見出し画像

書くネタに困ったら〝なんでもない〟を〝とんでもない〟に。

「どうしよう、書くネタがない!」

これって、書き手の誰もが抱える〝永遠の苦悩〟ではないでしょうか。

僕だってそうです。放送作家なんて仕事をしていても、ネタなんてホイホイと出てきません。ネタの欠片を見つけるまでに苦しんで、書きはじめたら書きはじめたで悩んで、「あーーーーー、無理だ!」とあきらめて。そんな日々を送っています。

しかし、いつまでも書かない(書けない)というのもマズイでしょう?

そこで、今回はひとつのチャレンジ。

〝なんでもない〟を〝とんでもない〟に変えてネタにしてみようかと。

一体どういうことか。

発想の発端となったのは『はじめてのおつかい』です。

ふと思ったんですよ。

あの絵本(番組)って『いつものおつかい』ってタイトルだったら成立しないよなって。『はじめての』だからこそ見守りたくなる。

つまり、タイトルの言葉ひとつ、ネタの設定ひとつ工夫するだけで〝なんでもない〟日常も〝とんでもない〟冒険へと変えることができるってことです。

あなたにとって〝なんでもない〟日常も、ペットの視点で描いたら〝とんでもない〟冒険になるかもしれない。

いつもなら〝なんでもない〟行動に、ひとつ制限を加えたら〝とんでもない〟挑戦になるかもしれない。

この考え方は使えるのでは?

僕の場合は簡単です。

現在は膀胱のカテーテル(管)が取れたことで〝頻尿生活〟へと逆戻りし、気軽に外出できなくなっています。

こどもにとっての『はじめてのおつかい』と同じで、僕にとっての『外出』は〝とんでもない〟冒険になるわけです。

ということで、実際に出掛けることにしました。

どこへ?

バッティングセンターへ!

このところの生活ときたら、1日30回近くトイレに行って、排尿時間と量を記録して、たまにブラッドオレンジ果汁みたいな血尿が出て凹んで。食事だってカロリーだの塩分だのが気になって心から楽しめない。ついでに、オリックスの試合にも連日モヤモヤ。

それなら、ストレス解消とカロリー消費を兼ねられる挑戦がいいだろうと。

さあ、スカッとしに行くぞ!

ここで、僕の状態を整理しましょう。

  • 最短15分で尿意に襲われる

  • 膀胱まわりの違和感にすぐ不安を覚える

  • 家にこもりがちで深刻な運動不足

  • 実は右目の白内障も発覚(!)

  • そもそも本気で打つのは何年ぶり?

  • ちなみに高校時代は合唱部

……スカッとできる、かなあ。

決行は平日午前中。

3週間分の排尿記録と店の混雑具合を加味して決めました。

場所は新宿・歌舞伎町。

都内では最も足を運んだバッティングセンターだし、なにより道中に利用できるトイレがたくさんあるので。

現地にはなんのアクシデントもなく到着。3打席(計60球)分のカードを購入し、打席へと向かいます。

球速は100km/h。さあ、初球は……、

ドスン。

ハイ、後ろのラバーに当たった音です。みごとな空振り。

次もドスン。さらにドスン。

実はこのとき、想定外のことが起きていました。

白内障で視力は落ちたのですが、息子と長年キャッチボールしてきたことで動体視力は飛躍的に上がっていたのです。

つまり、速くて打てないのではなく、遅すぎて打てない。

よし、ならばとタイミングを修正。すると、4球目。

カツッ。

かすりました。さらには5球目。

ボデッ。

どん詰まりのゴロがファールゾーンへ。しかし、ここからが長かった……。

カツッ。ボデッ。カツッ。ボデッ。カツッ。ボデッ。ドスン。カツッ。ボデッ。ボデッ。カツッ。ボデッ。ボデッ。ボデッ。カツッ。

ハイ、1打席目終了~。

え、うそでしょ? 僕はもう少し自分に期待していましたよ……。

2打席目も「カツッ」と「ボデッ」のくり返し。スカッとどころか、イライラが募ってきたではありませんか。

キン!

……という音が出たのは、実に33球目。この日、初めてのライナーがセンター方向へと飛んでいきました。

ところが、ここらで体に異変が。

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ。

心臓の鼓動がユーロビートみたいな速さになり、額からは滝のような汗。

え、うそでしょ? まさか、早くも体力の底が見えてくるなんて。

ラスト、3打席目も気合いで打席に立ったものの、安打性の打球は1本。60球を終えたあとの僕は、その場にへたり込むほどヘロヘロでした。

2本だけとはいえ、納得できる当たりは出た。一時の体調からしたら、考えられないほどの復活ぶりでしょう。

しかし、これで満足していいものか。コツを掴みかけて、これからってときに振れなくなるなんて。本当にスカッとしたのか。

僕の答えは「NO」でした。

ということで、懲りない僕は日を改めて再チャレンジしてきたわけです。

今度は打ちました。

1打席目からキン、キン、キンと。

ところが、この日は想像の斜め上を行くアクシデント(?)が起こるんです。

左隣の打席に入ってきた外国人の少年。背丈からして中学生くらいかな。後ろにはお父さんと弟らしき連れがいて。

で、打ち始めたんです。衝撃でした。

投手方向に大きくつんのめっていって、片手で薙ぎ払う!

ステップしたとき、前足への体重の乗り方が〝100〟を通り越して〝300〟まで行ってしまっている。全てのボールに対して、上半身が打席からはみ出すんです。

なのに、当たる。なんなら、時々会心の一撃が出る。

え、なに?
君は飛天御剣流の使い手かなんかなの?
それって、なに龍閃?
目の前で見せつけられるスイングが斬新すぎて、集中できない!

僕の1打席目は、当たりがパタリと止まったまま終了したのでした。

気を取り直して、2打席目。

「聖闘士に同じ技は二度も通じぬ」とばかりに覚悟を決めたのですが、向こうの家族は弟が打席に立つようでした。

さて、どんなスイングなのか。

……。

って、普通なのかよ!
弟の方がまともなのか!

このツッコミによって、僕は1球を無駄遣い。しかし、そうとわかれば自分のスイングに全集中するのみです。

結果、安打性の打球が8本。

3打席目は流石にバテましたが、不思議と前回のような息切れもなく、晴れやかな気持ちで終えることができました。

スカッとした!

打球の行方もそうですが、あの兄弟のおかげかもしれませんね☺

ハイ、まさかこんな長文になるなんて。

最後までお読みいただけたのでしょうか……。

〝なんでもない〟を〝とんでもない〟に。

あなたが書くネタに困ったとき、この記事が参考になれば幸いです。

この記事が参加している募集

noteの書き方

やってみた

🌟もし、この記事があなたの心を動かすことができたなら、ジュース1本分だけでもサポートをお願いしてもいいですか? 🌟サポートいただけた方には当ページであなたの紹介記事を掲載します。