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映画紹介

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「こんなふうに生きていけたなら」だ?貴様この野郎・・・『PERFECT DAYS』感想

「こんなふうに生きていけたなら」だ?貴様この野郎・・・『PERFECT DAYS』感想

 
 ※本記事は以下に、映画『PERFECT DAYS』(ヴィム・ヴェンダース,2023年)についてのネタバレがあります。感想は否定的意見を大いに含む個人の見解です。あらかじめご了承ください。

✱ ✱ ✱

 監督にヴィム・ヴェンダースを、主演に役所広司(以下敬称略)を迎えた日独合作の映画『PERFECT DAYS』は、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を獲得し、高い評価と注目を集めている。つい先

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日本アカデミー賞最優秀作品賞46作品全部見たから全部レビューする(全28000字)

日本アカデミー賞最優秀作品賞46作品全部見たから全部レビューする(全28000字)

 少し前に、米国のアカデミー賞作品賞受賞作を全て見て、そのレビューやトリビアを一本の記事にまとめるというnoteを書いたので、せっかくだったら日本アカデミー賞の方も全部見てしまおうということで、全部見てきました。

 前回は設立経緯や賞の社会的な意義などについても触れるようにして、結果的に記事がとても長くなってしまったので、今回は本当にごく簡単に、それぞれの作品について一言二言の感想で済ませるよう

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映画『怪物』は本当に“傑作”なのか?

映画『怪物』は本当に“傑作”なのか?

 ※この記事は映画『怪物』の核心部分に触れています。また、パンフレット、シナリオブック、インタビューの内容、否定的な感想を含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

 二週間前に映画『怪物』を観て、それからずっとモヤモヤしていた。何かすごく「美しい」ものを見せられたような気がするのと同時に、この物語を「美しい」の一言で片付けてしまっていいのかという相反する思いがあったからです。だから、一週間後にもう

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アカデミー賞歴代作品賞95作品全部見たから全部レビューする(全54000字)

アカデミー賞歴代作品賞95作品全部見たから全部レビューする(全54000字)

 つい先月、A24製作・配給の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が第95回のアカデミー賞作品賞を受賞し、また主演のミシェル・ヨー(以下敬称略)がアジア系史上初の主演女優賞に輝いたことで、ワイドショーやネットニュースを中心に大いに話題となりました。

 しかし、数ある映画賞の中で、オスカーがこれだけ特別視され、権威と誉れある賞として多くの人に受け入れられているのはなぜでしょうか。

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映画で夏を取り戻せ!オススメ夏映画3選

映画で夏を取り戻せ!オススメ夏映画3選

 木々が色づき始め、すっかり肌寒くなって、季節はとうとう秋を迎えました。「夏は暑いだけで品がない」「だらしのない季節」などと口では散々言いながら、過ぎてしまえばあの苛烈な暑ささえ懐かしく、どこか物寂しいものです。

 そこで今回は、久しぶりの映画紹介の記事ということで、夏の終わりを感じさせるような、哀愁漂う“夏映画3選”をお送りしたいと思います。興味のある方は、どうか最後までお付き合いください。

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家族で観たくない家族映画

家族で観たくない家族映画

 「家族で観たい映画」/「ファミリーで楽しめる映画」という触れ込みはよく目にするものの、その逆、つまり「家族で観たくない映画」というコピーは聞いたことがないため、それならば私の出番だということで、この記事を書いています。

 また今回は、その中でも「家族で観たくない“家族映画”」という切り口で、あくまで「家族」にスポットを当てた作品を紹介することにいたします。“家族で観たくない”というのは、「家族

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有名監督の知られざる名作②『マジェスティック』

有名監督の知られざる名作②『マジェスティック』

 第2回は、ジム・キャリー主演/フランク・ダラボン監督作『マジェスティック』について書きたいと思います。“フランク・ダラボン”と名前だけ聞いてピンと来ない人でも、『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』、『ミスト』の監督であると言えば膝を叩いて合点するはずです。

 「知られざる名作」と銘打っておきながら、『マジェスティック』はそれなりに有名な作品ではあるのですが、監督の知名度、そして名優ジム

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有名監督の知られざる名作 ①『ウィ・アンド・アイ』

有名監督の知られざる名作 ①『ウィ・アンド・アイ』

 映画紹介のnoteのリンクを友人に送って感想を求めると大抵、長いです、読む気がおきません、話しかけないでください、というようにすこぶる不評なので、今回は少し趣向を変えて、ある監督の一つの作品について深掘りして書いていきたいと思います。

 それに、他にも紹介したい映画は沢山あるので、今回に限定せず、「有名監督の知られざる名作」という同タイトルで、普段のnoteとはまた別に、折々更新していければい

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社会派映画のすゝめ

社会派映画のすゝめ

 今回は「社会派映画」と呼ばれるような少し堅い作風の映画について書きたいと思います。抽象的で曖昧なカテゴライズはあまり好みませんが、分類やラベリングが時に新鮮な視点を与えてくれることもまた事実です。製作国と扱うテーマの被らないよう、有名なものからあまり知られていないものまで年代順に6作品ほど紹介しています。「社会派映画にしては」といった枕詞なしに、純粋に映画として楽しめるものを選出したつもりです。

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何が好きかより何が嫌いかで映画を語るぞ!

何が好きかより何が嫌いかで映画を語るぞ!

 表題にある通り、今から嫌いな映画の話をします。本来ならまず好きな映画の話をするべきなんですが、好きな作品に関しては(好きだからこそ)特に言うことがなくて、そこから要素を抽出して好きな理由を並べ立てても仕方がないので、このnoteでは嫌いな映画の話をします。
 それから例えば、「〇〇が好きな自分が好きなだけでしょ」といった口撃のステレオタイプからもわかる通り、「〇〇が好き」だという表明をすることは

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