アゴタ・クリストフ『第三の嘘』
少し感傷的になりながら、アゴタ・クリストフ『第三の嘘』を読む。『悪童日記』『ふたりの証拠』に続く三部作の完結編である。
アゴタ・クリストフの母国であるハンガリーを思わせる国のはずれが舞台となり、第二次世界大戦の戦火を双子の少年たちが生き抜いた『悪童日記』。その双子の一人が成長した青年リュカが、亡き母親に似た女性を慕いつつ、血のつながらない不具の少年に情愛をかける『ふたりの証拠』。
そして、ベルリンの壁が崩壊し、西側と東側で行き来ができるようになった時代を思わせる『第三の嘘