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『こども基本法』をわかりやすく解説。どんな法律?なぜ必要なの?(後編)

前編ではこども基本法がなぜ必要なのか?について解説しました。

後編では『こども基本法』の具体的な内容や、こども基本法が成立することで、どのような変化があるのか?について解説していきます。

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。


こども基本法の内容

こども基本法の内容について解説していきます。こども基本法は二十条で形成されています。大まかな流れはこのようになっています。

こども基本法
第一条 目的
第二条 定義第
第三条 基本理念
第四~七条 責務等
第八条 年次報告
第九条 こども大綱
第十条 都道府県こども計画、市町村こども計画
第十一条 こどもの意見反映
第十二条 総合的かつ一体的な提供のための体制整備
第十三~十四条 関係者相互の有機的な連携の確保等
第十五条 この法律及び児童の権利に関する条約の趣旨及び内容についての周知
第十六条 こども施策の充実及び財政上の措置等
第十七~二十条 こども政策推進会議

ポイントを解説します。こども基本法マラソン、スタートです✨

第一条 目的

(目的)

第一条 この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、社会全体としてこども施策に取り組むことができるよう、こども施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及びこども施策の基本となる事項を定めるとともに、こども政策推進会議を設置すること等により、こども施策を総合的に推進することを目的とする。

こども基本法

文章だと、少し読みづらさがあるかもしれません。要約すると「全てのこどもが権利を守られながら、幸福な生活が送れるよう、基本的な考え方や国がやるべきことを明確にし、こども施策を推進していきますよ」ということです。

改めて「こどもの権利条約にのっとること」や「こどもの権利擁護をはかること」が法律として明記されています。私たち大人は、法的にも「こどもの権利」に、ちゃんと向き合わなければいけないわけですね。


第二条「こども」の定義

第二条では「こども」や「こども施策」についての定義がされています。

(定義)
第二条 この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。

2 この法律において「こども施策」とは、次に掲げる施策その他のこどもに関する施策及びこれと一体的に講ずべき施策をいう。
一 新生児期、乳幼児期、学童期及び思春期の各段階を経て、おとなになるまでの心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるこどもの健やかな成長に対する支援
二 子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に資するため、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援
三 家庭における養育環境その他のこどもの養育環境の整備

こども基本法上のこどもは「18歳以上」ではありません。「心身の発達の過程にある者」と定義されています。

「こどもに関する施策」と「一体的に講ずべき施策」とは?
こども基本法におけるこども施策は大まかに2つの施策に分けられることになります。それが「こどもに関する施策」と「一体的に講ずべき施策」です。「こどもに関する施策」については以下の3項目が当てはまります。

こどもに関する施策
①新生児期、乳幼児期、学童期及び思春期の各段階を経て、おとなになるまでの心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるこどもの健やかな成長に対する支援

②子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に資するため、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援

③家庭における養育環境その他のこどもの養育環境の整備

こどもが生まれ、育ち、親になり…生涯を健やかに過ごせるような支援のことを指します。「一体に講ずべき施策」とは以下のようなものが当てはまります。

一体的に講ずべき施策
・主たる目的はこどもの健やかな成長に対する支援等ではないが、こどもや子育て家庭に関係する施策。(例:国民全体の教育の振興、仕事と子育ての両立等の雇用環境の整備、小児医療を含む医療の確保・提供など)

・ 「こどもに関する施策」と連続性を持って行われるべき若者に係る施策。(例:若者の社会参画支援、就労支援、社会生活を営む上で困難を抱える若者支援など)

「一体的に講ずべき施策」とはダイレクトにこどもに関わるものではありませんが、教育・医療・雇用など間接的に関わる施策です。


こどもが健やかに育つには環境を整えることが大切ですからね。


第三条 基本理念

(基本理念)

第三条 こども施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一 全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。

二 全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。

三 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。

四 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。

五 こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、こどもが心身ともに健やかに育成されるようにすること。

六 家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。

基本の理念についてです。このままだと少し読みにくいので、ポイントを整理します。

こども基本法理念ポイント6つ

① 個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。

②適切な養育、生活の保障、愛されながら保護されること、福祉に係る権利、教育を受ける権利が与えられること。

③発達の程度に応じて、全ての事項に関して意見表明する機会や社会活動に参画する機会が保障されること。

④ 年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。

⑤こどもの養育は家庭での養育が基本として行われ、家庭での養育の困難なこどもにもできる限り家庭と同様の養育環境を用意すること。

⑥ 家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。

①~④に関してはこどもの権利条約の基本原則が盛り込まれている所がポイントです。

このポイント6つが守られるような社会にしていきたいですね✨


第四~七条責務等

(国の責務)

第四条 国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、こども施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)

第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、こども施策に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内におけるこどもの状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業主の努力)

第六条 事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者の職業生活及び家庭生活の充実が図られるよう、必要な雇用環境の整備に努めるものとする。

(国民の努力)

第七条 国民は、基本理念にのっとり、こども施策について関心と理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が実施するこども施策に協力するよう努めるものとする。

