精神科医はぐりん

精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしてます。精神科専門医/精神保健指定医 /産業医…

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精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしてます。精神科専門医/精神保健指定医 /産業医/現代ビジネス(講談社)執筆

マガジン

  • 神経発達症

    ASD、ADHD、その他発達障害について書いています。

  • メンタルヘルス全般

    対人関係、毒親問題、フェミニズム、共依存、箱庭療法、食い尽くし系、その他諸々について書いています。

  • 愛着障害

    愛着障害について、書いています。

  • カサンドラ症候群

    夫婦やパートナー間を悩ます、現代病でもあるカサンドラ症候群、についてかいています。

  • ヨガ

    某大手ヨガ教室に通っています。精神科医の視点からヨガについて書きました。

最近の記事

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自己紹介

はじめまして。精神科医のはぐりんと言います。 このブログでは、精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。また日々の生活に役立つ情報、主に対人面の問題について、精神科医の視点でお伝えしています。 私がnoteを始めようと思ったきっかけですが、日々精神科病院で勤務している中で、以前に比べれば敷居は低くはなったものの、まだまだ精神科への受診や治療へのハードルが高く、一般の方々にも精神科のことが広まっていないと感じたからです。 また精神医学は人の心を扱う学問のため、身体

    • ヤンキーは絶滅してしまったのか

      こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は、先日学校健診に行ってきた際の話。 毎年春先に行っているのですが、中学生150名くらいを一気に見ます。 色々な子がいて、それこそ最近は国籍やジェンダーの面でも多様で、何人か気になる子がいたのですが、ひと際気になった子を一人紹介したいと思います。 その子は入室するなり、気怠そうに茶髪をかき上げ、椅子にドカッと座りました。 こちらが何を聞いても「大丈夫‥」と不機嫌そうに答えるの

      • 発達障害の方がアドリブが効かないワケ

        咄嗟に気の利いた返しができない 「あの時こう言っておけば良かった」 上司や友人、あるいは職場の会議などで、その場では咄嗟に良い考えや気の利いた言葉が浮かばず、 後になってから徐々に理解が追い付き、良いアイデアや言葉を思いつき後悔する、、 パッと言葉が出てこない、いわゆる 「アドリブが効かない」「会話の瞬発力がない」、 誰しもがそういった経験があるかとは思いますが、こと発達障害の方は往々にしてそういった経験があるかと思います。 今回はなぜ発達障害の方にこういった理解

        • フロイトを語る精神科医は「ヤバい」のか

          フロイトの名著「夢判断」 NHKで放送されている「100分de名著」という番組をご存知でしょうか? 一回の放送25分を週1回→月4回にわたり、 文字どおり100分で、難解かつ長編の過去の名著を読み解いていく番組です。 毎月一冊ずつ様々な名著が取り扱われるのですが、 去る4月に放送されたのが、 フロイトの名著「夢判断」でした。 実際の「夢判断」の和訳は、分厚い上下巻2冊に分かれていて読破するのは相当大変です。 それを100分で、しかも映像や専門家の解説を通して(視覚や

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        記事

          ストーカーは精神科医療で治せるのか

          ストーカー対策の現状 ここ最近、私の勤務する病院に、ストーカーで措置入院となったケースが複数あった。 措置入院とは精神科における入院形態の一つで、精神障害により自傷他害の恐れがあると(警察等が)通報し、県知事の命令で入院となる強制入院だ。 ストーカーは精神科医療で治せるものなのか、警察や司法の範疇なのか、ケースバイケースと言えるが、年々医療や心理カウンセリング側に寄ってきている印象はある。 ストーカー行為の8割は警察の警告等で収まる、と言われている。逆に言うと残りの2

          ストーカーは精神科医療で治せるのか

          薬を欲しがる人たち~ベンゾ系ってなに?

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 以前の記事では、「ほとんどの患者さんは薬を飲みたくないと思っている」と書かせていただきました(精神科医は何を考えて薬を処方しているのか)。 今回はそれとは逆に、薬を欲しがる人たち、と題してご紹介したいと思います。 薬を欲しがる人たちは一定数いると言えます。それも特定の薬に偏って欲しがります。 それは「ベンゾジアゼピン系(以下ベンゾ系)」と呼ばれる薬たちです。 デパスやハルシオン、

          薬を欲しがる人たち~ベンゾ系ってなに?

