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【得意セグメントに集中してユーザーニーズを素早く反映】(株)スマレジ様の上場までの成長戦略を徹底解剖

株式会社cocoの代表の高橋です。弊社ではよくBtoB SaaSを中心に他社スタートアップの研究なども積極的におこなっているのですが、今回は、弊社スタッフの協力のもと、(株)スマレジ様(以降敬称を省略し、"スマレジ"と記載いたします)の成長の軌跡を調査させていただきました。

今回の調査は、あくまで上場時の目論見書各種IR資料プレスリリースなどを参考に行っており、傍から見ていて読み取れた内容を整理したものになります。そのため、誤解やあやふやな推論もあるかと思いますが、私も積極的に勉強したいと考えているため、ぜひそれらの点はご指摘いただけますと幸いです。

また、スマレジ様と株式会社cocoになにか繋がりがあるわけではなく、特定の会社を応援したり、逆に貶めるような意図もありませんので、ご了承の上以下ご一読いただければと思います。
※もともと社内共有用につくったものなため、あまり文章っぽくはなっていません。

なぜスマレジなのか?

勿論普段から様々なSaaS等の研究をしてるのですが、今回はスマレジを取り上げた理由は主に以下の3つです。
1. 「店舗向けSaaS」というカテゴリでcocoと近い領域だから
2. 上場企業なため、開示されているデータが豊富で考察しやすいから
3. 強力な競合が存在するなか勝ち上がった戦略に興味があったから

特に、3つ目はとても大きいです。

スタートアップの成長のための驚異となる存在は、多くの場合はまずは類似領域で事業を展開するスタートアップ、そして次に大資本が入ってくるか入ってこないか、ということが多いかと思います。

そのどちらもが存在する中で力強く成長していく姿が大変に素晴らしいなと思ったし、全力で学ばなければならないなと感じました。それでは早速、以下から今回の分析内容のご紹介になります。

スマレジの成長要因サマリー

1. マーケットセグメンテーション(市場細分化)を行い、競合との勝負を回避する
2. ユーザーの要望を素早く開発部門へフィードバックを行い随時新機能を追加し、プロダクトを磨く
3. 販売パートナー制度やショールームでのプル型セールス手法の確立により、効果的なマーケティング・プロモーションを実現
4. プラットフォーム戦略(API公開、外部連携)を実施し、エコシステムを構築

マーケティング戦略(ブルー・オーシャン戦略)について

・スマレジは小売店及び飲食店の中規模(2〜39店舗)をターゲットにし、マーケットセグメンテーション(市場細分化)を実施
・マーケットセグメンテーションを実施しているため、直接的な競合を避けられる
 → Airレジは飲食店をメインターゲットにしているが、小売店舗はメインとしていない
 → ユビレジは飲食業、小売業、サービス業などの様々な業種向けとなっておりターゲットを絞っていない

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参照:2020年4月期 通期決算説明資料

プロダクト戦略について

・競合製品と比べて圧倒的な高機能である点が大きな特長 参考:機能一覧
2014年にリリースした新機能は約50機能で、総機能数は300超
・小売店及び飲食店の中規模(2〜39店舗)のユーザーの要望をもとに、素早く開発部門へフィードバックを行い、随時新機能を追加しており、適切なユーザビリティを追求したサービス提供に主眼を置いている。スマレジの解約率(MRRチャーンレート)は0.82%。

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プラットフォーム戦略

サービス開始初期からAPI提供・外部連携・アプリマーケット公開等、プラットフォーム戦略を実施し、エコシステムを構築しているようです。

・2013/02/01 「スマレジ」WebAPI リリースのお知らせ
・2017/02/01 「クラウド会計ソフト freee」とのサービス連携開始
・2019/12/06 「スマレジ」のプラットフォーム化に向けてアプリ開発パートナー募集開始
・2020/07/16 スマレジのアプリケーションプラットフォーム 『スマレジ・アプリマーケット』公開
・2020/12/01 スマレジが主催する店舗向けアプリコンテストスタート

プロモーション戦略

自社販売と、販売パートナー制度があるようでした。

自社販売

・ウェブサイトを中心に集客活動(SEO、WEB広告)を実施し、オンラインや自社ショールーム(東京、横浜、名古屋、大阪)で商談を実施
・ショールームでは、スタッフによるサービスの説明に加えて、実際にサービスを体験することが可能(参考:販売戦略
・営業担当は基本的にお客様からの問い合わせに対して提案をするため、商談自体は進めやすい(参考:SaaS営業で大事なスキルは?スマレジの営業スタッフに聞く、要望や課題を聴く力。

販売パートナー制度

・新規顧客獲得は店舗の新規開店のタイミングが効率がよく、大塚商会・ヤマダ電機等のセールスパートナー200社が一定数を獲得していると思われる(参考:セールスパートナー一覧、取引の流れ
・以下画像の販売パートナー制度を導入
・販売パートナー経由で契約を獲得した場合、クラウドサービス月額利用料(ソフトウエア利用料)を卸価格(約20%割引)で販売

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各社料金等の比較

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スマレジの料金プランについて

スマレジの料金体系は主にBtoBを対象とするフリーミアムを採用、通常販売、値引・割引販売等のレジ機能を搭載した無料の「スタンダードプラン」を始め、ユーザーが必要とする機能に応じて4つの有料プランを選択できること、導入後もユーザーのニーズに合わせたプラン変更が可能な点が特徴のようです。

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エアレジの料金表

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ユビレジの料金表

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