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ヤコポ・ズッキ「アモールとプシュケ」つながりで、少し


↑このつぶやき記事のコメント欄に書いた内容、せっかくなのであらためて記事にしたくなりました(^^ゞ


 アモールとプシュケーの物語は、帝政ローマ期の弁論作家アプレイウス(123年頃 - ?)が書いた小説『黄金の驢馬』の挿話です。この部分が特に有名となり、古典期のみならず近現代、ポップカルチャーまで含めて、広く人気となっています。

 アモールの正体を確かめるべく灯りを照らすこの場面は、ドラマティックさゆえに、数多くの絵に描かれています。

 このプシュケーは人がよさそう…育ちもよさそう。(アプレイウスの原作のプシュケーも、実にのほほんとしています。それが、《魂》の美質ということなのでしょうか。) なのにナイフを持ってて、絵的に右手だけ別世界...と思っちゃうけど、原作だと、お相手が愛の神さまだったことを知り、畏怖で取り乱すことになっています。定番中の定番・呉茂一さんの訳では、カミソリと訳されているのだけど、慌てふためいてそのカミソリを胸に刺して、一瞬、自殺しようとするのよね、プシュケーさん。そのあたりをじっくり解剖するのも愉しい作業でした。

 翻案する私が現代人なので、心理面を掘り下げたくなるのですが、これはフロイト以降、ラカン以降の精神分析が活発化した時代の特質ないし弊害なのかもしれす...原作が持っているおおらかな寓話の良さとは別の次元になりました(^^ゞ

 グリムもイソップも、現代はなんでも《解釈》して分解して解析して、結果、息の根を止めてしまうように思えます。それこそが時代の《病》なのでしょうね...🤔💦


 タイトル画像枠に貼ると、ご覧の通り、手元のナイフとアモールがフレームアウトするので、使おうかと思って最終候補に残していたけれど、私のストーリーだと緊迫感が足りないので、やめておきました。

 でも好きな絵なので、ここで紹介しておきます ·͜· ♡

 これからしばらく、《雨夜の星の絵画帖》はギリシャ神話シリーズです。主要キャラクターから壁の花みたいな端役まで、主だった神々をピックアップしていきます。

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