礒部晴樹

横浜生まれの工業デザイナー。絵画、小説、詩画集、絵本、体験記、を投稿します。 夢幻の絵…

礒部晴樹

横浜生まれの工業デザイナー。絵画、小説、詩画集、絵本、体験記、を投稿します。 夢幻の絵画。魔法や闘いとは無縁の別世界ファンタジー小説。3度のガン手術から生還した80歳の私の世界観は詩画集に。老講師時代のチョイときめき体験談。ラジコンヨットと自転車、そしてコッソリ酒の日々。

記事一覧

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第90回]

霊巌寺        れいがん寺 館娃宮畔千年寺    かんあい宮畔 千年の寺 水闊雲多客到稀    水ひろく 雲多くして 客の到ること稀なり         聞…

礒部晴樹
5日前
18

絵本「うえはどっち」 うえってなんだろう?

礒部晴樹
7日前
9

絵本「かいぶつデゴン」 デゴンがまちにやってきた!

礒部晴樹
9日前
9

[絵本] ひみつのちかみち

礒部晴樹
11日前
14

[詩画集] ぼくは星の子・宇宙の子

1 ぼくはいま、たまたま人間やっています たまたまほかの動物や 花や木だったかもしれません もとをただせばみんな この地球から生まれた兄弟なのです この地球が母なので…

礒部晴樹
2週間前
18

「夕日の国」 短編小説 ファンタジー絵物語

 「コトン」と小さな音がして白い封筒がドアの下に落ちた。  「郵便だ。陽子からかな?」  バラの花を描いていた絵筆をおくと、カップに熱いコーヒーをそそぎ、手紙をと…

礒部晴樹
2週間前
11

「百合の王国」 ファンタジー小説

あらすじ  神秘の秘境にオープンしたテーマパーク[リリーパーク]へ、ぼくはバイクで向かっていたが、到着直前、崖から落ちて気を失った。  見知らぬ少女に助けられ、百…

礒部晴樹
2週間前
12

「ガーリン号の冒険」 SF小説 空想冒険航海記

あらすじ  ぼくナツオは、古代生物の宝庫カラカラ島探検のガーリン号に乗り組む。  船長のオットー博士以下全6名を乗せて船は出航。  コンピューターの天才少年テオが、…

礒部晴樹
3週間前
19

[エッセイ] 「ドス・アギラス号の冒険」椎名誠 空想冒険航海記の珠玉の傑作

  これはSF短編小説である。 見開きごとに挿絵が入っているので大人が楽しめる絵本である。 たむらしげるのイラストがすばらしく、椎名誠の軽妙な文章と響き合って、稀有…

礒部晴樹
3週間前
15

この絵はこの物語から生まれました ──物語の世界をアートに [第89回]

また、「緑の館」W.H.ハドソン からのインスピレーションで描いた作品です。 84回、86回に続き3回目となります。 今回はすべて最新作です。 「神秘の森の娘」というテーマ…

礒部晴樹
1か月前
7

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第88回]

漢江         かんこう 溶溶漾漾白鴎飛    溶溶漾漾(ようようようよう) 白鴎飛ぶ 緑浄春深好染衣    緑浄(きよく)春深くして 衣を染めるに好し 南去北…

礒部晴樹
1か月前
20

この絵はこの物語から生まれました ──物語の世界をアートに [第87回]

今回は、「みずうみ」シュトルム です。 ドイツの短編小説で、高校生のころ読みました。 たぶん、私にとって最初の外国文学だったと思います。 古風な淡い初恋物語で、老…

礒部晴樹
1か月前
15

この絵はこの物語から生まれました ──物語の世界をアートに [第86回]

今回も前回[第84回]に引き続き、「緑の館」W.H.ハドソン からインスピレーションを受けたモチーフの作品です。 ただしどれも40年ほど前に制作したアクリル画です。 当初の…

礒部晴樹
1か月前
15

[エッセイ] ラジコンヨット三つの楽しみ ──設計、製作、帆走

私はラジコンヨットを楽しんでいます。 ディズニーランドとどっちが好きといわれたら、近くの公園の池で、ヨットで遊ぶ方が好きですね。 このヨット、ハル(船体)全長23cmと…

礒部晴樹
1か月前
21

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第85回]

香炉峰下新卜山居    香炉峰下 新たに山居を卜(ぼく)し 草堂初成偶題東壁    草堂 初めて成り 偶(たま)たま東壁に題す 日高睡足猶慵起     日高く睡り足…

