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サイバーパンク・ピーチボーイ【短編小説】

Cyberpunk-PeachBoy-momo

光と闇、真実と虚構が交錯する近未来の世界で繰り広げられる壮大な物語。
カルト教団の脅威に立ち向かうため、未来からやってきた若者モモと、彼の信頼する仲間たちが奇跡の力と勇気を持ち、困難に立ち向かっていく。

古き神々の力と未来のテクノロジーが交錯する中、彼らはカルト教団の闇を暴き、真実を求めて旅立つ。仲間の絆と人々の希望が交差する中、彼らは自身の使命を果たし、新たな旅へと踏み出す。壮大なスケールと感動の物語が未知の世界へ誘う……

Cyberpunk-PeachBoy_miyako

登場人物

  • モモ(20歳): 未来からタイムリープしてきた勇敢で冷静な思考を持つ若者。超常的な力を持つ。

  • おじいさん(70歳): 賢明で温和な性格の老人。古い神々を信仰し、神秘的な力を持つ。

  • おばあさん(68歳): 優しくて芯が強い女性。豊かな知恵と癒しの力を持つ。

  • ケンヂ(25歳): クールで知識豊かなハッカー。ハッキングのスキルと情報収集能力が高い。

  • ミヤコ(23歳): 芸術的な視点と繊細な感性を持つ女性。芸術の才能と洞察力が高い。

  • ハヤト(27歳): 冷静で戦術的な思考を持つ戦士。戦闘技術と指導力が優れている。

  • 真光真光様(マコマコさま): 年齢不詳。虚偽と欺瞞に満ちた冷酷なカルト教団の教祖。カリスマ性と悪徳なビジネス手法を持ち、信者を洗脳する能力がある。


奇妙な訪問者

空は鉛色に垂れ込み、風はかすかに潮の香りを運んできた。静かな町の一角、おじいさんとおばあさんが暮らす古びた神社は、日々の平穏を刻んでいた。この神社で二人は長い年月を過ごしてきた。春は桜を愛で、夏には蝉の声を聞き、秋は紅葉を楽しみ、冬は雪の静寂を感じる。それが二人にとっての日常で、それが二人にとっての幸せだった。

おじいさんは、神社の境内を綺麗に掃き清めるのが日課で、おばあさんは神社に訪れる者へのお茶うけを作るのが得意だった。自分たちの役割を全うすることで、二人は静かながらも充実した日々を送っていた。

二人は昔ながらの日本の伝統と、八百万の神を深く信仰していた。そして、その信仰は日々の暮らしを支え、心の平和をもたらしていた。

「おじいさん、今日もいい茶ができたわよ」
「ああ、ありがたい。そろそろ落ち葉も集めてくるかな」

おじいさんは笑顔でこたえ、篭を持って神社の庭を後にした。
この日、川辺でゴミ拾いをしていたおじいさんは、不自然に流れてきたウーバーイーツの大きなバッグを見つけた。その表面は擦り切れ、何度も旅をしたかのような風格を漂わせていた。

家へ戻り、おばあさんと一緒にその中を開けると、まるで春の桃のような肌をした青年が軽やかに立ち上がった。

彼の名前はモモ。その瞳には未来の知識と、深遠なる時を旅した者だけが持つ、寂寥とした輝きがあった。

「僕は未来から来たんだ……」

モモはゆっくりと、語り始めた。
初めて人間が月に降り立った時のような驚きと戸惑いが、おじいさんとおばあさんの心を埋め尽くした。

だが、モモが見せた未来のテクノロジーの証、桃の形をした小さなAIロボットは、彼の言葉を裏付けるものだった。この小さなロボットは、モモの命令に従い、風を呼んだり、光を放ったりしていた。それを見たおじいさんとおばあさんは、モモが真実を語っていると信じざるを得なかった。

「そ、それはすばらしい!」
「桃から生まれたような小さなロボットが、風を呼んだり光を放つなんて……」おばあさんも頷き、目を輝かせた。
「まるで神話の中のお話みたいね。でも、それが目の前で起こるなんて……」

モモは微笑みながら、二人に向けて話した。
「それが、未来の世界なんです。でも、その全てが僕たちの未来を決めるわけではないんです。僕たち自身の意志や選択が未来を作ります。だから、僕はここに来たんです。」

