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贔屓といえば中村屋

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十八代目勘三郎亡き後、勘九郎、七之助の兄弟が力を合わせて家を隆盛に導いているのは感動的でさえあります。コクーン歌舞伎、平成中村座のような勘三郎の遺産も、この世代にふさわしくアップ… もっと読む
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記事一覧

【劇評336】悪所の蠱惑を逆手にとった「歌舞伎町大歌舞伎」。

 歌舞伎役者がホストに扮したアドトラックが街を走った。  勘九郎、七之助、虎之介、鶴松の…

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長谷部浩
2週間前
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【劇評329】勘九郎、長三郎の『連獅子』。名人、藤舎名生、裂帛の笛に支えられ、難曲…

 勘三郎のDNAが確実に、勘太郎、長三郎の世代にまで受け継がれている。そう確かに思わせたの…

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長谷部浩
3か月前
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【劇評328】鶴松の『野崎村』と勘九郎、七之助の『籠釣瓶』。一門の団結を見せ、よい…

 大間のやや下手側、追善興行のときは、思い出の写真が飾られる。今月の歌舞伎座は、十八世中…

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長谷部浩
3か月前
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【追悼】近くて遠い人。写真家、篠山紀信の想い出。

 神出鬼没の人だった。  篠山紀信と会った場所を思い出せばきりがない。青山のスタジオはも…

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長谷部浩
4か月前
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【劇評322】玲瓏たる玉三郎演出の『天守物語』は、本年の突出した収獲となった。

 透徹した美意識は、どこへ辿り着くのか。  泉鏡花作、坂東玉三郎演出の『天守物語』を観て…

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長谷部浩
5か月前
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鶴松がお光を勤める『野崎村』。勘三郎の思い出。

 猿若祭二月大歌舞伎。もう十三回忌となるのか。墓参りは欠かさないようにしているが、今も、…

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長谷部浩
6か月前
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【劇評312】歌六、勘九郎、児太郎の『金閣寺』。力作が揃う吉右衛門三回忌追善。

 祖父と孫の共演は、なぜ、ここまで観客の胸を打つのだろうか。  秀山祭九月大歌舞伎は、二世中村吉右衛門三回忌追善である。ロビーに飾られた写真と花を見るにつけても、吉右衛門の芸容の大きさ、独特の色気が急に思い出された。  吉右衛門の実兄、白鸚は、この追善興行に『二條城の清正』を、孫の染五郎とともに出した。依田川御座船の場である。巨大な船に、染五郎の豊臣秀頼と白鸚の加藤清正が向かい合う純然たる台詞劇である。  いうまでもなく、秀頼と清正は、主従である。師にあたる祖父が、孫に

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【劇評309】幸四郎、勘九郎の意気地。若手花形の成長を楽しむ『新門辰五郎』。

若手花形の充実が急がれる課題であるとすれば、真山青果の群像劇『新門辰五郎』を第二部の出し…

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長谷部浩
9か月前
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【劇評289】幸四郎、七之助の『十六夜清心』に、梅玉のいぶし銀の藝を観た。

懐かしい光景が甦ってきた。  河竹黙阿弥の『十六夜清心』を通しで観る喜び。三部制によって…

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長谷部浩
1年前
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【劇評286】觀玄改め、八代目新之助の『毛抜』は、荒事の本質に届いていた。

 堀越勸玄は、ひとかどの役者へと進み始めた。  十二月の歌舞伎座は、八代目市川新之助襲名…

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長谷部浩
1年前
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【劇評279】平成中村座。奇想天外で芝居のおもしろさがぎっしり詰まった宮藤官九郎の…

 面白い芝居を観客はよく知っている。  満員御礼となった平成中村座の第二部。宮藤官九郎作…

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長谷部浩
1年前
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【劇評278】熱狂の平成中村座。勘九郎、七之助が若手花形を引き立てる。進境著しい獅…

 歌舞伎に、沈黙は似合わない。  客席にある種の熱狂があってこその歌舞伎であって、コロナ…

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長谷部浩
1年前
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【劇評272】幸四郎、勘九郎、猿之助の役者が生きる第二部。

 八月納涼歌舞伎第二部は、幸四郎、勘九郎の役者で見せる『安政奇聞佃夜嵐』(古河新水作、巌…

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長谷部浩
1年前
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【劇評271】手塚治虫ワールド満載。十八代目勘三郎のDNAを受け継ぐ清新な『新選組』。

 新しい風が、舞台を吹き抜けた。  八月納涼歌舞伎第一部は、手塚治虫原作、日下部太郎脚本『新選組』は、創意と工夫に満ちている。  わずか一時間十五分の上演時間で、新選組の小史が要領よく語られる。そればかりか、混迷する現在に揺さぶられるふたりの青年の成長譚としても楽しめる。  歌之助の深草五十郎、中村福之助の鎌切大作の対照的な個性が、舞台を弾ませている。若い二人の意気込みがまっすぐに伝わってきて心地よい。  手塚作品の歌舞伎化は、なんと初めてだという。これまで、なぜ、試み

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