梶文彦

日本のものづくりは世界の財産です。わたしたちは、なぜこんなにコンパクトでこぎれいなもの…

梶文彦

日本のものづくりは世界の財産です。わたしたちは、なぜこんなにコンパクトでこぎれいなものづくりをするようになったのでしょうか? その背景をたずねてみましょう。

マガジン

  • 《昭和を切り開いた経営者の「逆転」する発想》

    安眠をむさぼる頭脳に心地よい一撃!  書籍や雑誌などに目を通していると、時々、なるほどと、うならせられる言葉にぶつかったりします。とくに、未成熟だった製造業・流通分野で創業し、日本経済を立ち上げてきた昭和の経営者の言葉は、常識と反対の発想、いわゆる「逆転の発想」と呼ばれる類いのものが多く、安眠をむさぼる頭脳に一撃を与えてくれました。  それらは言葉そのものの面白さだけでなく、その裏にある発想の斬新さや、不屈の精神、成功への執念、生きていることへの讚歌といったものを感じさせてくれます。そして何より、どんな逆境にあっても笑い飛ばせる諧謔精神に満ちています。     私にとっては、それはカタルシスと表現できるのではないかと思います。そんな言葉をご紹介します。気楽に読み飛ばしていただければ嬉しいです。

  • ものづくり 日本のこころ

    技術力というととかく新しい技術や商品の開発に目が向けられますが、製造業を支える基本は、ものづくりの精度、加工技術の開発力です。日本が誇る高い品質の生産技術力は日本にしかない、世界の貴重な財産です。なぜ、日本はこんなに高い生産技術力を持つようになったのでしょうか。その歴史を振り返って見ませんか。

  • 8. 日本人の創造力と独創力

    ペリーいらい、日本人に対して、創造性はないが、手作業は器用だ、と言われます。基本的な蓄積がなかっただけです。世界第3位のノーベル賞受賞国民に独創性がないはずはありません。

  • ものづくり 日本の心

    日本のものづくりは世界の財産です。私たちはなぜ、こんなにコンパクトでこぎれいなものを作るようになったのでしょうか。ご意見をお聞かせください。

  • シナ(チャイナ)文化の特異性

    岡田英弘全著作集(全8巻)の「Ⅳシナ(チャイナ)とは何か」より、中国文化の特異性を紹介する部分を抜粋してご紹介する。十数度、のべ1-2か月の滞在に過ぎないが、同国のビジネスマンたちとの付き合いで、いろいろと疑問に思い、違和感を感じていた事柄がこの著作によって、目からウロコで氷解する思いがあり、雑駁だがまとめてみた。岡田教授の著作は同氏の長年の研究に基づくものだが、この文は単なる感想にすぎないので、そうご理解いただいたうえでお読みください。

最近の記事

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005ラーメン店主にみるものづくりの魂

 日本人のものをつくるという行為へのこだわりは「業」だと書くと、それにしては最近の若者は、ものづくりにまるで関心を持たないではないか、と反論をいただきます。 たしかに、かつての高度成長時代のような、旋盤1台を持って軒下を借りて独立するといった光景は姿を消しました。時代が変われば技術が変わり、それに合わせてものづくりも変化します。現在の経済環境では旋盤一台は成り立ちません。  しかし、業である以上、どんなに時代が変わっても、やはり日本人のものづくりに対する関心は、不滅だと言

    • 4-12. 会社にとって一番大事なのはお客様。二番目に従業員。三番目に株主。

      コクド・西武鉄道会長 堤 義明  これは、会社として一番大事なものは何か、との問いに対する堤の答えである。  アメリカ流に考えると、株式会社にとって一番大事なのは、株主とされる。これに対し、日本の企業では、独特の終身雇用などの習慣の中で、従業員を大切にし、次に顧客を大切にし、株主は最後…というのが普通であった。最近は株主をもっと重視しようという発想も出てきているが、堤はアメリカの株主偏重主義もおかしいと言う。  アメリカでは、株主は株を投機の対象として購入し、高い配当を取

      • 4-11. 個人の机には私物だけ入れろ。

          西武鉄道会長 堤 義明  会社の備品である机には私物を入れないほうが望ましい…というのはビジネスの常識としてよく言われた。ところが、堤 義明は、机の中に入れるのは私物だけにせよ…と言うのである。これは実際に、西武鉄道が所沢に本社ビルを作った時に、社員に対して語った言葉である。 なぜか。裏を返せば、  ということを逆説的に言ったのである。  仕事で必要な書類がどこにあるか、その担当者しかわからないようでは困る。だから共有ファイリングボックスを作り、誰でも見られるように

