記事一覧
【劇評310】才気溢れるホームズ演出は、パンドラの匣から、チェーホフの登場人物を解き放つ。大胆でクレージーな『桜の園』をめぐって。
舞台には、巨大な石棺を思わせる物体が鎮座している。この物体が中空に釣り上げられる。 中にいたロパーヒンとドゥニャーシャは、まるで家具のように、ビニールがかけられているが、ある男によって、この覆いが剥がされ、物語は動き出す。 愚かしくも、愛すべきチェーホフの人間たちが、まるでパンドラの匣が開いたかにように、無国籍で時代もさだかではない空間に放たれる。 ショーン・ホームズ演出の『桜の園』(サイモン・スティーブンス英語版 広田敦郎訳)は、独創的なアイデアがふんだんに盛り込
有料
300