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サンアントニオ旅行記 -224cmの怪物-

なんでバスケが好きか。そう考えたところで答えは出ない。

だけどなぜかは分からないけれど、物心ついた時からバスケだけは好きだった。小学生の頃にスラムダンクにハマったことはもちろん重要な体験だけれど、それと同じくらいNBA (National Bastketball Association - アメリカの男子バスケのプロリーグ) にハマったこともぼくにとっては大事な事件だった。マイケル・ジョーダンがいたリーグといえば伝わる人もいるだろうし、今だったら日本人の八村塁選手や渡邊雄太選手が大活躍していることで知っている人もいることだろう。

ぼくは「アメリカにいるうちにやりたいことリスト」というのを作ってある。その上位には「NBAの試合に行くぜ!」という言葉が高々と書かれているのだった。シアトルにはNBAのチームがないのでNBAの試合を見に行くとなると他の街まで飛んで行かないといけない。

そんな訳で。今回はサンアントニオまで行ってまいりました。純粋な旅行も兼ねて1/12 (金) - 1/16(月)の長い連休を使って訪れました。ちなみに月曜日はキング牧師記念日というアメリカの祝日ですね。

なぜサンアントニオ?

どうしてもサンアントニオでNBAの試合を見たい理由があった。

それは…この男を観るためだ。

バスケットボールキングより

ビクター・ウェンバンヤマ。フランス出身でサンアントニオ・スパーズに所属する選手。いわゆる今年の"ドラ1" (ドラフト1位選手)だ。"ウェンビー"の愛称で呼ばれるNBAの大注目選手だ。

この男。まず何よりもめちゃめちゃ大きい。身長にして224cm。2メートル越えが少なくないNBAの中でもこれは桁違いにデカい。でもデカいだけじゃないのが凄まじいところだし、彼が"NBAの未来"を背負っていると言われる所以だ。それについては後ほど触れるとしよう。

なんとなくウェンビーみたいなドラ1はルーキーシーズン中に観たいなと思った。その初々しいデビューをこの目で観てみたい。というわけで抑えきれないワクワクを抱えながらいざサンアントニオへ!

フロストバンクセンター

シアトルからは飛行機で4時間ほど。テキサスに位置するこの街に降り立つなり、会場であるFrost bank Center (フロストバンクセンター) へ。

ででーん。

ちなみに余談だが数日前になって開始時間が2時間も前倒しされた。「え!」って思ったけれどアメリカでこういうことは初めてではない。「みんな怒んないのかな?」とも思ったけれど金曜夜の夜9時開始が7時開始に変更されたところでそんなに支障はないのだろう。というのもアメリカ人は金曜の夜は仕事あがるのめっさ早いから。

ぼくはギリギリの時間で飛行機を予約していたこともあって遅れて会場へ。後半から観るということになってしまったがまあ仕方ない。こういうこともアメリカ生活あるあるだと心得ている自分がいる。ぼくも少しづつアメリカ人になっているのかもしれない…なんて勘違いかもしれないけれど。

ででーん。

試合会場に入る。前半後半の間の休憩時間ともあって会場の中は人が少なく、みんな外の屋台みたいなところでビールを飲んだりホットドッグを食べたりしていた。

いやーそれにしても感動だ。この会場はNHKのBSで観ていたあの会場なのだ。ぼくが一生懸命NBAを観ていた小学生のころはこのサンアントニオ・スパーズがめちゃめちゃ強かった。ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリといういずれも殿堂入り選手が築いた黄金期のチームでばんばん優勝していたのだ。「強すぎることに慣れてしまったファンが優勝してもさほど喜ばなくなってしまった」という逸話まで残っているぐらいだ。

1990~2000年代で獲得した優勝バナー

ビクター・ウェンバンヤマの衝撃

後半開始の時間が近づくにつれて選手がロッカールームから戻ってきてウォーミングアップを始める。

そして…いました!ビクター・ウェンバンヤマ!(以下、ウェンビー)