その夜、おじいさんとおばあさんの家で交わされた会話は、懐かしさと新しさを織り交ぜた、奇妙な調和を奏でていた。
そして、その日から、小さな神社はただ静かに時間を刻むだけの場所ではなくなり、新たな歴史の舞台となった。

それからの数日間、モモはおじいさんとおばあさんに未来の世界について語った。それは二人にとって全く新しい世界観で、想像もつかないような事象がたくさん詰まっていた。だが、同時にそれは古くから伝わる神話や伝説のようでもあり、引き込まれるような力があった。

「モモ、未来の世界では神々はどうされているのかね?」
「未来では、神々は形を変えて存在していますよ。機械やAI、あるいは人間の中に宿るような形で。でも、おじいさんおばあさんの信じているような形で存在する神々もまた、私たちの心の中にいます。」
「それなら、何も心配することはないわね。神様は変わらず私たちのそばにいるのね。」
おばあさんはにっこりと微笑んで、納得したように頷いた。

夜が更けていく中で、三人は未来の話をしながら、心地よい疲れと共に眠りについた。この小さな家は新たな家族を迎え、更なる物語の舞台へと進化していった。そして、それはまるで新しい物語の始まりのようでもあった。

不穏な侵入者

町にひとつの不吉な風が吹き始めた。それは『真の真理求道協会(まことのしんりぐどうきょうかい)』なる教団がこの町に入り込んだからだ。
信者から『真光真光様(マコマコさま)』と呼ばれている教祖は、独特の雰囲気をまとい、人々を教団へと誘った。その言葉には説得力があり、獲物を狙うような眼差しは人々の心を掴んで離さなかった。

この『真の真理求道協会』は、自らが唯一絶対真の真理の守護者であり、人々を救済すると主張していた。しかし、その裏側で、真光真光様は信者たちから巧みにお金を巻き上げ、それを自らの私腹を肥やすために使っていた。彼は信者に純潔を求めつつ、自らはその純潔を汚し、可愛い好みの女性信者と性的な関係を持つことも厭わなかった。

さらに彼は信者を対象にした金儲けの手段として、「先祖をすべて天国にひき上げる」などというインチキな儀式を提供していた。
その儀式には最低でも369万円(ミロク)必要で、家庭単位であれば738万円のところ567万円になる。これは弥勒菩薩さまが56億7000万年後に再臨されるというありがたい数字から来ているという。

ほとんどの信者が自分の財産をすべて捧げ、その儀式を受けていた。
おじいさんとおばあさんは、昔ながらの神々を信仰していたため、この教団に入信することはなかった。しかし、町の人々、近所の友人たちが次々と教団に引き寄せられ、その資産を巻き上げられていく様子に、彼らは大きな危機感を覚えていた。

「近所の田中さん、あの協会に入信したって言ってましたよ。」と近所の奥さんが神社を訪れたときにそう語った。
「あの儀式、たくさんのお金が必要だって……田中さん、大丈夫かしら……」

その夜、おじいさんとおばあさんは、カルト教団のことをモモに不安げに語った。

「それが、僕が戦うべき敵なのかもしれない。」
モモはそう言って、真光真光様の事を調べ始めるのだった。
それが、全ての始まりだった。

出会いと同盟

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モモは教団の暴走を静観することに苦悩を感じていた。ただ見ているだけでは解決しない、何か行動を起こさなければと思い始めていた。そして、そのためには自分一人では難しい。そこで、力強い仲間たちを求めて町を歩き始めた。

最初に出会ったのは、町の小さなカフェで働く青年、ケンヂだった。
ケンヂの身なりはカジュアルで、スキニージーンズとベースボールキャップが特徴的だった。カウンターで一人、パソコンに向かって真剣にキーボードを叩いている彼を見て、モモは近寄った。

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「君、コードを書くのが好きそうだね。」
「ああ、それなりにな。でも、僕の妹はもっと好きだったよ。でも今は……」
ケンヂは言葉を切った。彼の妹は真の真理求道協会に取り込まれ、一度は出てこられなくなってしまっていた。そんな彼の悩みを共有したモモは、心の中で新たな決意を固めた。

次にモモが出会ったのは、市内の小さなアートギャラリーでインターンとして働くミヤコだ。ミヤコは絵を描くのが好きで、その芸術的な視野がモモには新鮮だった。ギャラリーでミヤコの描く絵を見て、モモは話しかけることにした。