第四~七条は責務等が記載されています。

国から、地方公共団体、事業主、個人…と要するに「全ての人がこの法律を守らなければいけません」という事が記載されています。


第八条年次報告

第八条 政府は、毎年、国会に、我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施の状況に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならない。

2 前項の報告は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。

一 少子化社会対策基本法(平成十五年法律第百三十三号)第九条第一項に規定する少子化の状況及び少子化に対処するために講じた施策の概況

二 子ども・若者育成支援推進法(平成二十一年法律第七十一号)第六条第一項に規定する我が国における子ども・若者の状況及び政府が講じた子ども・若者育成支援施策の実施の状況

三 子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十四号)第七条第一項に規定する子どもの貧困の状況及び子どもの貧困対策の実施の状況

第八条には国に年次報告の義務が課せられていることが記載されています。

少子化対策、こどもの貧困対策など…このように法律で報告を義務化することで取り組みを積極的におこなっていかなければならない根拠となります。

基本法が成立することの重要さはこのようなところにありますね。

第九条こども大綱

(こども施策に関する大綱)
第九条 政府は、こども施策を総合的に推進するため、こども施策に関する大綱(以下「こども大綱」という。)を定めなければならない。

2 こども大綱は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 こども施策に関する基本的な方針
二 こども施策に関する重要事項
三 前二号に掲げるもののほか、こども施策を推進するために必要な事項

3 こども大綱は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。
一 少子化社会対策基本法第七条第一項に規定する総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策
二 子ども・若者育成支援推進法第八条第二項各号に掲げる事項
三 子どもの貧困対策の推進に関する法律第八条第二項各号に掲げる事項

4 こども大綱に定めるこども施策については、原則として、当該こども施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。

5 内閣総理大臣は、こども大綱の案につき閣議の決定を求めなければならない。

6・7 (略)

第九条はこども大綱について触れられています。

こども大綱とは?
こども施策を総合的に推進するために、こども施策に関する基本 的な方針、重要事項を定めるものです。

こども基本法案より

日本ではこれまでに、こどもにまつわる施策として、以下の大綱を作成してきました。

  • 少子化社会対策大綱

  • 子ども・若者育成支援推進大綱

  • 子供の貧困対策に関する大綱

こども関連の諸問題をそれぞれバラバラに施策をしてきました。しかし、これらの問題は社会の構造と複雑に絡んでおり、単体の問題を解決するのは困難です。こどもにまつわる問題をちゃんと整理し、1つにまとめたものが「こども大綱」となります。

こども大綱は令和5年12月22日に公表されています。国として、子ども政策の方向性を示した重要な指針ですね。

こども大綱(こども家庭庁PDF)


第十条都道府県こども計画、市町村こども計画

(都道府県こども計画等)

第十条 都道府県は、こども大綱を勘案して、当該都道府県におけるこども施策についての計画(以下この条において「都道府県こども計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

2 市町村は、こども大綱(都道府県こども計画が定められているときは、こども大綱及び都道府県こども計画)を勘案して、当該市町村におけるこども施策についての計画(以下この条において「市町村こども計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

3 都道府県又は市町村は、都道府県こども計画又は市町村こども計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 都道府県こども計画は、子ども・若者育成支援推進法第九条第一項に規定する都道府県子ども・若者計画、子どもの貧困対策の推進に関する法律第九条第一項に規定する都道府県計画その他法令の規定により都道府県が作成する計画であってこども施策に関する事項を定めるものと一体のものとして作成することができる。

5 市町村こども計画は、子ども・若者育成支援推進法第九条第二項に規定する市町村子ども・若者計画、子どもの貧困対策の推進に関する法律第九条第二項に規定する市町村計画その他法令の規定により市町村が作成する計画であってこども施策に関する事項を定めるものと一体のものとして作成することができる。

第十条は、こども大綱に沿って都道府県や市区町村はこども施策について計画するように、という旨の文章が記載されています。ここでの注意点はあくまで「努めるものとする」ということなので、努力義務ということです。

ここで折り返し地点です!残りも頑張っていきましょう✨


第十一条こどもの意見反映

(こども施策に対するこども等の意見の反映)
第十一条 国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこども又はこどもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

第十一条ではこどもの意見反映について記載がありました。ここで言う「国」は行政だけではなく、司法や立法も含まれているそうです。こどもに関わる施策を取り扱う際は「こどもの視点」を考慮されるようになります。このことは「こどもの権利条約」第十二条にも記載されています。

こどもの権利条約第十二条

締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

ここでのポイントは2つです。

  • こどもの意見をどうやって聴く?

  • こどもの意見をなんでも反映させる?

そもそも子どもの意見をどうやって聴いていけばよいのでしょうか?現在では以下のような例が挙げられています。

こどもの意見の聞き方(例)
・ こどもや若者を対象としたパブリックコメントの実施。
・ 審議会・懇談会等の委員等へのこどもや若者の参画の促進。
・ こどもや若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取などこどもや若者から直接意見を聴く仕組みや場づくり。

「こどもの意見」って…どうやって聴く?


