岸和良 

デジタルビジネスを研究し、ビジネス発想ワークショップやDXビジネス検定を企画開発販売し…

岸和良 

デジタルビジネスを研究し、ビジネス発想ワークショップやDXビジネス検定を企画開発販売しています。連載記事や書籍を書いています。住友生命のデジタル共創オフィサーです。豆蔵、NODE、経済産業新報、ネクストエデュケーションシンク、EQパートナーズ、長崎県、下呂市の顧問をしています。

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コロナ入社のZ世代若者と一緒に仕事してわかったこと

はじめに 筆者は生命保険会社でデジタル共創オフィサーという一般にはCDOの役割で働いています。また社外企業や自治体などのDX顧問もボランティアでやっており主にDX人材教育を担当しています。うちの会社だけではないですが、近年、多くの職場でZ世代職員の割合が増えています。 当社にも若いデータサイエンティストが10人以上働いており、コロナ入社だったので最初はコミュニケーションが取れず大変だったでしょう。名刺も渡したことがない、オフィスにいかない、先輩社員のことがわからないので不

    • 社内に新ビジネスを提案しても関心が薄いのに社外向けの記事にして話題になると「やってみろ」という話になる件

      はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 その中で、伝統的な日本企業(JTC)において「新しい取り組みが社内で取り上げられずに蔵に入って行く事例」を多くみてきた。特に社外で聞く話は「やれば良いのに。丁寧にやれば当たりそうなのにもったいない」と思ってきたので、今回はこの話

      • 戦艦からモビルスーツに移ったように「個人が生成AIで武装化すると企業が攻められる時代になるかもしれない」件

        はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧客先やパートナー企社のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 そんな中で感じるのは、生成AIの登場によって、「社会のパラダイムチェンジが起きるのではないか」ということだ。それは機動戦士ガンダムの世界観である「戦艦からモビルスーツへの移行」に例えられる。大型で強力な戦艦に代表される「大規模組

        • デジタルの世界では「プロダクトアウト」は辛く、「まずコンテンツで興味ある人を集め、複数のプロダクトやサービスを投入する方が有利」な件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 その関係でJTC(日本の伝統的大企業)のデジタルビジネスに不慣れな新規事業部門の人たちから相談を受けるが、彼らは「自分で作れそうなもの」をデジタルで販売しようとする。しかしそれではマーケティングコストばかりかかる割には売れないし

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        コロナ入社のZ世代若者と一緒に仕事してわかったこと

        • 社内に新ビジネスを提案しても関心が薄いのに社外向けの記事にして話題になると「やってみろ」という話になる件

        • 戦艦からモビルスーツに移ったように「個人が生成AIで武装化すると企業が攻められる時代になるかもしれない」件

        • デジタルの世界では「プロダクトアウト」は辛く、「まずコンテンツで興味ある人を集め、複数のプロダクトやサービスを投入する方が有利」な件

          生成AIとアプリ作成ローコードSaasツールとコミュニティが「やや大きくなったアプリ受託スタートアップ」には辛い件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 その関係で年間何回もエグゼクティブセミナーなどで講演を聞いたり、スタートアップと膨大な面談をしたり、事業会社のDX責任者から悩みを聞く。①事業会社の願望や悩み、②スタートアップの営業担当の焦りや叫び、③外資の巨大アプリ作成ローコ

          生成AIとアプリ作成ローコードSaasツールとコミュニティが「やや大きくなったアプリ受託スタートアップ」には辛い件

          生成AIは便利だけど「問いをたてられない人が育つ」ことは避けたい件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 先日、あるCIOエグゼクティブセミナーで講演をしたところ進行を担当された議長の方から質問をいただいた。それは 「生成AIはすでに提示された「問い」に答えを出すには便利だけど「問いをたてる」人が育たないのではないか。「問い」をた

          生成AIは便利だけど「問いをたてられない人が育つ」ことは避けたい件

          JTCはDXも生成AIもちょっと興味を持つけど「いらない」という人が多い件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧客先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 その中で感じるのは、多くのJTC(日本の伝統的企業)で、DXや生成AIへの取り組みが一過性のブームに終わってしまう寂しさだ。せっかく導入したデジタルツールや生成AIが、JTC社員に十分に活用されないまま使われなくなってしまうこと