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「素晴らしい絵だね、君が描いたのか?」
「ええ、でもこれが最後かもしれません。友人が……」

ミヤコの友人は教団によって美術の世界から引き離され、人生を狂わされてしまった。その話を聞いたモモは、彼女と手を組むことを提案した。
最後に出会ったのは、市内のジムでトレーナーとして働くハヤトだ。
ハヤトは教団によって両親を失い、その復讐を誓っていた。彼の強靭な肉体は、その心の決意を象徴しているようだった。

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「君、強そうだね。」
「ああ、だけど力だけじゃ何も変わらない。何か他の方法を見つけないと……」
これを聞いたモモは、彼に戦いを提案した。三人とも熱い心を持って教団と戦う覚悟を示し、モモの提案を受け入れた。こうして、四人の仲間たちは教団と戦うための同盟を結んだのだった。

カルト教団への潜入

「準備はいいか?」モモが問うと、ケンヂ、ミヤコ、ハヤトが頷いた。教団の本部への潜入が始まった。モモの胸の中で、心臓がリズミカルに高鳴っていた。それは恐怖だけではなく、興奮と期待によるものでもあった。

夜の帳が下り、静寂が包む中、四人は一つの建物へと足を進めた。そこは「真の真理求道協会」の本部だ。大きな門をくぐり、低い呼吸音を立てながら、四人は建物の奥深くへと進んだ。
「ここは……ものすごいエネルギーを感じるね。」ミヤコが小声でつぶやいた。

ケンヂは指をパソコンのキーボード上で躍らせ、ハヤトは緊張感を隠しきれずに周囲を警戒した。モモの目は前方の暗闇をじっと睨んでいた。
潜入先は教団の会議室。モモたちはその部屋の脇で、偽装していた。窓ガラス越しに見える教団員たちの姿、そして彼らが話す言葉から、教団の闇が徐々に明らかになっていった。

「見てみろ、これが彼らの真実だ。」
モモが指さす先には、信者たちが悲痛な表情を浮かべ、自身の財産を教団に寄付していた。その先には真光真光様が座り、その口からは誤解と恐怖を煽る言葉が溢れ出ていた。

「あなたがたの持っている所有物が、天のものであるか、サタンのものであるか、それをはっきり知らなければなりません!
なに一つあなたの所有物はありません。それをすべて天のものとして分別しておかなければなりません!
ですから所有権を転換しなければなりません!所有観念をハッキリハッキリ悟らなければなりません!!」

四人は言葉を失った。その独裁的な言葉と、信者たちが涙を流しながら財産を教団に捧げる様子を見て、四人の心には痛みが広がった。

「天の側に立つことができないならば、私の先祖のすべてを殺すことになる!あなたの後孫たちをすべて殺してしまう立場になるのです!さあこれから、この誓約書にすべてを書いて書きなさい。
自分の名前、夫の名前、妻の名前、電話番号、所属、あなたの所有権のある動産・不動産……家、土地、ビルディング、自動車から、田んぼ、畑、保険、預貯金……もう、すべてのものを全部書きなさい!!
分かりましたかッ!分かりましたかッ!分かりましたかーーーッ!」

真光真光様の言葉は鋭く、冷たく、部屋中を満たしていた。その言葉は、信者たちの心を揺さぶり、彼らを自身の絶対的な支配下に置いていた。

モモと仲間たちはその光景を目の当たりにし、そして決意を新たにした。彼らはこれから闘う敵、そして救わなければならない人々の姿を見たのだ。
「これが…真の真理求道協会か。」
ハヤトの声は低く、静かだった。それは怒りと決意に満ちていた。モモは頷いて、「うん、これが彼らの真実だ。だから僕たちは闘うんだ。」と言った。そして彼らは、この夜が明けるまでの時間を利用して、次の行動計画を練ったのだった。

決戦

決戦の日が来た。静けさと緊張が広がる教団の敷地内、モモとケンヂ、ミヤコ、ハヤトは準備を整えていた。彼らの目的はただ一つ、教団の真の目的を全世界に暴露し、信者たちを解放することだった。

「準備はOKだ、モモ。」
ケンヂがハッキングの準備が完了したことを報告する。モモは深呼吸をして、頷いた。

教団のミーティングが始まると同時に、彼らは動き出した。教団の内部から流出した情報、教祖が信者たちから騙し取った金銭や悪徳行為の証拠をネット上に公開し始めた。
それは一瞬でTwitterをはじめとするSNSを駆け巡り、一気に拡散されていった。

