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せっかく採用した新入社員に逃げられないための対処法

4月に入社した新入社員が、GWが終わったら急に出社しなくなったなんていう声を聞きます。また、報道によると退職代行業者の繁忙期はGW前後とのこと。

せっかくお金をかけて採用したのに、あっさり逃げられてしまい、頭を抱えている人事担当者やリーダーは多いのではないでしょうか。
弊社では新卒採用はありませんが、中途採用の新入社員が不定期で入社していきます。
私も中途採用で入りました。当時、私は30歳を超えていましたが、「アウェイ」の環境の中では不安でいっぱいで、「この会社に馴染めなかったらどうしよう……?」と考えていたものです。
しかし、入社してどう感じるかは人それぞれです。社員同士が仲が良いアットホームな職場が苦手な人、社交的で物怖じしない人、上昇志向とプライドが高い人、仕事よりもプライベートを大切にしたい人……などがおり、「これで絶対に会社に馴染んでもらえる」という唯一の正解などあるはずもありません。
しかし、そこで思考停止に陥って、「何をすればいいかわからない」「成り行きにまかせるしかない」という態度は先輩やリーダーとして正しくありません。
そこで、どのように接すれば、新入社員が職場に馴染んでくれるか、その方法を記した箇所を津田典子『最強のチームリーダーがやっている部下との距離のとり方』から一部抜粋してご紹介します。

先述した通り、これが唯一の正解ではありませんが、1つのスタンダードな指標としてお読みいただければと思います。たしかに、ここまでまわりに気をかけてもらえれば、多くの新入社員は「この職場でがんばろう」と思ってくれるはずです。


新しい社員を受け入れたときは

 ここで、私が採用コンサルティング会社で新しい社員を受け入れた際のエピソードをお話ししましょう。
 あるとき、中途採用で40代の男性社員が入社し、コールセンター部門に配属されたことがありました。Aさんとしておきましょう。
 コールセンター部門といえば女性が9割の職場です。Aさんはコールセンターに配属されるだけあって、コミュニケーション能力には問題のない方でしたが、電話応対経験はほぼ未経験。業務や職場に馴染めるかの心配が少しありました。
 そこで、私は「たくさん接触する」と「ビジョンや期待を示す」ことの2つを意識することにしたのです。
「たくさん接触する」については、いつもどころか1日何度も声をかけるように努めました。
「ビジョンや期待を示す」については、本人だけでなく、その方の指導役社員や業務が近い社員たちに「部門として新人に期待することを示し新人育成に協力してほしい、教えることを通して既存社員にも学びがある」ということを説明。その受け入れ体制をつくってもらうことにしました。
 すると、社員みんなの協力もあり、「Aさんは少しおっちょこちょいなところがあるけれど、話がおもしろいひょうきんな人」ということが1週間も経たないうちに社内に伝わり、すぐに打ち解けることができたのです。

全員でウェルカムの場をつくる

 具体的に行ったことをもう少し詳しく説明しましょう。
 休憩時間や帰り際にPCを片付けるちょっとした時間も逃さず、私はAさんに次のような言葉を投げかけるようにしたのです。
「今日困ったことはなかった?」
「慣れてきた?」
 また、業務とは関係のないこんな言葉かけも。
「今日は、職場の誰と会話した?」
「うちの会社に来てから、ご家族の反応は?」
「前の職場と違うこととかある?」
「週末は何するの?」
 このように、話しかけながら、表情や受け答えの態度なども含めて反応をしっかりと確認したのです。
 業務についての声かけは当然のことで、意識しなくても自然と出てきますが、早い段階で相手の人となりに興味を持ち、人柄を知るための質問や声かけをすることが重要なのです。
 また周囲の社員たちには、新入社員を意識して見てもらい、気づいたこと(業務スキル的なこと、性格的なこと、考え方等)を共有してもらったり、各人から新入社員に用がなくても1日1回は話しかけるか自分のことを話すようにお願いしました。
 この全員でウェルカムの場をつくることで、いち早くコミュニケーションの場に加わり、組織に馴染むことが可能になったのです。
 あなたの場合はいかがでしょう。新入社員や異動で新たなメンバーが加わったとき、これくらいの勢いで、その人のことを気にかけて、アクションを起こしていますか? 「大人なんだから、そこまでやらなくても……」と思ったら、リーダーとして視点が少し低いかもしれません。
 誤解がないように付け加えますが、これは仲良しになるために行っていることではありません。組織内の人間関係を円滑に育み、人材を早く即戦力化するため、ならびに帰属意識を高め、人材定着をはかることを目的とした施策です。
 メンバーが居心地のよさを感じてくれる職場であることが、組織の目標達成には近道であることをリーダーは認識する必要があるのです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部  いし 黒 )


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