        • 自販機の「うまだし」

          1年ぶりくらいに羽田空港に行った。羽田空港第3ターミナルの自販機を眺めていて、清涼飲料水のペットボトルに交じってのむおだし「うまだし」なるものを発見した。「なるほど」これが商品になるのかと感心しながら、これは立ち食いそばだな、と感慨深いものがあった。 1970年代、飛行機は長時間給油せずに飛ぶことができなかったため、ヨーロッパや北米行きの飛行機は、いったんアラスカのアンカレッジに寄って給油していた。 そのアンカレッジの空港での名物が「立ち食いソバ」だった。日本⇒ヨーロッパの

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        005ラーメン店主にみるものづくりの魂

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        • 《昭和を切り開いた経営者の「逆転」する発想》
          54本
        • ものづくり 日本のこころ
          99本
        • 8. 日本人の創造力と独創力
          13本
        • ものづくり 日本の心
          93本
        • シナ(チャイナ)文化の特異性
          11本
        • エトセトラ
          9本

        記事

          プロフィール画像、自分のものに変えてみた。

          よくわからん状態でnoteを始めたので、プロフィール画像はあるものを使っていた。私のページは人気商売ではないし、画像次第で読んでくださる方がそんなに影響を受けるわけではないだろうと思うので、そのままにしていた。 それでもよかったが、毎年、この時期の恒例で、初夏の気分で頭髪も借り上げた。気分転換にその気になってプロフィール画像も、しばらく前に孫が描いてくれた似顔絵に変えてみた。なんか変わるのかしら。 いまは、夏になって刈り上げているので、髪はちょっと違っているが。まあ、こんなと

          プロフィール画像、自分のものに変えてみた。

          4-10. プロと平等主義は合わない。

          ファーストリテイリング社長 柳井 正  と言うのはファーストリテイリング社長の柳井 正である。  また、 という認識も示している。  同社には、年功序列の考え方は会社発足時からない。昇進や昇給はすべて業務推進能力が基盤である。  4半期ごとに社員一人ひとりに対して日常の業務評価を行い、ペーパーテストの結果で職階が上がる。職階にしたがって給与が決まる。  各店舗には店長がいて、5店舗くらいごとにエリアマネジャーが1人いる。さらに、エリアマネジャー5人当たりに1人ブロッ

          4-10. プロと平等主義は合わない。

          4-9.年功序列による悪平等は、すぐれた人材に申し訳ないのではないか。

           富士通社長 関澤 義  同一労働同一賃金も、年功を基本にした賃金設定、序列も根は同じである。成果を評価するというよりも、能力の劣る人間を排除しない、という観点から作られている。そこに欠けているのは、優れた能力を持つ人間をさらに生かすためにどうしたらいいか、という考え方である。  関沢は言う。 「グラフ用紙の横軸に勤務年数をとって、縦軸に給与額をとる。従業員それぞれの年次と給与の点をプロットしていくと、ほとんど一本の線になってしまう。こんなことでは、せっかく成果を出した人が

          4-9.年功序列による悪平等は、すぐれた人材に申し訳ないのではないか。

          4-8. 同一労働同一賃金は、不公平だ。

           本田技研工業創立者 本田宗一郎  民主主義の象徴的な言葉は「平等」である。  平等を口にする人は多い。しかし、いったい平等とは何かという議論はあまりされない。そのせいか、決して本質的には平等ではない、形骸としての平等がのさばる土壌ができてしまったと嘆くのは本田宗一郎である。  かつてに比べて変質・弱体化していたとはいえ、労働組合も「同一労働同一賃金」を唱えるが、これは決して平等ではない、と本田宗一郎は疑問を投げかけていた。  とはいえ、みんな給料は高いほうがいいから、「

          4-8. 同一労働同一賃金は、不公平だ。

          4-7. 才能を自分だけのものにするのは、神の摂理に反する。

           京セラ会長 稲盛和夫  常識的な人間には、新しい発想や発見はできない、ということがよくいわれる。新しい発想を持った人は変わった人が多い。そうした特別な才能を持った人間は、それを社会のために役立てるべきだというのが京セラの稲盛和夫である。  昭和29年、通信機メーカーだった富士通は画期的な信頼性の高いリレー式の電子計算機を作って産業界をあっと言わせた。 そのリレー式計算機の開発をリードしたのは池田敏雄で、コンピュータの世界では天才的技術者として知られた人であった。池田は