「モモ、あとは任せるよ。」
ケンヂがパソコンから手を離すと、モモは深呼吸をして教祖のいる建物へと足を進めた。ハヤトとミヤコが彼を見守っていた。

教祖の前に立ったモモは、迷いなく口を開いた。
「信者のみなさん、そして、真光真光様。これから話すことをよく聞いてください。」

礼拝堂全体が静まり返った。その後、モモは教団の信者たちの前に立ち、重い沈黙の中で口を開いた。
「信者のみなさん、そして真光真光様。これから話すことをよく聞いてください。」

礼拝堂の中は緊張と不安に包まれていた。信者たちはモモの姿に目を奪われ、彼の言葉に期待と疑問が交錯した。
「真光真光様と信者のみなさん、私たちは今日、この場に立ち上がります。私たちは教団の内部で起こっている真実を明らかにする使命を帯びています。」

モモの声は静かだが、その語り口には確信と決意が感じられた。信者たちは興味津々の眼差しで彼を見つめた。
「真光真光様、私たちが教団に参加した目的は、真の道を求め、心の安らぎを得ることでした。しかし、今私たちはその真の道が教団の中に存在するのか疑問に思っています。」

礼拝堂はざわめきを聞かせるが、モモはしっかりと続けた。
「私たちが目にしたこと、聞いたこと、そして調べたことによれば、教団の運営は真光真光様が約束された純粋なる道を歩むために行われているとは言い難いのです。」

信者たちの顔には驚きと不安が浮かび上がった。彼らは真光真光様を信じ、教団に希望を抱いていた。
「真光真光様が提案される先祖を天国に送るための儀式、それには高額な金銭が必要とされています。しかしこの儀式は、実は真光真光様の個人的な利益のために行われているものだと私たちは知りました。」

礼拝堂には驚愕と困惑が広がり、モモの言葉に真実味を感じる者もいた。
「真光真光様、信者の皆さん。私たちはこの証拠を集め、インターネット上で公開しました。それを今、全世界に知らしめる時が来たのです。」

モモは手元のスマートフォンを操作し、教団の内部の悪事を証明する写真
や文書が次々とスクリーンに映し出された。信者たちは驚きと困惑の表情でそれを見つめた。

「これが真光真光様の悪徳行為、信者たちから騙し取られた財産、そして真光真光様の個人的な利益のために行われる儀式の真実です。これを見たあなた方が、心の中で真実を感じることを願っています。」

礼拝堂には不穏な空気が漂い、信者たちの中には疑念が生じ始めていた。
「真光真光様、これから私たちは教団の闇を暴き、信者たちを解放するための行動を起こします。そして真光真光様が法の下で裁かれることを確実にします。」

モモの言葉が響き渡る中、礼拝堂内は混乱と騒然となった。信者たちは自身の信念と教団の実態の間で葛藤し、悩み苦しんでいた。

この日を境に、教団の内部は大きな変革が始まった。真光真光様の悪徳行為が暴かれ、信者たちは洗脳から解放されていくのだった。同時に、モモと仲間たちの努力によって、教団の崩壊が加速され、真光真光様は法の裁きを受ける運命に翻弄されることとなった。

真光真光様は法の裁きを受けるために法廷に引き出された。裁判所の中庭には多くの報道陣や信者たちが集まり、注目の的となっていた。モモと仲間たちも、教団の闇を暴くために立ち会うために裁判所に駆けつけた。

法廷の扉が開かれると、真光真光様が護送される姿が現れた。彼は手錠をかけられ、堂々とした態度で立ち向かっていたが、その目には焦りと憤りが宿っていた。

広い法廷には裁判官、検察官、弁護士、そして陪審員が座っていた。モモたちはその一角で彼らの目的を果たすために見守っていた。
法廷の中央に真光真光様が立たされ、裁判官が厳粛な声で質問を始めた。

「真光真光様、あなたには罪状が告げられています。信者たちから金銭を騙し取り、不正な儀式を行うなど、悪徳行為を働いたとされています。これについてどのように申し開きをいたしますか?」

