マガジンのカバー画像

オリジナル短編小説・シナリオ集

22
birdfilmの映像作家 増田達彦が書く、映画やショートムービーの原案になるような不思議な短編・掌編小説や、昭和の時代を感じられる戦中戦後の少年成長物語、業界エンターテインメン… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

ロボ・ヒーロー ~ 地獄の戦場リポーター ~

(注意※フィクションですが残酷なシーンが出てきますので、ご注意ください。決して笑えるとか…

birdfilm
11日前
64

【短編小説】韋駄天ハチ公

 きょうは福太郎の従妹、沙織ちゃんの結婚式だ。なんでも東京の渋谷駅に近いビルの高級レスト…

birdfilm
2週間前
68

ブランコ

もしもあなたが  今 ひとりなら ブランコに  揺られて みませんか 前へ行ったり  後…

birdfilm
4週間前
82

短編物語 竜宮磯

 初夏、志摩の磯の海女漁が解禁になった。  海で母親を亡くし、男手一つでここまで育ててく…

birdfilm
1か月前
70

【なんちゃって小説】ハッピー・ニュー・イヤー

【前説】 こんにちは!birdfilmの映像作家、増田達彦です。 私がまだ局のテレビマンだった1980…

birdfilm
1年前
6

蒼穹の彼方へ ~沖縄戦追悼~

 【前書き】  今から79年前の春、沖縄に米軍が上陸しました。 日本の多くの若者たちが特攻隊…

birdfilm
1年前
16

短編小説 海人(うみんちゅ)

   十月中旬というのに、この島を照らす日差しはまるで真夏だった。  珊瑚礁に囲まれた海は、近頃増えたカラフルなクルーザーに占領された小さなこの港の中まで、狂ったように澄み切っている。  この島を訪れる本土からのリゾート客の目には、この海が原始の頃のそれのように、純粋で汚れの無い無垢の海に映るらしい。海底に無残に散らばる珊瑚の死骸がなければ、この島に海人として生まれ、海人として育った那彦でさえ、そう思ったに違いない。    その澄み切った海底にくっきりと影を落としながら、新

タイパ・タクシー

ハイ、お待たせ、 どちらまで? え?次太夫堀公園民家園? 世田谷の? ・・・ お客さん、通な…

birdfilm
3か月前
45

【短編歴史小説】ノンノ

その流行り病が都を襲い、人々が次々と倒れだしたのは、 まだ山の頂に雪が残る、早春のことだ…

birdfilm
2年前
6

【幻想短編小説】魚玉石(うおたまいし)

 邪心のある者はその神社に決してたどり着けないという。  紀伊山地の奥地、奈良県十津川村…

birdfilm
2年前
6

【短編小説】なつむし

 棚田を断ち切るようになだらかに上る一本の坂道を、一人の老婆が登っていく。丸まった背中が…

birdfilm
2年前
7

スキャンダル・à gogo    #1 プロローグ

(書き下ろし) 「こんな領収書、経理通るわけないじゃないの!」  制作庶務担当の遠山佳子…

birdfilm
1か月前
42

【短編歴史小説】瑠璃(るり)の玉

 天平感宝元年(西暦749年) 新緑が万緑に変わり始める初夏、 その万緑を水面に映して流れる …

birdfilm
2年前
5

空とぶゴカイ

ざぶーん、しゅわしゅわー、 ざぶーん、しゅわしゅわー、 打ち寄せる波音が気持ちいい ここは、5月の磯です。 磯の岩場には、潮が引いて、 海の水がプールのように残った 潮だまりがあります。 その中は波も入ってこないので、 本物のプールのように静かです。 でも、そっとのぞいてみると、 たくさんの生きものたちが 暮らしています。 そんな潮だまりの中に、 古くから住んでいる、 サザエの親分がいました。 サザエの親分は、 潮だまりのみんなの相談役です。 きょうも、バフンウ