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人間学の学び(『致知』および「木鶏クラブ」等)

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雑誌『致知』の読後感、木鶏(読書会)クラブ、関連書籍についてまとめています。
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人事と人間学ー『致知』からの学びがもたらす効果

 人間学を学ぶ雑誌『致知』。本当に素晴らしい雑誌です。また、読書会である「木鶏クラブ」にも参加し、学びを深めることができます。私も地元の木鶏クラブに参加し、多くの学びを得ています。  人間学は学校で教えてくれません。したがって、社会人になってから学ぶ方も多いです。人間学の学びがもたらす効果について、人事の立場から再度考察してみました。 自己啓発と内省の促進 職場でのリーダーシップ  自己啓発を通じて得られる自己理解は、リーダーとしての資質を高めることになるでしょう。リーダ

【書籍】鎌田善政と鍵山秀三郎ー凡事徹底を通じた経営理念の共鳴

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp178「5月25日:「凡事徹底」の祈り(鎌田善政 鎌田建設社長)」を取り上げたいと思います。  2002年9月、鹿児島県霧島市にある鎌田建設社の敷地内に「凡事徹底」と刻まれた石碑が設置されました。この石碑は、同社社長である鎌田善政氏が、経営者としての指針とするため、尊敬するイエローハット創業者・鍵山秀三郎氏に依頼して制作されたものです。鍵山氏はこの依頼を快諾し、書かれた文字は故人となった兄

【書籍】挑戦を贈り物に変える人生哲学ー青山俊董氏の教え」

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp175「5月22日:病気も「ようこそ」と考える(青山俊董 愛知専門尼僧堂堂頭)」を取り上げたいと思います。  青山氏の体験は、生命と健康に対する深い洞察と仏教的な受容の精神を反映しています。30代後半で初めて重い病気に直面し、がんに移行する可能性がある状態に至った際、青山氏はこの挑戦を、ただの困難ではなく、仏様からの贈り物として受け入れることで心の転換を遂げました。この心境の変化は、日常生

【書籍】信頼と委任の経営術ー大塚正士に学ぶリーダーシップ

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp172「5月19日:講談本から開眼したこと(大塚正士 大塚製薬相談役)」を取り上げたいと思います。  大塚氏は、自らの経験と講談本から学んだ教訓を共有しています。この話の核心は、歴史的な人物である宮本武蔵と豊臣秀吉の仮想的な対決を引き合いに出し、単純な力の対決ではなく、多くの人々をまとめ上げ、彼らの力を結集させることの重要性です。武蔵が剣の達人である一方で、秀吉は広範な人々の力を結集させる

【書籍】水泳による集中力の養成と人事管理への応用ー古橋メソッドに学ぶ

『一生学べる仕事力大全』(致知出版社、2023年)のp468「ひとつの目標を達成した喜びが自信と集中力を生む(古橋廣之進)」を取り上げたいと思います。  水泳を通して集中力を高めることの重要性と方法について語っています。私も長年にわたり、水泳をやっていますので、非常に身近な話に感じます。話の中心は、古橋氏の経験と見解をもとにしています。彼は、集中力を高めるためには、まず広い視野を持って目標をしっかりと定めることが重要だと説いています。その上で、目標に向かって一歩一歩努力を重

【書籍】理想を失うことの危険性ー企業文化と人事戦略への影響ー中條高德氏

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp166「5月13日:民族滅亡の三原則(中條高德 アサヒビール名誉顧問)」を取り上げたいと思います。  ここでは、民族の存続と独立の重要性について強調しています。特に、ローマ帝国時代のカルタゴ、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の歴史を例に挙げ、これらの地域が直面した困難と抑圧、そしてそれに対する抵抗の形を通じて、民族のアイデンティティ、自由、独立の価値を説いています。中條氏は、

【書籍】詩と歌に託された生き方の教訓:沢知恵氏と塔和子氏の創作の旅

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp163「5月10日:言葉を生み出すことは苦しいことなのよ (沢知恵 歌手)」を取り上げたいと思います。  沢氏は、大島青松園(ハンセン病療養所)で過ごした塔和子という詩人との交流について綴っています。沢氏は塔氏との出会いを通して、詩や芸術について深く学び、創作の苦しみや喜びを共有しました。2001年には、療養所で初めてのコンサートを開き、外部の人々にその場所を知ってもらう機会を作りました。