真光真光様は傲然とした表情を浮かべながら、自身の無罪を主張した。
「私は真の道を示し、信者たちの救済を願って行動してきました。彼らからの寄付は全て真の目的のためであり、私は正当な権威の下で儀式を行っていたのです。」

しかし、証言や証拠が次々と提示される中で、真光真光様の言葉には嘘が滲み出ていた。信者たちが提供した証言や財産の移動履歴、そして教団内部の文書が真実を物語っていた。
弁護士が真光真光様の無実を主張しようとしたが、検察官は厳しい口調で反論した。

「真光真光様は信者たちからの金銭を詐取し、私利私欲のために利用していました。彼の儀式はインチキであり、多くの人々を欺き続けてきたのです。」

モモと仲間たちはその証言に心を痛めながら、真光真光様が最後の言葉を述べる様子を見守っていた。
真光真光様は法廷に沈黙が広がった瞬間、一転して激情を露にした。

「私の使命は清く正しいものだった! あなたたちは真光真光からの恵みを理解できていないのだ! 私の先祖たちは地獄に落ち、あなたたちの家族も同じ運命にあることを知っているのだろうか!」

法廷には真光真光様の声が響き渡り、彼の言葉に不穏な空気が立ち込めた。
裁判官は静粛を求めた後、厳粛な表情で判決を言い渡した。

「真光真光様、あなたは信者たちからの詐取や不正行為を犯し、教団を不正に運営してきたと認定されました。法の下で厳正に裁かれることとなります。」

真光真光様は法廷に連行され、彼の悪徳行為が世間に知れ渡ることとなった。その一瞬、モモと仲間たちは救いの感情と達成感に満たされた。彼らの勇気と行動によって真光真光様は裁かれ、教団の闇が晴れたのだ。

目覚め

教団の崩壊後、町は静かな平穏を取り戻した。信者たちは教団の闇が暴かれたことにショックを受け、自分たちが洗脳されていたことに気付いた。彼らは混乱と後悔の中で、新たな人生を歩む道を模索し始めた。

モモと仲間たちは町に残り、信者たちをサポートすることに専念した。彼らは心の傷を癒し、再び自由な人生を取り戻すための手助けをすることに力を注いだ。

「信者たちが救われることを願っていますね。この町にはまだ多くの人々が救いを求めているかもしれません」と、ミヤコがモモに語りかけた。

モモは頷きながら、町の様子を見つめた。
「そうだね、まだまだ私たちにできることがあるはずだ。信者たちが新たな道を歩む手助けをすることが私たちの使命だ。」
仲間たちはモモの言葉に賛同し、力強く頷いた。彼らは町の人々のために尽力し、信者たちを再び希望に満ちた人生へと導くことを決意した。

町の人々は教団の崩壊後、救いと新たな人生の希望を見出すために奮闘していた。信者たちが悔い改め、過去の過ちから学びながら、新しい生活を始める準備を進めていた。

上場企業に勤めていた女性、真由美は教祖に気に入られ、専属秘書兼セフレとして彼の側にいた。彼女は自身の誇りと尊厳を捧げ、教団のために全力を尽くしていた。しかし、教団の闇が明るみに出ると共に、真由美は自身が利用されていたことに気付いた。

真由美は法廷の証言台で涙ながらに訴えた。
「私は真光真光様に心酔し、彼の信念に共鳴していました。しかし、教団の真の姿を知り、自身の誤りに気付いたのです。私は信者たちと共に過去の過ちから学び、新たな人生を歩む決意をしました。」

また、町には家や土地を全財産として教団に捧げた老夫婦もいた。彼らは教団の説得に騙され、先祖のために全てを捧げることを決断していた。しかし、教団の崩壊後、彼らは自身の軽率な判断に苦しむこととなった。

老夫婦はモモとの対話の中で、苦悩を吐露した。
「我々は真光真光様の言葉に瞑想し、救いを求めていました。しかし、教団の裏の顔を知り、自身の軽率な行動に後悔の念を抱いています。この先祖のために捧げた家や土地は二度と戻ってこない。しかし、新たな人生を歩み始めることで、教団の洗脳から解放されることができるのです。」

町の人々は教団の闇が明るみに出たことで、悔いと後悔の念を胸に抱えながらも、自身の過ちから学び、新しい人生をスタートさせようとしていた。彼らはお互いに支え合い、再び幸せを見つけるための道を模索し始めた。

