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「教科書」と聞けば思い出す。【52日目】

「教科書」


この言葉を聞いて思い浮かべるのは、専科の教室にどっさりと並んだ教科書の山。

私、教員の頃は「教科書担当」でございました。


教科書担当とは、毎年4月と9月に子どもたちへ配る教科書を管理し、一人一冊ずつちゃんと行き渡るようにするお仕事です。

教科書は国から子どもたちに無料配布されるものですが、無料なのは1冊まで。もし無くしたり破いたりした場合は、教科書を扱っている書店で購入していただくことになります。

業者が運び込んだ教科書の山は、普段使われていない教室の机にドンと並べられます。

まるで高層ビルのように並んだ教科書の間を縫って、それぞれの教科の冊数を数えます。

ひたすら、数えます。


ここで合っていないと大事です。

カウントする方も必死やで。


数えた後は、各クラスの人数に振り分けます。
ここでもミスは許されません。

数を何度も数え、クラスの在籍人数ぴったりにします。
教科書は、各担任の先生に取りに来てもらうよう知らせます。

無事、子どもたちの手に渡った教科書。 やれやれ。


しかし、これで終わりではありません。

どの教科書が誰に行き渡っているのか。これを証明する書類の作成も担当者の仕事です。

というのも、自治体によって配布される教科書の会社が違うのです。

地域に合わせて柔軟に、ということなのですが、これがまたややこしい。


子どもが転校する際は、どの教科書を持っているかの証明書を渡し、転校先の学校に出してもらいます。

反対に転入生が来たら、教科書の証明書を受け取り、被っていない教科書を配布する手配をします。


これを何度もやるんですよね……。


よその学校の担当者の杜撰な仕事っぷりに困って電話したこともあれば、役所の担当者が話にならなくて「きぃぃ」となったことも。

こうした地味で目立たない事務仕事がたっくさんあるのが、小学校の先生でござるよ。


「教科書」という言葉を聞くと、今でも教科書で作られたビル群を眺めながらため息をついたあの日を思い出す。





自己紹介はこちら。

今日の投稿は放課後ライティング倶楽部(AWC)の『66日ライティング✖️ランニング』のお題で書いております。

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