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富岡駅と

富岡駅からホテルへ

その1 2024年4月6日 土曜日

2017年4月、富岡町では夜ノ森駅の東側に広がる帰還困難区域以外の土地で避難指示が解除された。JR常磐線の運行区間は富岡駅まで延長され、不通区間を走る代行バスの起点も竜田駅から富岡駅へと変更された。自分もこのバスで、何度か浪江・原ノ町駅方面へと足を運んだ。当初のバスには女性のスタッフも同乗しており、「ここから帰還困難区域に入ります」というアナウンスに緊張が走った。

駅前のロータリーを出たタクシーは、代行バスと同じルートを走行した。右手に復興住宅、左手にショッピングモール、その先の東京電力廃炉資料館を右折すると国道6号に入る。タクシーは次の信号で右折して国道を抜け、なだらかな丘陵を道なりに進む。ぽつりと聳え立つように目的のホテルがあった。

フロントに荷物を預け、周辺を歩いてみる。今回再び浜通りに来たのは、2月16日付の新聞で富岡町の帰還困難区域の一部が「特定帰還居住区域」に認定されたとの記事を読んだからだ。

今からちょうど1年前の4月1日、「特定復興再生拠点区域」であった夜ノ森地区の避難指示が解除された。「特定帰還居住区域」は、これらにの拠点に付随した帰還困難区域で住民の意向のもとに除染やインフラ整備を行い、小規模の規制を解除を積み重ねていく仕組みである。宿泊するホテルのある小浜地区の北側に広がる帰還困難区域の小良ケ浜地区の南半分ほどがそれにあたる。

ホテルから少し歩いただけで、バリケードで閉ざされた道路がある。もっとも南側のエリアは2017年に避難指示は解除された小浜地区なので、このあたりの地権者なのだろうか、広い敷地に立派な家が並ぶ。つきあたりは県道391号線「浜街道」広野小高線となる。左折すると程なく「特定帰還居住区域」に入り、打ち捨てられた民家と咲き始めた桜の花とが不穏なコントラストを見せる。500メートルも行かないうちに有人のゲートがあり、両手広げた監視員が威嚇するかのように行手を阻み、ここから先は車両以外の通行は認められていないことを告げられる。

折り返してホテルまで戻り、別のルートを試みることにする。続く

付近にある集合住宅


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