それからやがて 雨は強くなり 海の音さえ聴こえなくなるまで ずっと 雨を見ていたかった 雨の日が好きな雨生まれ 雨が恋しい雨生まれ 雨がなつかしいから雨生まれ 雨粒の気持ちが いたいほどわかる

          (詩)雨生まれのわたし

          (小説)八月の少年(十三)

          (十三)電話ボックス  列車は何事もなかったように走り出した。幻のように見えた一点のあの光もすぐに山の暗黒の中に消え去り、荒涼とした風景だけが延々と続いた。わたしは眠気を覚え睡魔の中に吸い込まれた。  しばらく取りとめのない夢の中を彷徨っていたが突然わたしは目を覚ました。列車はまた止まっていた。わたしは車掌を呼ぼうとしてけれど止めた。何か、車内はまっ暗で何も見えなかった、その闇の中でわたしは何かが、何かが起こる予感を覚えた。  何だ?  わたしは黙った。黙ってそれを待った。そ

          (小説)八月の少年(十三)

          (詩)若葉の地球

          地球ははじめから 地球だったのかな? 大人の地球 それとも地球にも 子どもの時代があったのかな? 若葉の地球 地球がまだ若葉だった頃 光輝く五月、眩しい季節の中で 若葉だった地球は 一体どんな夢を 見ていたのだろう? 地球が見ていた夢 もしかして、それは……愛 子どもの夢は 往々にして敗れるもの 叶わずに散ってゆくもの 実現しないもの 夢が夢のままで潰える夢なのさ 現実の大人の世界に打ちのめされ 儚くも砕け散り…… それでも若葉の地球は 夢見ずにはいられない 傷だらけ

          (詩)若葉の地球

          (小説)八月の少年(十二)

          (十二)山奥  ベルが鳴り止み、列車はせみしぐれ駅を後にした。列車は林から森へ、森から山へと奥深く入っていった。いつしかせみしぐれも聴こえなくなり、木々の葉は色づき、色づいたかと思うとあっという間に枯れていった。まるで夏から秋へそして晩秋へと足早に季節が駆け抜けてゆくように。わたしは肌寒さを覚えた。日が沈み列車はまっ暗な山の中を走り続けた。  ふと列車が止まった。急ブレーキがかかったような止まり方だ。わたしはよろめいた。  どうしたのだ?  と、車掌が慌ててやってきた。車掌は

          (小説)八月の少年(十二)

          (詩)ふとん

          春の陽の中に ふとんが並んで ほされている 大きなふとんと それより 少しちいさなふとんが 数枚ならんで はなうたでも歌いながら 空高く、青くてまぶしい 空高く泳ぐこいのぼりたちを 見上げている でも ふとんたちはちっとも うらやましくなんかない 小さなふとんには ゆうべ泣きべそかいた 少女の涙が そして大きなふとんにも ゆうべ、おとうさんの 胸の中で流した おかあさんの涙が しみついているから 春の陽の中に ふとんが並んで ほされている ときより風に吹かれなが

          (詩)ふとん