お酒を飲むと父は下手くそな冗談を言う、
私の父親は、酒癖がちょっとばかりよろしくない。
普段はとても寡黙な昭和の人間で、声を荒げたりすることはもちろん、感情を表に出すことも珍しいほどなのだが、ひとたびお酒が入ると、全くの別人になってしまう。
顔を真っ赤にしながら1日3本と決めた”氷結レモン”を片手に、下品な話題でガハハと笑う。
幼い頃は、この父の姿が得体のしれない化け物になってしまったようで、なんとなく怖く、夜になるのが憂鬱だった。
とある日は、
「お前はなぁ、お父さんの本当の子どもじゃないんよ。」と、
父、母