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人の振る舞いを決めるものは何か

ラブロックがガイア理論というものを提唱しています。デイジーワールドという幾つかの色のデイジー(ひなぎく)しか存在しない地球環境を仮に作り、そこで太陽光の量を変化させるとそれに合わせて各色のデイジーが増減し、地球環境を恒常的に保とう(気温)とする現象を見つけました。

生物の身体が、刺激に対し、内部が反応することで身体の内部環境を恒常的に保とうとする性質と同じだと考え、地球を一つの生命体のように捉える考え方をガイア理論と呼びました。

この理論の興味深いところは、個々の生物はドーキンスによれば利己的に自分の遺伝子を残そうと振る舞っているわけですが、それを地球規模で見れば、むしろ全体最適のための調整役を担っているというところです。反対から見ればそれは「個々人の振る舞いは本当は全体の状態から促されているが、個々人はそれに気づかず自分の意志だと考えている」でもあります。

先進国で少子化が問題になっています。これも誰かが望んだわけではないですが、個々人の幸福をなるべく大きくしていこうと努力していった結果、そうなっただけの話なのかもしれません。

それは一つの国にとっては都合が良くないかもしれませんが、もう少し大きな視点で言えば「恒常状態を保つために調整が入っている」だけかもしれません。

さて、人類が生み出したテクノロジーは明らかに加速度的に発展していますが、そのうちに人類を超えた知性が誕生し(既にしているかもしれませんが)発展していく可能性があります。目下の課題はエネルギーだそうですが、それも自己調達できる時代が来るかもしれません。カーツワイルのシンギュラリティーでは「エネルギーの自己調達が可能になった段階で人類の手を離れる」と書かれていました。

その知性は人類が生み出したものではありますが、もはや人類の理解の及ぶところではなくなります。私たちの祖先である最初のタンパク質の塊が私たちのことをおそらくは理解できないように。

そうすると、ホモサピエンスが二足歩行を行い、母指対立が可能になり、社会を構築して、ある程度の段階まで科学を発展させ土台を作ったのは、超知性に至るプロセスだったという歴史の統括になるのでしょうか。

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