いしまるゆき

愛媛生まれ、テキサス育ちのwonderingwanderer。同時通訳、翻訳歴が20年…

いしまるゆき

愛媛生まれ、テキサス育ちのwonderingwanderer。同時通訳、翻訳歴が20年を超えました。言葉を食み、言葉を紡いで生きてます。得意な分野はIT、エンタメ、宇宙、時折のSDGs。迷子になっても散歩好き。記憶を飛ばせどお酒好き。

マガジン

  • 大河ドラマ 「光る君へ」感想編

    今年もやります、大河ドラマ感想編

  • 日々雑感

    なんちゃーない日々の独り言

  • だからエンタがやめられない

    感激の観劇備忘録。だってエンタが好きなんです

  • 人生が旅だとは言うけれど

    ふらふら旅の記憶の記録

  • 大河ドラマ「どうする家康」感想編

    「どうする家康」はどうなっていくのか。1年かけて、追ってみたいと思います。

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コトちゃん

コトバが好きです。これはもはや恋なんじゃないかと思うのです。活字中毒、とかではなく、コトバに永遠の片思いをしています。 コトバってやつは、性別的には多分女子です。いや、間違いなく女子です。 こちらに気がある素振りをしたかと思えば、翌日にはつれない態度になったりします。ああもうダメだ、この恋は一生成就しないのだ、なんて絶望の淵に立ち、涙で枕を濡らしていると、翌朝、目覚めた瞬間に満面の笑みを向けてくれたりするのです。そんな時のコトちゃんには、間違いなく後光が差しています。ああ

    • 【蒼天とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第20回

      「男であったら」とか、「女なのに」とか、娘について話す際、様々な枕詞をつけてまひろが女性であることの無念を表現していた父が、とうとうまひろをまひろとして認めた回でした。 前回、父の背中を押したのはまひろでしたが、今回はまひろの背中を父が押す。だからこそ、まひろは道長に対する思いを吐露できたのだと思います。 苦学の寒夜。紅涙(こうるい)襟(えり)を霑(うるお)す。除目の後朝(こうちょう)。蒼天(そうてん)眼(まなこ)に在り。) 漢文のリズムにも少しずつ慣れてきました。まだ

      • 【乗るかそるかとは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第19回

        帝を介して、道長とまひろの思いが通じ合った回でした。 コツコツと自分の信じている道を進むことは、時に孤独です。虚しくなることもあるでしょう。それでも、己の中の真実を見出し、その道を進む姿は、きっと誰かが見てくれています。まひろのことも、その父のことも。 誰よりも物知りで、学者として聡明であるにも関わらず、鳴かず飛ばずであった父の背中を、まひろはちゃんと見ているし、そこにリスペクトもある。 自身も、「政のあるべき姿が書かれている」新楽府(シンガフ)を弟から借りて写し、身分

        • 【色香とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第18回

          悪い人が改心するのはご退場フラグな回でした。 史実とはいえ、「あの世の父上を驚かすような政をしたい」と言った矢先でご病気で亡くなるなんて、ドラマがすぎる。しかも病気になったのは、道長の汚れ仕事を引き受けようとしたからだなんて、鬼脚本にも程がある(褒めてます)。 救い小屋のことも、荘園を廃止するのも、先見の明のあることだったのに、三日天下の挙句に病気で亡くなるとは、運命の残酷さを感じずにはいられない。 浄土へ行っておくんなさい。悪人だって、改心する機会はあるべきです。

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          【うつろいとは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第17回

          お寺参りの回に続き、紫式部爆誕への助走に勢いがついた回でした。 藤原寧子の「蜻蛉日記」に自分がインスパイアされたように、自分が書いたものも誰かの宝物になる。恋文の代筆をしていたことも、頭をよぎったのではないかしら。 救い小屋を作るにしても、自分の財だけだと足りない格下道長に、あっさりと自分も投資をすると申し出る倫子、できた嫁すぎる。太っ腹具合を見せてすかさず夫の女性関係を探るのも、できた女子すぎる。嘘がつけない道長に太刀打ちできるわけもありません。 どこかで聞いたことあ