礒部晴樹
1か月前
17

[エッセイ] 盆栽風の盆栽 ──盆栽まがいを楽しむ

盆栽風の盆栽まがいを三鉢育てている。 なぜ盆栽風というのかというと、 これは盆栽ですと名乗るのが、少々おこがましいからである。 幹は細いし、ほとんど手を加えていな…

礒部晴樹
1か月前
9

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第90回]

霊巌寺        れいがん寺 館娃宮畔千年寺    かんあい宮畔 千年の寺 水闊雲多客到稀    水ひろく 雲多くして 客の到ること稀なり         聞道春来更惆悵    聞くならく 春来更にちゅうちょう             百花深處一僧帰    百花深きところ 一僧の帰る              白居易 いにしえの宮殿 館娃宮のほとりにある 千年もの古い寺 水郷が広々とひらけ 雲が多く 訪れる人は少ない 聞けば 春になったら 更にものわびしく 見渡す限

絵本「うえはどっち」 うえってなんだろう?

絵本「かいぶつデゴン」 デゴンがまちにやってきた!

[絵本] ひみつのちかみち

[詩画集] ぼくは星の子・宇宙の子

1 ぼくはいま、たまたま人間やっています たまたまほかの動物や 花や木だったかもしれません もとをただせばみんな この地球から生まれた兄弟なのです この地球が母なのです 時の風にふかれて みんな もとの土のかたまりに戻され こねこね混ぜ合わせられて ふたたび新しく登場します そのときなんになるかは 造形家の気分しだいです せっかく人間やっているので うまいビールでも飲んで 今回の人間時代を愉しみます 2 ボクやキミや動物や植物 そして海、河、山や、月、太陽 満天の星々と

「夕日の国」 短編小説 ファンタジー絵物語

 「コトン」と小さな音がして白い封筒がドアの下に落ちた。  「郵便だ。陽子からかな?」  バラの花を描いていた絵筆をおくと、カップに熱いコーヒーをそそぎ、手紙をとりにいった。  ぼくは、美術学校を出て半年の、絵描きのたまごだった。  近所の画材店で絵を売ってもらい、どうにか暮らしはじめたところだった。  まだまだとても、まともに生活していくほどの収入はなかったが、こうして好きな絵を描いてさえいられれば、ぼくは幸福だった。ほかには何もいらなかった。  「やはり陽子からだ。しばら

「百合の王国」 ファンタジー小説

あらすじ  神秘の秘境にオープンしたテーマパーク[リリーパーク]へ、ぼくはバイクで向かっていたが、到着直前、崖から落ちて気を失った。  見知らぬ少女に助けられ、百合の原の少女の家に連れていかれたが、そこは外界と孤絶した別世界だった。  そこで少女と平和で静かな生活を送るが、どうしても[リリーパーク]が忘れられない。 ある日、村を抜け出し[リリーパーク]を発見した。  この吉報を知らせようと、村まで戻ろうとしたが、道は消えていた。  あの百合の原、あの少女は幻だったのだろうか。

「ガーリン号の冒険」 SF小説 空想冒険航海記

あらすじ  ぼくナツオは、古代生物の宝庫カラカラ島探検のガーリン号に乗り組む。  船長のオットー博士以下全6名を乗せて船は出航。  コンピューターの天才少年テオが、タイムマシン「Nボックス」を操作し、カラカラ島に到着。  凶暴な怪獣ゴンタウロスや、動物捕食の植物岩からのがれ、美しい音楽をかなでるパイプオルガンの樹に憩う。  空飛ぶクラゲを探しに入った森で、不気味なコピー植物に遭遇。  反重力の池での不思議な生物達、五つ目ギガドロンや火山の噴火から、ジャンプ滑空飛行で退避、急遽

[エッセイ] 「ドス・アギラス号の冒険」椎名誠 空想冒険航海記の珠玉の傑作

  これはSF短編小説である。 見開きごとに挿絵が入っているので大人が楽しめる絵本である。 たむらしげるのイラストがすばらしく、椎名誠の軽妙な文章と響き合って、稀有の作品となっている。 ちょっと注文をつけるならば、お話が短いのである。 もう少し長く、そしてぜひ続編を書いてほしいと思う。 おいしいごちそうは、たいていもっと食べたいと思うものである・・・ 椎名誠は行動の人、旅の人、焚火キャンプ愛好家である。 きのう北極圏の極寒の地にいたかと思うと、あしたは南米の辺境パタゴニ

この絵はこの物語から生まれました ──物語の世界をアートに [第89回]