モモと仲間たちは、真実を伝える役割を果たしながら、信者たちの苦悩や心情を理解し共感しようと努力していた。彼らは困難な過去を乗り越え、新たな人生への道を切り開く手助けをすることに心を燃やしていた。

「信者たちが自身の過ちに向き合い、新たな人生を歩み始める姿を見ると、私たちの努力が報われたように感じるね」と、ミヤコが仲間たちに話しかけた。ハヤトは頷きながら言葉を続けた。

「私たちの目的は信者たちが再び幸せを見つけること。彼らが自身の内なる力に目覚め、新たな人生を歩む準備をしていることを知っている。私たちは彼らの手助けを惜しまず、共に新たな未来を築いていこう。」

仲間たちは信者たちの苦悩に寄り添い、彼らが新たな人生への一歩を踏み出せるようサポートし続けた。町は次第に再び活気に満ち、信者たちは自身の内なる力を信じながら、新たなる人生への旅立ちを果たしていくのだった。

新たな旅立ち

「あの教団の崩壊は本当に驚きだったよね。でも、町の人々が少しずつ立ち直っていく姿を見ると、救われた気がするよ」と、ハヤトが仲間たちに話しかけた。

ミヤコは微笑みながら答えた。
「そうだね、彼らは自分の心の声に耳を傾け、真光真光様の代わりに自分自身を信じることを学んでいる。それが一番大切なことだと思うよ。」

仲間たちは町の人々の変化に喜びを感じながら、彼らが再び自由な人生を歩むことを願っていた。

モモは心に新たな決意を抱き、仲間たちに向けて言った。
「私たちはまだまだ冒険の旅を続ける。町の人々が新たな人生を歩み始める中、私たちも自分の使命を果たすために進んでいくんだ。」

ケンヂは意気揚々と応えた。
「そうだ!新たな困難が待ち受けているかもしれないけど、仲間たちと力を合わせれば何だって乗り越えられるさ!」

ハヤトは頷きながら言葉を続けた。
「私たちは信念を持ち、困難に立ち向かってきた。これからもその信念を貫き、新たな冒険に挑戦していくんだ。」

仲間たちの心が一つになり、彼らは新たな旅立ちへの準備を始めた。困難が待ち受けるかもしれない未知の世界への挑戦。だが彼らは互いの絆と信念に支えられ、新たなる冒険への道を歩み始めるのだった。

後日談

数年が経ち、町は教団の影響から完全に解放され、新たな風景が広がっていた。
モモは未来からやってきた旅人として、再び町を訪れた。彼は街角のカフェで、かつての仲間たちと再会を果たしていた。

ミヤコは芸術の道を追求し、美術展で才能を開花させていた。彼女の作品は人々の心に響き、多くの人々に感動を与えていた。ミヤコは微笑みながら語った。
「私の絵が人々の心に届いている。モモとの冒険が私に芸術への情熱を教えてくれたんだ。」

ケンヂはハッカーとして名を馳せ、セキュリティ業界で活躍していた。彼の才能と知識は多くの企業の安全を守り、犯罪者たちを追い詰めていった。ケンヂは誇らしげに語った。
「モモとの冒険で学んだことが、私の人生を変えた。今はセキュリティの世界で活躍し、正義のために闘っているんだ。」

ハヤトは戦術思考と冷静さを活かし、消防士として地域の安全を守っていた。彼は火事を鎮めるために命を懸け、人々の命を救っていた。ハヤトは満足そうに語った。
「モモとの冒険で学んだ勇気と決断力が、私を消防士としての道へと導いてくれたんだ。今は町の安全を守ることが使命なんだ。」

仲間たちはそれぞれの道で輝きを放っていたが、彼らの心には共通の思いがあった。モモとの冒険が彼らの人生に大きな影響を与えたことを忘れることはなかった。

町は再び活気に満ち、信者たちも新たな人生を歩み始めていた。真光真光様に翻弄された過去を背負いながらも、彼らは自身の力で立ち上がり、新たな幸せを見つけていったのだ。

モモと仲間たちは再び別れを告げ、それぞれの道を歩み続けた。しかし、彼らの冒険と絆は永遠に続くことを知っていた。そして、町の人々は彼らの冒険譚を語り継ぎ、その勇気と希望を受け継いでいくのであった。


※当作品は『怖いお話.ネット』へ寄稿したものです。
https://kowaiohanasi.net/

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