          【うつろいとは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第17回

          【汚れ仕事とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第16回

          道兼の哀れさに不覚にも涙腺が緩みそうになった回でした。道長の一言で父の呪いから解き放たれ、生き直そうとしている道兼。内大臣の言動を真っ当な諌め方をしているのに、それを「叔父上は何か良いことを成したのでしょうか」と、過去をほじくり返されて反論されてしまいます。 更生しようとしているのに、過去の罪をまたあげつらわれてしまうことは、今の社会にもあるのです。何らかの罪を犯し、刑期を終えてやり直そうと思う元受刑者に対し、果たして今の社会は寛容なのか。彼らに対する「犯罪者」というレッテ

          【汚れ仕事とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第16回

          【書くことの意味とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第15回

          「源氏物語」を着想した(と言われる)石山寺の登場でした。 これまでも何度も登場した「蜻蛉日記」をここで絡め、「書くこと」と「妾」で良いのか問題を浮き彫りにする脚本、すごく無いですか。「命を燃やして人を想うことは素晴らしいけれど、妾は辛い」とまで尊敬する作家に直に言ってもらえたら、数年前の自分の決断は、ほろ苦くても正しかったのだ、と思えるようになるのではないかしら。 小説に救われたことが多々ある身としても、コトバオタクとしても、響くシーンでした。 こう言ってくれる人が1人

          【書くことの意味とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第15回

          【「キオク」と「キロク」とは】 半世紀生存記録に寄せて

          恐らく舞台「PLUTO」に出てきた言葉だと思う。 ロボットは、忘れない。チップ上に記録がある限り。彼らにとっての「メモリー」とは、「記録」のことで、それを膨大にセーブできる。だけど「記憶」となるとどうだろう。彼らにとっての希少価値は高くなるのではないだろうか。 記録が無く、当然覚えている自覚もないのに、なぜか心のどこかにくすぶる熾火のような、引っ掻き傷のような思いの残滓があるとしよう。それが「記憶」であるならば、その「記憶」からあるはずのない「記録」を手繰り寄せることもで

          【「キオク」と「キロク」とは】 半世紀生存記録に寄せて

          【「己がため」とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第14回

          前半は兼家の退場、後半はききょうの所信表明、とぱっきり2分割な回でした。 「お前は真っさらな道を行け」と、嫡男、道隆の今後のために、あらゆる泥を被った兼家。ここまで汚れ仕事をさせていた道兼も、スパッと切り捨てます。自分が存命な間に次男が「人殺し」であることをバラしておかないと、後顧に憂が残りますから、体調が良い日に最後の務めを果たそうと思ったのでしょう。 「蜻蛉日記」に対する解釈は倫子サロンでまひろが語っていますが、同じ詩が出てきたのが印象的。この詩は、ただ嘆くだけの心情

          【「己がため」とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第14回

          【出来た嫁とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第13回

          パイプオルガンの荘厳な音色と共に始まった今回は、出来た嫁祭りな回でもありました。「どうする家康」もそうでしたが、今作も男性を支える女性の姿が数多く描かれています。今作は主人公も女性なので、その色が余計に強く感じられるのかも知れません。 上記の高階貴子さんも出来た嫁なら、彼女の娘定子ちゃんも出来た女性。「おかみの好きなもの、全部好きになります」とあっという間に一条天皇の心を鷲掴み。「何が好き?」と問われて、いの一番に「母上」と答えるマザコン殿御を丸っと愛する懐の深さ。流石定子

          【出来た嫁とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第13回

          【創造と破壊とは】 春は卒業の季節だけれど

          6年間、お世話になった場所を卒業しました。 実験所のような場所でした。何かを作っては壊し、そしてまた作っては壊す。その繰り返しの中で自分の弱さを晒し、対峙し、見つめる。 小さな子どもが好きな遊びの中で、「つまれたレゴ等のブロックを壊す」があるそうです。時に自分の背丈よりも高い壁のようなレゴブロックを一瞬で壊すのです。きゃっきゃと笑いながら。そしてバラバラになった壁のピースをまた黙々と、ワクワクと積み上げていく。そしてまた壊す。 人体もそうです。例えば、腸管細胞は3日に1

