青山Q太郎

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青山Q太郎

まとまりのない事を書き続けるだけです 美術と本と音楽の話が多いです X(Twitter)→@bmyasu

最近の記事

雑記 37 / 文才とは

毎日頂き女子りりちゃんの獄中日記を読んで打ちのめされている。 善悪やいろんな前提を超えて、自分の抱く価値観や常識を揺さぶられながら、心に響いてしまう。 端的に凄まじい。これこそ文学の仕事じゃないかと思わされる。 獄中日記の是非とか、頂き行為の善悪ついて論じる気はさらさらない。 けれども、あのテキストで語られること、文字に起こされた事実や感情の動き、そこで語られたり、あるいは語られなかったことによって示される社会通念との齟齬、言語の外側で示されている感情の厚みはとてつもないもの

    • 雑記 36 / 空腹に

      今日もまた夕飯を食べ損ねたまま家路に着く。「このまま頑張れば20時半には終わるだろう」と踏んで21時を過ぎる。読みが甘い。自らの労働時間もコントロールできずして何が管理職か。 21時以降に仕事を終えると、帰宅は22時を過ぎる。そんな時間に食べては身体を壊す。なので20時過ぎまでに店を出られる場合には家で夕飯を食べ、21時を過ぎると見込まれるときは仕事をしながら簡単に食事を済ませる。成城石井が近くにあるので助かる。 それにしても22時を過ぎて食事を摂るのと、夕飯を食べないのな

      • 雑記 35 / 今日もまた

        今日の僕は東京における港区のおしゃれ偏差値を下げていた。今から杉並に戻るから許してほしい。 何せ白白庵は港区南青山にある。青山通りに出れば国際色豊かにおしゃれな人々が多い。キラキラしている。もちろん普通に暮らして普通の生活をしている人たちもたくさんいて、ちょっと目をこらすと普段着と部屋着の中間みたいな人も少しは歩いている。 今日は白白庵展示設営日だったので、作業着だ。動きやすさが第一。何せ相手は絵画とか割れ物ばかり。そもそも好きではないとはいえ貴金属のアクセサリーなどもって

        • 雑記 34 / 伝統の

          「伝統の味」とか「秘伝のタレ」とか言われるとなんだか胡散臭く感じるけれど、これは自分だけなんだろうか。たとえば美味しさの根拠を過去の蓄積に求めるにしても、もう少し他の言い方があるはずで、あるいはその歴史的蓄積を噛み砕いて言語化したものを根拠として説明すべきところを「伝統」という事実だけで貫こうとするからだろうか。 権威性の根拠を「伝統」であるという事実だけで押し切ろうとするのは食べ物に限らず好むところではない。個人的志向を正確に言えば、権威的なものそのものが好きではないけれ

        雑記 37 / 文才とは

          【告知】『みんなで考えよう「工芸とは何か?」お勉強会!』

          ということでまた呼んでいただきました『大槻香奈の芸術お茶会』。 おかげさまでご好評の前回に続きお勉強会です。 今回のテーマは「工芸とは何か?」です。 また大きな問いです。主語は大きいし、「XXは何か?」という問いは基本的に着地点を持ちません。あるいはその問いを準備した人物の恣意的な回答に誘導される形であらかじめ定められた結論に辿り着くばかりでしょう。 このお勉強会に着地点があるとすれば、各々が問いの性質を整理して、日々の生活や創作に戻っていくことだと思います。 今回も僕が簡

          【告知】『みんなで考えよう「工芸とは何か?」お勉強会!』

          雑記 33 / あい変わらずわけの解らない事

          2006年、大学進学で東京へ。 "東京の街に出てきました"と言うには幾分ひっそりとした私鉄沿線の町に住んだ。くるりの言う"東京の街"も綾瀬付近の話らしいので、別に派手なものではなかったみたいだけれども。 大学卒業までの五年間をそこで過ごした。 訳あって今日、その駅周辺で1時間半ほど時間を潰さなくてはいけなくなった。散歩がてら昔住んでいたアパートが現存していることを確認し、当時通ったコンビニに同じ店員さんがいるのを見つけて驚き、無くなったラーメン屋を懐かしみ、痴話喧嘩のせいで

          雑記 33 / あい変わらずわけの解らない事

          雑記 32 / 書くことについての振り返り

          四月二日に思い立って始めたこのnoteも早二ヶ月。「書く」という行為をまずは習慣化するため、特にテーマを設定せず、毎日投稿することだけをルールとした。行為を習慣にするまでに必要な時間は簡単なもので約三週間、運動やトレーニングの場合は八ヶ月程度、平均すると約二ヶ月、という調査もあるそうだ。 本当に習慣化するためにはもう少し毎日書くことを続けた方が良さそうだ。 休まず書く場合、現時点で僕にとって負担なく続けられるのは1500字前後。能力的にも、一日に確保できる時間からしても。し

          雑記 32 / 書くことについての振り返り

          雑記 31 / 食器の見方

          父(陶工)と仕事をしていた頃に「食器の良し悪しを見分けるにはここを見ろ!」というポイントをいくつか教わった。 ある程度ロジカルなものもあれば、非常に感覚的なものもあり、はたまたその中間くらいのネタもあった。「口元の〆方を見ろ、ダメなやつは『たわけが口開けて空眺めとるやつ』や」とか「右手前の間がイメージできるか」とか色々。結局のところ、それを頭に入れた上でものすごくたくさんの物を眺めて、長い時間をかけて触れないといけないものばかりだった。その直観を磨く基礎を当時は叩き込まれた。