写真の真ん中ちょっと右をご覧くださいませ。一人だけ異様にデカい人がいるのにお気づきでしょうか?育成コーチみたいな人とディフェンスのフットワークの練習をしている。

ウェンビーがデカすぎて大人が子供をいじめているようにしか見えない(笑)。育成コーチがまるで部屋の角に追い込まれたネズミのようだった。これを観ただけでなんだかワクワクしてしまった。

(写真中央ちょっと右) ウェンビー vs. 育成コーチ
(写真中央) ウェンビーに子供扱いされてしまう育成コーチ

いざ試合が始まる。もちろん目で追いかけるのはウェンビーだ。

ウェンビーはデカい。デカいとなるとバスケの世界ではセンターやパワーフォワードといった"大きい人向け"のポジションに就いていると思うかもしれない。スラムダンクで言えば赤木や川田、もしくは桜木といったところだろう。

でもウェンビーの場合は違うのだ。この大きさからは考えもつかないほどドリブルもシュートも上手く、動きも俊敏なのだ。彼のプレイスタイルは、(これまたスラムダンクで例えると)流川、仙道、もしくは沢北といったところなのだ。その証拠に彼はゴールの近くではなくスリーポイントラインでボールを持つことが多い。

(写真中央)もう流川とか沢北にしか見えない。カッコいいんだな、これが。

そして実際にスリーポイントシュートをばんばん決めてしまう。これでシュートが上手いのは、なんというか…ズルすぎる。

(写真中央からやや左下)ディフェンスがいてもお構いなくシュートを打つウェンビー

そしてもちろんゴール付近でもめっぽう強い。1、2回ドリブルしただけで彼の手がもうゴールのすぐ近くにあり、周りは彼がダンクする姿を呆然と眺めている。そんなシーンが何度もあった。

逆も然りで彼がディフェンスをしていると敵の選手はブロックされることが怖くてなかなかドリブルしてゴールに近づくことができない。勇敢にもレイアップをしようとするとウェンビーが長い手で易々とボールを弾き落としてしまう。これまた反則だ。彼がいるだけでシュートを入れることがどれだけ難しく見えることだろう。

(写真中央からやや左)豪快なダンク!

とにもかくにもウェンビーに目が入ってしまう。それだけ華がある選手だった。会場にいる全員が同じようにウェンビーばかりを観ていたように思う。

これでまだNBA1年目の20歳。ここから更にすごいことになるのだろうし、彼がNBAの次の時代を築いていく様を全米が、いや全世界が目の当たりにしていくのだろう。大きな怪我だけがないようにと祈るし、プレッシャーに押しつぶされないように楽しくバスケを続けてほしいなって思う。

NBAのエンターテイメント性

ちなみにNBAの試合は観客を飽きさせない仕組みで溢れている。試合がちょっとでも中断するとありとあらゆる催しもので観客はもてなされる。

チアリーダーによるダンスは王道としても、会場上部のモニターに選手のちょっとしたインタビュー動画が流れたり、会場にいる人々にカメラがズームアップして写された観客がそれに答えて渾身のダンスを披露したりする。

めちゃめちゃ踊ってる
カメラに捉えられてその場で踊り狂うおっさん

地元の人がハーフコートのラインから長距離シュートを打つという企画もあった。今回選ばれたのは地元の中学で英語を教えているという中年の男性教師。シュートを打つ度に会場に「Oh yeah!!!」という観客の歓声が響き渡る。そしてシュートを打つ度に、この教師のシャツがチラッとめくれてふくよかなお腹が顔を出すのだった。

(写真中央からやや左下)かわいいお腹のおっさん

NBAの試合を普段から観ない人でも、会場に足を運べば誰だってとても楽しめるんじゃないかと思った。試合のチケットはネットで簡単に買えるので、アメリカに旅行の際は娯楽の一つして検討してもいいのかなって思います。そしてもし巡り合わせが良ければ、ぜひウェンビーの試合を観てみてくださいね。きっとびっくりするから。


今回はそんなところです。サンアントニオの旅はまだまだ続きます。次回作もお見逃しなく〜。

それではどうも。お疲れたまねぎでした!



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