また、「緑の館」W.H.ハドソン からのインスピレーションで描いた作品です。 84回、86回に続き3回目となります。 今回はすべて最新作です。 「神秘の森の娘」というテーマ、モチーフは、私にとって汲めども尽きぬ創作の泉です。 手元にある紙に、つい手をのばし、思いついたアイデア、イメージを描きつけてしまいます。 雑誌、それも建築雑誌のすばらしい写真などからヒントを得られることが多いのはどういうわけでしょうか。 おかげでいつもメモ用紙とボールペンは、バックに入れてあります。 ま

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第88回]

漢江         かんこう 溶溶漾漾白鴎飛    溶溶漾漾(ようようようよう) 白鴎飛ぶ 緑浄春深好染衣    緑浄(きよく)春深くして 衣を染めるに好し 南去北来人自老    南去北来(なんきょほくらい) 人 自から老ゆ 夕陽長送釣船帰    夕陽(せきよう) 長く送る 釣船の帰るを 杜牧 ようようと ゆらめき流れる川面を 白い鴎が飛んでゆく 緑の水は清らかに 春深まって 衣服も染めてしまいそう 南へ北へ 行き来しながら 人は老いてゆく 赤い夕陽が 釣り船の帰りを ど

この絵はこの物語から生まれました ──物語の世界をアートに [第87回]

今回は、「みずうみ」シュトルム です。 ドイツの短編小説で、高校生のころ読みました。 たぶん、私にとって最初の外国文学だったと思います。 古風な淡い初恋物語で、老年になった主人公ラインハルトが、遠い昔、幼き頃を回想する場面から始まります。 村の子供たちが、皆で森へイチゴ摘みに行きますが、ラインハルトも少女エリーザベトと二人でイチゴをさがします。 自然描写が美しく描かれています。 その後成長したラインハルトは、勉学のため故郷をはなれますが、母からのたよりで、エリーザベトの結婚を

この絵はこの物語から生まれました ──物語の世界をアートに [第86回]

今回も前回[第84回]に引き続き、「緑の館」W.H.ハドソン からインスピレーションを受けたモチーフの作品です。 ただしどれも40年ほど前に制作したアクリル画です。 当初のモチーフ「神秘の森の娘」から、かなり変容したものもあります。 上の2点などは、当初のモチーフからは変化し、「娘と樹、葉、舟」といったテーマになっています。 40年後の今も、このモチーフ、テーマが私の動力源となっています。 私の、 神秘、夢幻、静寂、といったものへの志向は、一生変わらないようです。 見果て

[エッセイ] ラジコンヨット三つの楽しみ ──設計、製作、帆走

私はラジコンヨットを楽しんでいます。 ディズニーランドとどっちが好きといわれたら、近くの公園の池で、ヨットで遊ぶ方が好きですね。 このヨット、ハル(船体)全長23cmという超ミニサイズで自作です。 私は数年前から大きな手術を3回しましたが、その退院の合間に作りました。 ステージ4の大腸がんで、大腸1回、肝臓2回切除しました。 人は命の危機にさらされると、人生を考えます。 自分が一番好きなこと、一番楽しいと思うことはなんだろうと考えました。 それをやらなくちゃ生きてる意味がない

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第85回]

香炉峰下新卜山居    香炉峰下 新たに山居を卜(ぼく)し 草堂初成偶題東壁    草堂 初めて成り 偶(たま)たま東壁に題す 日高睡足猶慵起     日高く睡り足りて 猶(な)お起くるに慵(ものう)し 小閣重衾不怕寒     小閣に衾(しとね)を重ねて 寒きを怕(おそ)れず 遺愛寺鐘欹枕聴     遺愛寺の鐘は 枕を欹(そばだ)てて聴き 香炉峰雪撥簾看     香炉峰の雪は 簾(すだれ)を墢(かか)げて看(み)る 匡廬便是逃名地     匡廬(きょうろ) 便(すなわ)ち是

[エッセイ] 盆栽風の盆栽 ──盆栽まがいを楽しむ

盆栽風の盆栽まがいを三鉢育てている。 なぜ盆栽風というのかというと、 これは盆栽ですと名乗るのが、少々おこがましいからである。 幹は細いし、ほとんど手を加えていない。 盆栽作りには、一定のセオリーがあるが、私の盆栽はそうしていない。 盆栽の鉢を使っているだけなのである。 しかし私は十分満足しているし、楽しい。 盆栽と書は、美の評価点がよく似ている。 どちらも造形の感性とセンスが問われる。 素人が、白い半紙に筆で文字を書けば、一応これは書である。 ただしなんの感動もないし、魅