          雑記 31 / 食器の見方

          雑記 30 / 雑談の壁

          昔から雑談が苦手だ。嫌いというわけではない。 意味のある事とか大事な事以外に何を話したら良いのか分からないだけだ。 かと言って、大事な話とか真剣な話ばかりしているわけにもいかない。込みいった話にもTPOがある。話して良い相手とそうでない相手がいる。「なんでもない話」そのものに意味があるのではなく、コミュニケーションの意志を示すことが何かしらのしるしとなって、緊張を解きほぐす機能となることも分かる。いい歳なんだからそれくらいは理解している。 相手に興味がないかと訊かれたらそんな

          雑記 30 / 雑談の壁

          『死んじゃいけない星』の余韻

          白白庵で先日開催された大槻香奈個展『死んじゃいけない星』のまとめが公開されています。 改めて読み返してみると自分自身の告知頻度がとても多い。けれどもSNSというのは、これくらいしつこく告知しても案外届いていなかったりします。 Twitter(自称X)のアルゴリズムも今やどうなっているかよく分からないので、もしかしたら人によっては延々とこの展覧会の話が表示され続け、あるいは近しい人でも全然表示されてない、なんてこともあったかもしれません。いずれにせよ告知であると同時に将来的な

          『死んじゃいけない星』の余韻

          読書記録 / メタモルフォーゼの哲学

          "私たちはただ一つの同じ生である。生は移動し、増殖し、変形する――まったく新しいエコロジーを導く、メタモルフォーゼの形而上学。" ここで述べられる「生」とは生命一般を総合した大きな存在としての「生」だ。あらゆる生命体は、「生」がメタモルフォーゼして仮の形をとったものに過ぎない。 私たち個人も、かつてはその両親の体の一部だった。かつて別個体であった記憶を失うことで我々は個を、あるいは自我を獲得していく。 「食べる」こともメタモルフォーゼだ。他の個体としての形式を取っている何か

          読書記録 / メタモルフォーゼの哲学

          雑記 29 / 言語化するか否か

          昨日の配信が既にアーカイブ公開されてますね。 リアルタイムと後から見返すのでは気になるポイントも変わるでしょうし、実際参加していた自分自身でも、その瞬間は意識できていなかった話とか誰かの言葉もあるでしょうから復習が大事ですね。何せお勉強会ですから。時間を作って見直したいですし、ぜひご覧いただいてまた色々教えていただければと願うばかりです。 なにせ有意義な内容になっているはずです。作家の視点と、鑑賞者の視点、そしてそれを繋ぐ僕の視点が交差しながら「オリジナル」について考えると

          雑記 29 / 言語化するか否か

          お勉強会のお礼と感想

          これを書いている時点ではまだアーカイブが公開されていないのですが、すぐに見られるようになるのでしょう。 【勉強回#1】青山泰文×池田はるか×大槻香奈『みんなで考えよう「オリジナルってなあに?」お勉強会!』をご視聴いただいた皆さまありがとうございました。 そもそも着地点のある話ではないのですが、後半からどんどんコメントを頂いて、大槻さんと池田さんとそして僕の三人だけでなく、みんなで勉強している感じがあってとても楽しかったです。そして皆さんがそれぞれ抱く感覚や思いなどもなんとな

          お勉強会のお礼と感想

          『大槻香奈の芸術お茶会』感想と再告知

          たぶん肋骨にヒビが入ってしまった。 ソファに座ったまま、そばに積んである本を取ろうとしてバランスを崩し、手すりに胸部を押しつけるような姿勢となり、角で圧迫してしまったのが数日前。ここだなってポイントを押すとなんとなくキシキシいってる。以前にもやってしまったことはある。放っておけば治る。痛むけれど別に気にならない。 主観的な痛みで苦しむ、というわけでなく「自分の身体が痛みを持っている」という、どこか他人事というか、傍観しているような感覚の方が強い。くしゃみをしただけで痛むのも笑

          『大槻香奈の芸術お茶会』感想と再告知

          雑記28 / ドラクエ

          子どもの頃はドラクエが好き、というよりもドラクエの攻略本が大好きだった。装備品やモンスターのイラストを眺めて、その数値を頭に入れて、物語の断片を読みながらストーリーへの想像を膨らませる。それが楽しかった。 SFC版『3』の攻略本が出る前にファミコン版の攻略本を買って、後から出たSFCの攻略本と読み比べたこともあった。実際にプレイしているゲームの進行より先にどこのダンジョンでどれくらい強いモンスターがいるかも、ダンジョンの構造すらも覚えてしまっていた。先々で手に入る装備品がど

          雑記28 / ドラクエ

          【告知】シラスでのお勉強会【オリジナルってなあに?】

          またまた大槻香奈さんのシラスに呼んでいただきました。今回は『日本現代うつわ論』を作るゆめしか出版メンバーとしてですね。 みんなで気楽に芸術に関するお勉強会をしましょう、というお茶会の配信です。(入れ子構造でうつわ的な告知文!) 有料配信ですが有意義な回になればいいなぁとレジュメも準備しました。みんな好きですよね?芸術における「オリジナル」の話。 干支も二周目に入るくらい古い話にはなりますが、大学では哲学を専攻しており、卒論は『音楽における模倣』で書きました。 当時バンド

          【告知】シラスでのお勉強会【オリジナルってなあに?】