          発達特性を持つ方が30年以上続けている仕事

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は、発達特性を持つある患者さんが30年以上続けている仕事、と題してお伝えしていきたいと思います。 50代の女性Aさん、旦那さんに連れられ初めて精神科を受診されました。 受診の直接のキッカケは夫婦関係の悪化と、 「離婚するために行った」とある軽犯罪行為(詳細は伏せます)でした。夫への当てつけにしては奇妙で突飛な行動と言えます。 Aさんは極端に片付けが苦手で、家は足の踏み場もないほ

          発達特性を持つ方が30年以上続けている仕事

          双子の姉妹が歩み始めたそれぞれの道

          先日、不登校を理由に、とある女子高校生(Aさん)が病院を受診されました。 1年ほど前から徐々に学校に行けなくなり、友人もほとんどおらずに孤立し、勉強もついていけない状況でした。 Aさんにはいくつかの特性がありました。 特定の色の服しか着ない、偏食が著しく食べ物のレパートリーが極端に少ない、多人数でいると何を話していいのかわからない、生活音が気になり時にトイレにこもる、等々こだわりやコミュニケーションの問題、さらには感覚過敏といった特性が見られました。 こういった特性は

          双子の姉妹が歩み始めたそれぞれの道

          日常生活を浸食する強迫性障害という病

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は強迫性障害について書いてみたいと思います。最近では俳優の佐藤二朗さんや、アイドルの道重さゆみさんが強迫性障害を告白され、少なからず話題にもなりました。一口に強迫性障害と言っても様々な症状があるのですが、今回は私が実際に診た患者さんを例に、2つの典型的なパターンをご紹介したいと思います。 車で誰かを轢いたのではないか‥ 40代の女性Aさん、車での出勤途中に「人を轢いたのではないか

          日常生活を浸食する強迫性障害という病

          入院中にスマホでゲーム!?

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は精神科病院での入院生活について、特に スマホの扱いについて書いていきたいと思います。 ※長いのでお時間ない方は、まとめ〜だけでもお読みいただければと思います。 入院中はどんな生活を送っているのか 精神科病院に入院中の方は一体どんな生活を送っているのでしょうか? 比較的落ち着いている方を例に挙げると、起床と就寝、三食の食事時間は決まっています。薬も決まった時間に配薬され、退院が

          入院中にスマホでゲーム!?

          精神科医は何を考えて薬を処方しているのか

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は薬についてです。私自身、薬があまり好きではないほうなのですが、それでも 「薬を飲む必要のある方(症状が良くなる方)が一定数いる」と言えます。 一体精神科医がどういったことを考えながら薬を処方しているのか、書いていきたいと思います。 何を考えて薬の量を調整しているのか まずお伝えしたいのは、ほとんどの精神科医は 「患者さんはできれば薬を飲みたくないと思っている」 ということ

          精神科医は何を考えて薬を処方しているのか

          【書評】『母という呪縛 娘という牢獄』〜最恐レベルの毒親実録集

          「母という呪縛 娘という牢獄」という本を読んだ。2018年に起きた、娘が「究極の毒親」を刺殺した事件、俗に言う医学部9浪殺人事件のルポルタージュだ。 300ページ近くに及ぶが、前評判通りスラスラと三日で読めた。娘の「あかり」と母の「妙子」の臨場感あふれる壮絶なやり取りに引き込まれた。 内容的にはひたすら陰惨としていて、特に同じような「毒親育ち」の方が読むと、フラッシュバックして少々きついかもしれない。読破後にこれ程やるせない気持ちになる本も珍しいと思う。 事件の経緯

          【書評】『母という呪縛 娘という牢獄』〜最恐レベルの毒親実録集

          診断をどう捉えるか

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 精神科における診断(病名)について、デリケートな問題で様々な意見があるかと思いますが、精神科医(私個人)が考える診断の捉え方、診断との付き合い方を書いていこうと思います。 診断することの意味 医師から診断を受ける、ということは患者さんにとって非常に大きな意味を持ちます。その理由の一つとして、場合によってはその診断名が一生ついて回るものになるからです。 統合失調症や躁うつ病、知的障害

          診断をどう捉えるか

          現代ビジネスに記事が掲載されました。 前編 https://gendai.media/articles/-/127056 後編 https://gendai.media/articles/-/127057 内容は、境界知能と発達障害についてです。

          現代ビジネスに記事が掲載されました。 前編 https://gendai.media/articles/-/127056 後編 https://gendai.media/articles/-/127057 内容は、境界知能と発達障害についてです。

          統合失調症の現状とクロザピンのススメ

          今回は統合失調症について書こうと思う。 昨今のtopicでもある発達障害と比べるとあまり話題にはならない。統合失調症の有病率は1%弱、個人的には意外に多いとは思うが発達障害のそれと比べると少なく(ASD約3%、ADHD約5%)、その分世間からの関心も薄い。 ただ、今も昔も入院患者の多くを占めるのは統合失調症で、やはり無視はできない病気だ。今回は統合失調症の最終兵器とも言うべき薬を紹介したいと思う。 統合失調症と言うとどういったイメージをお持ちだろうか?幻覚妄想状態で暴れ

          統合失調症の現状とクロザピンのススメ

          他人からの指摘は自分を知るチャンス

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 ※3分で読めます。 周囲に、面と向かってあなたに指摘してくれる人はどれくらいいるでしょうか? 年を重ねるに連れてそういった人たちは減ってきますし、指摘されたとしても素直に受け入れられない方も少なくないかと思います。 私自身、医師として働く中である程度の年齢を過ぎると周囲から指摘を受ける機会はめっきり減ってきました(以前の記事、医者は32歳を過ぎたらバカになる!?にも書きました)。

          他人からの指摘は自分を知るチャンス