          4-7. 才能を自分だけのものにするのは、神の摂理に反する。

          4-6.和をもって貴しとせず。

           武田薬品工業名誉会長 小西新兵衛  武田薬品工業には、「和をもって貴しとなす」という考えをベースにした、「規」(のり)と呼ばれる社是があった。 昭和15年に作られたものである。 その2番目に「相和(やわら)ぎ力を協(あわ)せ互いにさからわざること」と書かれていた。 当時の社是は、現在は、企業理念として新しく設定されているが、その基本精神はタケダイズムとして受け継がれている。 しかし小西は、あえて社員には「さからえ」と言うことが多いそうだ。 コンセンサスによるマネジメント

          4-6.和をもって貴しとせず。

          4-4.定期的にナマズを採用する

          ミサワホーム社長 三澤千代治  ミサワホームは新卒の定期採用だけでなく、意図的に中途採用を行っていた珍しい会社だった。なぜ中途採用を行うのか。  このことを説明するために、三澤がよく用いるエピソードがある。  ノルウェーの漁村でのことだった。  多くの漁師が沖に出てイワシ漁をしてくるが、港に着いた時には、ほとんどの船のイワシは死んでしまっていた。そんな中で、一人だけ、生きたままイワシを港に持って帰ってくる漁師がいた。当然、彼の新鮮なイワシは買い手が多くつき、高値になった。

          4-4.定期的にナマズを採用する

          中国にもない漢字・漢文の大系が日本で出版されているわけ

          「新釈漢文大系(120巻・別巻1)」 明治書院⇒2018年5月完結 漢字、漢文は中国生まれです。その誕生は3300年ほど前の甲骨文字にさかのぼり、以来多くの名著が著わされてきました。 しかし、残念ながらそうした数々の名著が体系としてまとめられた資料がありません。それを始めて作ったのが、全120巻の「新釈漢字大系」(明治書院)です。 中国4千年の歴史と言いますが、漢字の原点とされる甲骨文字が発明されたのは紀元前1300年ころ(3300年ほど前)の殷王朝の時代とされ、それが改良

          中国にもない漢字・漢文の大系が日本で出版されているわけ

          4-3. 実力主義を廃止する。

           TDK元社長 素野福次郎  TDKは、日本人が生んだ独創的な発明であるフェライトを工業化するために、昭和10年に設立された会社(創立時・東京電気化学工業)である。今では技術力の高い企業として海外でもよく知られている。素野福次郎は同社の中興の祖ともいわれる人間である。  戦後の日本のエレクトロニクス業界の発展とともに成長してきた同社は、歴史も浅く、急激な成長に 人材不足に悩まされてきた。  そのため、同社では幾度となく中途採用を行って広く人材を採用してきたが、昭和45年に

          4-3. 実力主義を廃止する。

          4-2.カネを使えない部下は、無能な部下だ。

           味の素社長 稲森俊介  味の素の専務だった稲森俊介がカルピス食品工業社長に就任したのは1990年10月であった。  当時カルピスは、さしもの有名ブランドにも需要のかげりが見え、88年12月期から3期連続の営業赤字に陥っていた。そこで建て直しに、飲料部門の強化を目指していた味の素の資本参加を受け入れ、稲森を社長として迎えたのである。  稲森がカルピスにやってきた時、社内の空気は沈滞していた。  社長になる1ヶ月ほど前に大ヒット商品となる「カルピスウォーター」が発売されてい

          4-2.カネを使えない部下は、無能な部下だ。

          4.早い馬にはクセがある        4-1.病める貝にのみ真珠は宿る。

           アサヒビール会長 樋口廣太郎  真珠は、アコヤ貝というウグイスガイ科の貝を母貝として作られる。養殖で言えば、アコヤ貝に異物(小石)を挿入し、それを核にして貝に育てさせるのである。その小石は、アコヤ貝にとってはいわば侵入者、異物である。  だから、真珠を育てるアコヤ貝が必ずしも万全な健康の貝だというわけではない。言ってみれば、腫瘍のような異物を体内に抱えた病気の貝だ。しかし、そういう病気の貝のみが美しい真珠を作り出すことができるのである。  樋口は、お腹に抱えている小石

          4.早い馬にはクセがある        4-1.病める貝にのみ真珠は宿る。

          稲盛倫理賞がファウチ博士に贈られる?

           稲盛和夫さんについては、その経営者としての卓越した成果と、若手経営者を育成しようとする社会的な貢献の姿勢は尊敬するところでしたし、稲盛賞や京都賞も、良い賞だと思っていた。が、まさか、パンデミックをめぐる話題のファウチ博士に稲盛賞が贈られるとは思いもしなかった。 ちょっとこの賞も見損なった。 ========= 2024年稲盛倫理賞にアンソニー・ファウチ博士が選ばれました ケースウエスタンリザーブ大学(米国オハイオ州クリーブランド市)の「倫理と叡智のための稲盛国際センタ

          稲盛倫理賞がファウチ博士に贈られる?