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「真面目で堅実」も大きな才能です。

またまた研究不正が発覚しました。以下はネットに掲載されていた記事の要約です。ネットには本名もしっかり載っていますが、ここでは個人攻撃が目的ではないので、敢えて本名は伏せています。

岡山大学は3月24日、同大の教授が関与した論文において不正行為があったと発表しました。113件に及ぶ数値の改ざんや画像の捏造ねつぞうが認められたそうです。その教授は「地震でデータを保存していたHDDが故障した」という子供じみた言い訳をして、不正調査に必要なデータの提出を拒否したそうです。しかし、そんな嘘が通用するはずもありません。コンピュータに残っていた画像のプロパティなどから捏造が分かったそうです。

”自分の評価を上げたい”や”出世したい”と思うこと自体は悪い事ではありません。ただし、それは正当な方法に限ります。不正をしたり、他人を陥れたりするのは大問題です。今年に入ってからも、何度も研究不正や論文撤回のニュースが世間を騒がせています。このことは大問題ですが、戦争・紛争・殺人などのニュースに隠れ、ネットのニュース以外で大々的に取り上げられることがありません。

日本は不名誉なことに、『論文不正大国』です。”論文不正”や”論文撤回”を検索していたら、面白い記事に遭遇しました。今回のように、研究不正した論文は”撤回”されるのですが、その撤回論文数の世界ランキングが掲載されていました。

以下は「撤回論文数」世界ランキングです。不正に関連した研究分野は今回と同じく生命科学が多く、それ以外の分野の場合だけ付け加えています。出典は以下のサイトです↓↓。
出典(The Retraction Watch Leaderboard – Retraction Watch at Retraction Watch、2023年4月22日保存版)

☠1 ヨシタカ・フジイ(Yoshitaka Fujii) (日本)(撤回論文数:183)
☠2 ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)(独) (175)
☠3 ヒロノブ・ウエシマ(Hironobu Ueshima)(日本)(123
☠4 ヨシヒロ・サトー(Yoshihiro Sato )(日本)(112)
☠5 アリ・ナザリ(Ali Nazari)(イラン・豪)材料工学(96)
☠6 ジュン・イワモト(Jun Iwamoto)(日本)(87)
☠7 ディーデリック・スターペル(Diederik Stapel)(オランダ)社会心理学(58)
☠8 ユウジ・サイトー(Yuhji Saitoh)(日本) (56)
☠9 エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)(米)電子工学(48)
☠10 ピーター・チェン(Peter Chen)(台湾) 工学(43)

何とワースト10の中に5人もランキングされています。しかも全員、研究分野が生命科学です。これは偶然とは言えません。何らかの対策を施さないと、日本の生命科学の研究結果は信用されなくなってしまいます。

文部科学省では、『研究に関する不正の告発受付窓口』というのを設けています。本来ならとてもザンネンなことですが、あまりに不正が多いので必要に迫られたのかもしれません。

IPS細胞みたいな華々しい成果は、そうそうあるものではありません。我々は目立った成果を求めガチですが、研究の多くは”真面目で堅実”な人達による地道な研究に基づいています。IPS細胞関連の研究も例外ではありません。”真面目で堅実”は時として軽視されがちですが、本当に大事なのはこちらです。不正な研究成果は、何の役にも立ちません。

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