          【創造と破壊とは】 春は卒業の季節だけれど

          【失恋とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第12回

          ラブホでフラれるなんて、そんなことある?な展開でありました。最近そういうの読んだはずって思ったら「元カレごはん埋葬委員会」でした。ラブホで別れ話は1000年の歴史ある行為だったのね。← 妾でもいい、と心に決めていた言葉は行き場を失い、さらには倫子様の意中の相手が目の前の男だと知り、何も言わずに身を引いたまひろはそのまま帰宅し、弟とさわと、失恋やけ酒をあおります。 「まだ付き合ってたの、三郎と」なんて月九丸出しなセリフでラブホに送り出した姉がしょんぼりして帰ってきたら、いく

          【失恋とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第12回

          【革命とは】 宝塚歌劇団星組公演 「RRR x TAKA"R"AZUKA」

          ご縁がありまして、宝塚版を生観劇することができました。今回も、ライブストリーミングの時と同じところで心がフルフルしました。 ビームの歌「コムラムビーム(ド)」で民衆の心が団結する場面です。映画でも象徴的なシーンですが、生身の群衆が目の前で決起していく瞬間にゾワゾワしました。 心を決めるタイミングは人それぞれ。逡巡を続ける人もいる。でも、最後には皆、目の前に突き付けられた銃口にすら怯まず、足を踏み鳴らして抵抗を示すのです。 舞台版だと、人が発する思いやエネルギーをより生々

          【革命とは】 宝塚歌劇団星組公演 「RRR x TAKA"R"AZUKA」

          【家柄とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第11回

          女子高生的恋バナの今後を知っている視聴者の心がざわついた回でした。 どうにかしてまひろと添い遂げたい道長の恋の結論が、「家柄の違い」から、まひろを「北の方」ではなく「妾(しょう)」として迎え入れる提案をすること自体が「源氏物語」の1幕のよう。 その前段で、藤原家に直談判に赴いたまひろは、豪邸に住む三郎と自分との身分の差を改めて実感しているから、彼の一言は、なおさらキツい。 ついでにその直前、まひろが写経のように書いていたのが「長恨歌」ってのも感慨深い。 今のところ、桐

          【家柄とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第11回

          【人の闇とは】 舞台 「輪廻転生∞楽園ダイバー」

          人の闇を生み出す最大の要因は、「寂しさ」や「悲しみ」だ。それを餌にして、妬み嫉みを含めたあらゆる形の憎しみが形作られる。 そしてその「悲しみ」と折り合う唯一の方法は、それと向き合うことなのだと思う。「汚いは綺麗、綺麗は汚い」とはよく言ったもので、己の汚さから目を逸らすことは、自分の綺麗な部分すらも無かったことにする行為なのだろう。 自分の現世記憶を丸っと失ったまま、天干地(てんかんち)で干支の12獣の1人、申の後継者として生きることを選んだら、きっと洋平は自分の綺麗な部分

          【人の闇とは】 舞台 「輪廻転生∞楽園ダイバー」

          【使命とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第10回

          国を変えるために本心を隠して政権のトップを狙うとか、完全に「サンクチュアリ」じゃん…。(メンション2度目) 一緒に遠くの国には行かなくても、近くでずっと見守っている。でもそれは、相手が京都を離れてどこかへ行ってしまうよりもキツい… 気がします。 藤原家一世一代の謀。うまくいけば、長男が全てを掌。うまくいかなくても、少なくとも道長は生き残れる。真田家の生き残り戦術と同じです。違うのは、どちらに転んでも道兼はいずれ切り捨てられる、ということでしょう。それでも父上のお役に立てる

          【使命とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第10回