小説『引越物語』㉓ボクがどんなに言われても
ボクたけし
ずっとこの家を守ってる
もふもふ犬さ
菜摘さん
また帰ってこないんだ
心配してるよ
あんなに一緒にいたのにさ
どこ行ったのかな
凪さん雨ばかりなんだ
顔からたくさん雨だよ
とても苦しそうだ
正雄ちゃんは
小さいときも大きいときも
忙しいよ
とても忙しいよ
赤ちゃんだったときだけだね
のんびり寝て
食べてたのは
歌だってほんとはうまいのに
大きい正雄ちゃんは歌ってくれないんだ
ボク少しさみしいよ
ボクがどんなに言われたって
大丈夫さ
守ってあげるよこれからも