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【攻撃を活性化させた左SBベルナルド】プレミアリーグ第23節 マンチェスター・シティ×アストン・ヴィラ |マッチレビュー

ピッチ外で大きく騒がれているここ最近のペップ・シティ。前節は難敵スパーズに敗北し、首位アーセナルとの勝ち点差を縮められなかった。

そして冬の移籍マーケットの最終日。ペップ・シティを象徴する選手の一人であったジョアン・カンセロが、まさかまさかのバイエルン・ミュンヘンへ移籍。そんな話はフットボリスタで書かせていただきましたので、よかったら読んでみて下さい。親愛なるロマン・カンセロへ。愛を込めて書かせて頂きました。

もうこれ以上アーセナルに勝ち点差を広げられる訳にはいかないマンチェスター・シティ。そんな色んな不安を払拭するような内容、結果をホームで見せつけてくれた。

新たなペップのチャレンジ。新たなペップ・シティの形。そして忘れかけていたペップ・シティらしさが存分にピッチで表現された試合となった。

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきたいと思います。

▪️爆誕。ベルナルドの左SB。

この試合一番の注目ポイントはベルナルドの起用法だったのではないだろうか。前線ならどこでもこなせる彼が、この試合守備時に託されたポジションは左SBだった。とうとう最終ラインまで侵食してきたベルナルド・シウバ。実にペップらしいというか、ベルナルドらしいというか。

ベルナルドはチームがボールを保持すると中盤ロドリと共にCHをこなし、後方[3-2]を形成。[3-2-5]の陣形をベースにボールを動かしていった。

これ対してヴィラは[4-4-2]のミドルブロックで対抗していった。

[3-2-5]の陣形と[4-4-2]の配置を噛み合わせてみると、あらゆるエリアにミスマッチが生まれる。ボールを保持する側には優位に、ボールを奪いに行く側からするとプレスが定まらない状況になってしまうとも言えるだろう。

ヴィラのファーストプレスは2トップ。それに対してシティは3バックとGK含めたで数的優位でボールを動かせる状況に。そこに2CHのロドリとベルナルドも加勢してくるので、前からのプレスは当然かからない。

ヴィラのゲームプランとして初めから前からプレスに出る気はなかったかもしれないが、プレスラインを下げればシティの後方の選手たちには時間とスペースの猶予が与えられる。

ここで力を発揮したのは帰ってきたルベン・ディアスだった。

▽おかえりルベン・ディアス

10月以来のプレミアリーグスタメンとなったルベン・ディアス。ボール保持の局面は3バックの中央でプレー。彼はボールを持つと自分に与えられた時間の猶予を前線の選手に的確に渡していき、ヴィラのプレスを空転させていった。

自分がフリーと見れば運ぶドリブルで前進。そして持ち前の配給力でも効果を発揮した。

ヴィラの最終ラインは4枚。そうなるとシティのWGがフリーになりやすい(中央にハーランドに加えて2IHのギュンドアンとデ・ブライネの3人がライン間、背後を狙うので当然ヴィラの4バックは中央に集まる)。

そこを把握したルベンは中盤を飛ばすパスをWGに届けて一気にシティの攻撃にスイッチを入れた。

先制ゴールのロドリのヘディングシュートも、ルベンから→左WGで待つグリーリッシュへの対角フィード→ドリブル→CKゲット!がきっかけだった。

守備ではヴィラのカウンターをしっかりシャットアウト。

前半で大きな点差が開いたこと。そして久しぶりの出場で張り切り過ぎたのか、なんだか審判に物申してイエローをもらったことも影響し前半でお役御免。次節控える天王山の前に本当に頼れる男が帰ってきた。

▽チームで覆い隠す弱点

ベルナルドは守備局面になると左SBに入り、相手の右サイドのタイプへ回った。ベルナルドは持ち前の運動量と粘り強い対人で守備力にも長けるプレイヤー。しかしサイドの攻防では一瞬のスピード面での不安は確かにあるはず。また高さ勝負にも部が悪そうだ。

そんなベルナルドが抱える不安を、しっかりチームとしてカバーする設計がなされていた。

ヴィラのロングボールに対してはラポルトが競り合う。また相手がスピードを持って右サイドを攻め込むとそこへはこれまたラポルトが流れて対応。そしてベルナルドはラポルトが開けた中央エリアをカバーする連携を見せて、ベルナルドの弱点をチームでカバーしていった。

▪️より攻撃的に解放されたIH

ベルナルドが中盤に入ることで後方のビルドアップは厚みと安定が生まれた。それに伴いIHのギュンドアンとデ・ブライネはより攻撃的な振る舞いを見せれるようになった。

▽まずはギュンドアン。

ベルナルドのポジション配置に伴いより高い位置へ押し出されたギュンドアンは、持ち前の得点力を解放。

ハーランドに集まるプレスを逆手にその背後を抜け出して、ロドリからのスルーパスを受けてGKと1vs1を演出。このシーンは惜しくもゴールとはいかなかったが、39分チーム2点目をゲットして見せた。

デ・ブライネのキラーパスに抜け出したハーランドが一気にペナルティエリアへ侵入。そして彼の右足のクロスをギュンドアンがファーサイドでしっかり押し込みチームの2点目をゲット。

▽チャンネルへ走る走るデ・ブライネ

そしてもう一人のIHデ・ブライネは、この試合はオフザボールのアクションでシティの攻撃を活性化せていった。

右サイドにボールが入るとヴィラの4バックのチャンネル(CBとSBの間のスペース)へ何度もランニング。そしてチャンネルからポケットへ侵入するとお得意のクロスで決定機を演出。

ヴィラの4-4-2ブロックに対して後方は[3-2]でビルドアップを安定させ、フィニッシュ局面では4バックに対して5レーンアタックであっという間に3点。

前半でこの試合の蹴りをつけたシティは、後半ハーランドとルベン・ディアスを次節の天王山に向けて温存。後半は静かにクローズさせていったと気持ちよく言いたかった所だが、やっぱりこの試合もしっかり失点をしてしまった。

▪️目立つ前進からの失点

ペップ・シティはW杯明けから固定して[3-2]の陣形でビルドアップを実践している。それにより前述したようにIHがより攻撃的な振る舞いを見せれる効果等がある一方に、相手のプレスを中央で喰らいショートカウンターからの失点も同時に多発しているのが現状。

この試合でも自陣中盤でボールを奪われ、パス1本で失点をするシーンをまた見ることとなった。

前節のスパーズ戦。そしてその前のスパーズ戦でも。失点に直結するビルドアップ局面でのボールロストが最近非常に目立っている。

ここはしっかり無くさなければいけない課題。次節は天王山のアーセナル戦。アーセナルも今抱えるシティの弱点を虎視眈々と狙ってくるはず。細心の注意を払い、ペップシティらいしいビルドアップから見事な崩しを多いに期待している。

さぁ次節は首位アーセナルとの決戦。しかも相手の敵陣に乗り込んでの大一番。強い強いアーセナルに真っ向勝負を仕掛け、勝ち点差を是が非でも縮めて欲しい。

あぁ楽しみでしょうがない。試合が待ち遠しい。


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