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長編『旅客機からの緊急脱出』より GW特別企画【毎日2分の重大情報④】

3. 健常者が考えないこと

飛行機には車いす使用の方も乗られます。何不自由なく生活がおくれている健常者はあまり普段考えないことかと思います。そういう方が乗っていることすら知らないのがほとんどかと思います。なぜかと言うと、車いすの方は一般搭乗が始まる前に援助を受けて先に搭乗し、皆さんが降りてから最後に降りられるからです。だからそういう方を目にすることがないのです。目の不自由な方もいます。付き添いの人がいない場合は(一緒に搭乗が認められている)盲導犬と一緒に乗られることもあります。

このような情報はCA間で共有されることはもちろん、必ずパイロットにも知らされます。とても大事なことだからです。緊急脱出する際に必ず手助けが必要だからです。そういう方々の人数と座席位置は乗務員全員が把握しています。

そしてこのような方々が座れない席があります。それは非常口座席です。
非常口座席の近くに座られる方には必ずCAがする質問があります。

「緊急時にはお手伝い頂けますか?」

状況によってどうなるかはわかりませんが、近くにいるので何かCAが援助をお願いするかもしれません。「そんな大役無理です」と言って拒否される方もいます。実際に断られて、全く違う座席に座っていた僕が代わりにその席に座ることになったこともあります。こちらは依頼しているだけです。責任が重いですものね。断っていただいても全く問題ありません。

パイロットやCA(整備士や内勤職員も)が次の勤務地へ向け移動するために客席に乗っていることが日常的にあります。その時の勤務状態によって制服でなく私服で乗っていることもありますが、その便を担当しているCAは乗客リストを見て常にその存在を把握しています。緊急時に手伝ってもらえそうな人の数を事前に見積もっているのです。従業員が1人も乗らない時は、搭乗案内の時から「こいつ使えそうだな」なんて一般のお客さんを見ていることもあります。すべて緊急事態に備えているのです。あなたに笑顔で接しながら。

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明日の続きまで待てない方は、どうぞお先に下↓から無料でお読み下さい。



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