【書籍】会社は人間修業の道場ー染谷和巳氏の視点から

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp160「5月7日:会社は人間修業の道場(染谷和巳 アイウィル主宰)」を取り上げたいと思います。  染谷和巳氏といえば、「鬼上司」シリーズの書籍が有名、『上司が鬼にならねば部下は動かず』(プレジデント社)は特に有名と思います。  染谷和巳氏が「会社は人間修業の道場」という観点から、仕事を通じて成長する重要性について語っています。彼は、会社での苦労や挑戦を修業と捉え、それを乗り越えることで個

偶然の成功はあるが、偶然の失敗はない:教訓と学び

 『致知』2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)の中で、「おにぎりは心と心を繋ぐものー右近由美子さん(おにぎり専門店 「ぼんご」 店主) p100」という記事(私のnote記事にリンク)があります。  ここで、右近さんは「偶然の成功はあるが、偶然の失敗はない」ということを述べています。この言葉には、成功と失敗の本質に関する洞察が込められています。成功は運に恵まれることもありますが、失敗には必ず原因があり、その原因を探り改善することで次の成功に繋げることができると示

【書籍】『致知』2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)読後感

 致知2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)における自身の読後感を紹介します。なお、すべてを網羅するものでなく、今後の読み返し状況によって、追記・変更する可能性があります。 「希望は失望に終わらず」とは?  今月号のテーマである、「希望は失望に終わらず」という言葉は、様々な解釈が可能です。いくつか例を挙げたいと思います。 1. 希望は、どんな困難にも打ち勝ち、必ず実現する  キリスト教徒の聖パウロの手紙に由来すると言われています。パウロは、どんな苦難の中でも神

【書籍】流れる星の奇跡ー藤原咲子氏の物語

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp157「5月4日:咲子はまだ生きていた(藤原咲子 高校教師・エッセイスト)」を取り上げたいと思います。  藤原咲子氏の物語は、苦難と誤解を乗り越えた母娘の関係を描いています。咲子は、病との戦いを乗り越えて作家となった母の厳しい育て方に苦しみながらも、自分が母に愛されていないと感じていました。特に、母が書いた『流れる星は生きている』の中で自分について触れられている部分を読んだ時、咲子は母から

【書籍】才能を最大限に引き出す新時代のトレーニング法ー林成之さん

『一生学べる仕事力大全』(致知出版社、2023年)のp158「人生の勝負とは自分の才能を発揮することー林成之さん」を取り上げたいと思います。  従来のスポーツ界では、国内選考レースを目指して厳しい練習を積み、オリンピック本番に向けては一度ペースを落とし、体調を整える方法が一般的でした。しかし、この方法では脳が「ペースを落とす」という否定的な信号を受け取り、自己保存の本能を優先させるため、最高のパフォーマンスを発揮することが難しくなります。  新しいアプローチでは、ドーパミ

【書籍】自律と主体性ー陳建一氏の料理哲学から学ぶ

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp149「4月28日:マニュアルの先にあるものを読む(陳建一 四川飯店オーナーシェフ)」を取り上げたいと思います。  陳シェフの管理スタイルは、指示を待つのではなく、自発的に行動を起こせるスタッフが成長するという信念に基づいています。彼は料理を提供することを最終目的とし、それに向けてスタッフが自主的に動ける能力を非常に重視しています。自分から何をすべきかを理解し、迅速に対応できるスタッフは、

【書籍】夢を形にする言葉の力ー国分秀男氏の指導哲学

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp146「4月25日:言葉は意識を変え、意識は行動を変える (国分秀男 東北福祉大学特任教授・元古川商業高等学校女子バレーボール部監督)」を取り上げたいと思います。  国分秀男氏は、京浜女子商業での勤務を経て、古川商業高等学校女子バレーボール部の監督として転職しました。そのキャリアで学んだ重要な教訓を話しています。最初に、彼は一流の監督たちから学び、特に宮本武蔵の読書を通じて、全てを投げうっ