          JTCはDXも生成AIもちょっと興味を持つけど「いらない」という人が多い件

          Z世代若者がデジタルやプラットフォームを使いこなせることをJTC管理職は気づいていない件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 住友生命では2020年から、Z世代若者をデジタル&データ専門人材として新卒採用している。コロナ禍の中では彼らに十分なメンタルケアができなかった。そのためコロナ禍中、彼らが社内に気持ち的にジョインできず、大きな課題となった。202

          Z世代若者がデジタルやプラットフォームを使いこなせることをJTC管理職は気づいていない件

          JTCは「現場の営業の人」がDXビジネス発想に強みがある件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。また、全国でDXを自分ごと化する「DXビジネス発想ワークショップ」を5年以上実施している。 社内向け、社外向け両方にワークショップを実施しているが、弊社の東海地域の支社で現場の営業職に実施したところ、実に面白いアイデアが出てきて興

          JTCは「現場の営業の人」がDXビジネス発想に強みがある件

          JTCのDX人材育成に役立つ「3つの未顧客、顧客向けデジタル施策」の件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 この事情から、JTC(日本の伝統的企業)のDX推進における相談に接することが多い。この中で多い相談は「DXでは何から開始したら良いか」「何を学んだら良いか」「何をやったらDX人材が育つか」などである。 会社が「DXで何をやるか

          JTCのDX人材育成に役立つ「3つの未顧客、顧客向けデジタル施策」の件

          JTCは「その成り立ちと特性により、DXがとても苦手」な件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。この事情から、JTC(日本の伝統的企業)のDX推進における相談に接することが多い。 JTCはその成り立ちや企業としての成長過程、人事評価制度の厳密性から、社員一人一人の役割や責任を明確化する特性がある。DXのような大きな変革では、

          JTCは「その成り立ちと特性により、DXがとても苦手」な件

          JTCへのDXコンサル投入で子会社社員には「楽をする人」と「リスキリングする人」と「転職する人」が現れる件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 DXを進める上で、多くのJTC(日本の伝統的企業)が最初は独力で進めることができず、外部の企業に伴走支援を依頼するケースが多い。筆者の会社もそうであった。伴走してもらう外部企業には世に知られた外資系のカタカナDXコンサル企業が多

          JTCへのDXコンサル投入で子会社社員には「楽をする人」と「リスキリングする人」と「転職する人」が現れる件

          DX企画推進者は「個人事業っぽい活動を3ヶ月くらいやってみるべき」な件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 この中で、JTC(日本の伝統的企業)の役職者からよく聞かれることに「なぜDXが上手くいかないのか」「社員から良いDXが提案されない」「ツール導入に終始している」などがある。その答えの一つにJTCの社員は、その構造上、商売や事業を

          DX企画推進者は「個人事業っぽい活動を3ヶ月くらいやってみるべき」な件

          JTCは自社製品にこだわって「プロダクトアウトなDX」を考えてしまう件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 この中で、JTCの事業会社、特にメーカーからよく聞かれることの一つに「社員から新規事業が出てこない。出てきても魅力がない。他社の真似っぽいのが多い。どうしたら良いかわからないので教えて欲しい」ということがある。 筆者の考えでは

          JTCは自社製品にこだわって「プロダクトアウトなDX」を考えてしまう件

          JTCの新規事業アイデアコンテストは「社員の想いだけでやらせてはいけない」件

          はじめに 筆者は生命保険会社のCDOとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 この中で、JTC事業会社からよく聞かれることの一つに「新規事業のアイデアコンテストをやっているが、入賞した社員のビジネスを検討させても上手くいかない。スケールしないし、本業に役立たない。どうしたら良いかわからないので教えて欲しい

          JTCの新規事業アイデアコンテストは「社員の想いだけでやらせてはいけない」件

          JTCの新規事業担当者が「上から」になってしまうメカニズムと改善策

          はじめに 筆者はJTC生命保険会社の「デジタル共創オフィサー」として、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、スタートアップの顧問やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援、官公庁のDX推進委員などを務め、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。 近年、オープンイノベーションの流れから、JTC(日本の伝統的大企業)とスタートアップの接点が増えているが、JTCの新規事業担当による「上から態度」で、うまく協業に結びつかないケースが多い。

          JTCの新規事業担当者が「上から」になってしまうメカニズムと改善策