小豆洗はじめ

妖怪の小豆洗いが好きですが、妖怪には無関係の者です。 詩のようなもの(ほとんど散文)を…

小豆洗はじめ

妖怪の小豆洗いが好きですが、妖怪には無関係の者です。 詩のようなもの(ほとんど散文)を書いてます。 ブログ「暇つぶしにも、腹の足しにもならない」も見ていただけると嬉しいです。 http://one0123.blog90.fc2.com/

最近の記事

【自作詩】フォークとナイフ

なにを切り分けようとおもったのか 左手にフォーク 右手にナイフを もって出かけた ラザニアを食べかけていたから 赤いソースがついている すれ違う人がちらっと目をやり 奇妙な持ちものに驚いた素ぶり それでも結局のところ無関心だ オープンカフェでマイクを握り 歌っているあの青年は かつて内気だった 秘めていたエネルギーが 伸びやかな歌声に乗って 通りを抜けていく 声に押されながら道を行く 小高い丘を取り巻く道に出ると 丘の主みたいなおじさんに出会う "ここは街灯がないから

    • 【自作詩】オロロン

      窓を開けると 雨が降っている 今気づいたことのように思ったけれど そういえば朝からだった 窓を閉めようとしたら ウロロロロ… ウロロロロ… 鳥がノドを転がすような鳴き声がする 雨だし気のせいだろうか 昔読んだ絵本の オロロンチョウを思い出す オロローン オロローン 想像の中でしか聴いたことのない鳴き声が 雨に混じって聴こえてくる

      • 【自作詩】欠落

        感情の欠落を思わずには いられないときがある 花を見て美しいと思い 木を見て安らぐと感じ そういうこと以上に 大切な感情があるだろうか と思ったりもする それでも感情の欠落を 思わずにはいられないときがある 深海のように暗く冷えた場所が口を開けて 私の中から私を見ている

        • 文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました!

          5/19(日)開催の文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました! 出店者もお客さんもかなりの数で、情熱溢れる数々の作品が並ぶ会場は熱気ムンムンでした🔥 毎回、出店者の皆さんの創作意欲に圧倒され、装丁やブースでの並べ方などの様々なデザインや工夫にも心底感心します。 自分ももっともっと良い作品を作りたいと思いました。 文学フリマで販売した詩集、ポストカード、詩皮(ブックカバー)は、東京の神保町にある共同書店「PASSAGE」でも販売しています。 機会がありましたらお店を覗い

        【自作詩】フォークとナイフ

          【自作詩】memory

          0と1とで 構築された世界から 取り除かれた雑音は どこへいったのか 復元などできなくとも それを聴いていたこと だれかと聴いてたこと わたしたちのなかに 堆積していく音たち

          【自作詩】memory

          【自作詩】螺

          あらゆる現実が遠くて 螺旋階段を降りていくとき 遠心なのか求心なのか わからない力に引っ張られながら 地下へ潜っていくように歩く こどもと同じ高さの目線まで 降りた場所には 素足で立った砂浜や 素手で触れた花弁が 在るだろうか 月の光が螺旋の 中心に射していて 遠心なのか求心なのか わからない力が ぼくを土へ還す

          【自作詩】螺

          5/19(日)文学フリマ東京に出店します📚

          来週5/19(日)東京流通センターで開催の文学フリマ東京38に出店予定です。 〈出品予定作品📚〉 ・詩集 10種  『季節の階調』シリーズ   春、夏、秋、冬、間(はざま)、 旅、ことば、よる、音楽、日々 ・ポストカード 6種   五月の風、夏の呼び声、根、 photographs、as time goes on、骨 ・詩皮(ブックカバー) 6種   五月の風、夏の呼び声、根、 photographs、as time goes on

          5/19(日)文学フリマ東京に出店します📚

          【自作詩】なみだがでる

          かなしいとき なみだがでる さみしいとき なみだがでる いかりが解消できないとき なみだがでる 感情を言葉にできないとき なみだがでる 明日が不安でしょうがないとき なみだがでる 過去が悔やまれてならないとき なみだがでる 山に行けば 海に行けば 花が咲けば 風が吹けば 自然のすがたに なみだがでる だれかが自分のことを 想ってくれたとき なみだがでる ほんとうに なきたくなるのは 感謝をどう伝えたらいいか わからないとき ありがとうのことばが なみだになる あ

          【自作詩】なみだがでる

          【自作詩】ひつような時間

          言葉がいらない ときがある 歌でなく曲を聴きたい ときのように 言葉を必要としない時間 という選択

          【自作詩】ひつような時間

          【自作詩】過程

          たどり着くまでの プロセスだって旅だ 急いではいない 各駅停車で行く 空隙を埋める必要もない 休符だって音楽だから その人のなかで 芽吹いたものが ずっと息づいている

          【自作詩】過程

          【自作詩】雨垂れ

          雨垂れ、 踏切り、 規則的 あるいは 不規則的な音が 窓のこちら側に 降ってくる 雨垂れ、 踏切り、 規則的 あるいは 不規則的な音が 記憶の扉をたたき 雨垂れ、 踏切り、 規則的 あるいは 変速的なリズムで 思い出の底を打つ

          【自作詩】雨垂れ

          【自作詩】窓辺の雲

          窓に映る雲を見ながら いつもことばをさがしている もしかしたら さがしているものは ことばじゃなくて こういう雲みたいなもの だったのかもしれない

          【自作詩】窓辺の雲

          【自作詩】海とひとり、ひとりと海

          ひとりで 夜の海をながめていると (それは想像の海でもいい) 自分の内から 孤独な部分が染み出してきて 海に混じる 海のほうも 岸に上がって 足もとから徐々に重なってきて 皮膚や肉や骨を通過し その内側にある孤独を誘い出す 体にだんだんと潮が満ちてきて そうなるともう皮膚も肉も 骨も内臓も関係なく みんな孤独で満たされていくのがわかる 熱くも 冷たくもなりすぎず 過密でも過疎でもなく ちょうどよいものが 内と外と その境界でも 揺れている 海とひとり 揺れている

          【自作詩】海とひとり、ひとりと海

          【自作詩】つづき

          眠りで分断されなかった 昨日と今日の 時間がつながる。 昨日の中の今日が始まる。 今日の中に昨日が流れている。 ホームの端まで歩いて 逆の端を見る。 こんなふうに何かの 始まりに立ちながら いつでも終わりを 見ていたような気がする。 しかしよく見たら ホームの端は終わりでも 始まりでもなかった。 昨日からやって来た電車が 今日を乗せてその先の時間へ 進んでいく。ガタゴト…

          【自作詩】つづき

          【自作詩】たたかいへ

          たたかいに行くゆめを見てしまった まるで祭りにでも行くみたいに 興奮した気分だった だれもがいつもとすこしちがった その違和感がまたおたがいを高揚させた みんな陽気で団結して助けあって やさしくて面倒見がよくて まじめにたたかいに向かっていた ぼくの乗ったシンプルでオンボロな 車はなかなか動いてくれずに たたかいに行く群れの中でおちこぼれ どんどんおくれていく どんどんおくれていく ぼくはぼくの興奮から 取り残され目がさめる あのたたかいはゆめ だったんだろうか あのたたか

          【自作詩】たたかいへ

          【自作詩】朝が燃えようと

          明けようとする 朝がやわらかな 手足を空に ひろげ始める 薄まった三日月が 追ってきて 影絵のように 切り取られた 観覧車の枠に つと腰かける 昨日の残像を 染め上げて 燃えようとする 朝の色のなかで 月はまもなく 目を閉じ 観覧車はうんと 伸びをする

          【自作詩】朝が燃えようと