具体的にどのような措置の場合意見を聞くのか?頻度は?どの程度反映するのか?など意見を聴いたうえで施策へ反映するかどうかは、その施策によっても異なります。

また、こどもは発達の途上であることから、意見をいうことが難しい場合もあります。ファシリテーターやサポーターのような役割の人がうまく場づくりをしながら、意見を聴いていく必要があります。

こどもの意見はなんでも反映させるべき?

こどもの意見を政策に取り入れることに疑問を持つ人もいるかもしれません。先ほども記載した、「こどもの権利条約」に関して意見表明についてはこのように記載されています。

第12条 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。 この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

権利というものは「自己決定能力」と「自己責任」がワンセットになっています。「自己決定」をする代わりに「自己責任」が伴うのです。しかし、こどもには責任を果たす能力はありません。「自律した大人」への発展途上だからです。

だからこそ、こどもには「発展途上という特性」を考慮した権利が必要になります。そこで、「意見を表明する自由」はあれども大人は「年齢及び成熟度に従って相応に考慮」しなければいけない、というわけです。こどもの意見を全て取り入れる、というわけではなく、意見を聴き、そのことは「こども基本法案」にも明記されています。

「こども施策を決定する主体(各省各庁の長、地方公共団体の長等)が、当該施策の目的等を踏まえ、こどもの年齢や発達の段階、実現可能性などもしっかり考慮しつつ、こどもの最善の利益を実現する観点から、施策への反映について判断することとなります。」

こどもの意見を積極的に聴いていきたいですね✨


第十二条総合的かつ一体的な提供のための体制整備

(こども施策に係る支援の総合的かつ一体的な提供のための体制の整備等)

第十二条 国は、こども施策に係る支援が、支援を必要とする事由、支援を行う関係機関、支援の対象となる者の年齢又は居住する地域等にかかわらず、切れ目なく行われるようにするため、当該支援を総合的かつ一体的に行う体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

第十二条では「こどもの施策は総合的かつ、一体的におこなうようにしてください」という旨が記載されています。なぜ、わざわざこのような事が記載されているのでしょうか?

それは子ども政策には「3つの壁」というものがあるから、とされています。

こども政策3つの壁
・年齢の壁
・こどもが必要とする施策ごとの制度の壁
・施策を講ずる関係省庁の縦割りの壁

この壁を取っ払い、総合的にすすめるよう、法律で明記することは大切なことだと思います。


第十三条、第十四条関係者相互の有機的な連携の確保等

(関係者相互の有機的な連携の確保等)

第十三条 国は、こども施策が適正かつ円滑に行われるよう、医療、保健、福祉、教育、療育等に関する業務を行う関係機関相互の有機的な連携の確保に努めなければならない。

2 都道府県及び市町村は、こども施策が適正かつ円滑に行われるよう、前項に規定する業務を行う関係機関及び地域においてこどもに関する支援を行う民間団体相互の有機的な連携の確保に努めなければならない。

3 都道府県又は市町村は、前項の有機的な連携の確保に資するため、こども施策に係る事務の実施に係る協議及び連絡調整を行うための協議会を組織することができる。

4 前項の協議会は、第二項の関係機関及び民間団体その他の都道府県又は市町村が必要と認める者をもって構成する。

第十四条 国は、前条第一項の有機的な連携の確保に資するため、個人情報の適正な取扱いを確保しつつ、同項の関係機関が行うこどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 都道府県及び市町村は、前条第二項の有機的な連携の確保に資するため、個人情報の適正な取扱いを確保しつつ、同項の関係機関及び民間団体が行うこどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十三条・第十四条ではこども施策の円滑な実施をするために、各関係機関が連携を取ってくださいねという旨が書かれています。こどもの問題を解決しようとした際に、医療機関や教育機関だけで解決しようとしても、無理が生じる可能性があります。

こどもの目線に寄り添った、子育て支援団体や民間団体など巻き込んで問題解決を図ったほうが良いケースもあります。そのため、各関係機関が連携を取り合うよう、法律で定めることが大切なのです。

協議会の設置などが想定されているようです。

協議会の具体例
・地方青少年問題協議会法に基づき、重要事項の調査審議や関係行政機関相互の連絡調整を図る、都道府県青少年問題協議会・市町村青少年問題協議会。
・子ども・子育て支援法に基づき、施策の総合的かつ計画的な推進に関し必要な事項等の調査審議等を行う合議制の機関(地方版子ども・子育て会議)。
・子ども・若者育成支援推進法に基づき、関係機関等が行う支援を適切に組み合わせることによりその効果的かつ円滑な実施を図るため、関係機関等により構成される子ども・若者支援地域協議会。
・児童福祉法に基づき、要保護児童の適切な保護又は要支援児童若しくは特定妊婦への適切な支援を図るため、関係機関、関係団体及び児童の福祉に関連する職務に従事する者その他の関係者により構成される要保護児童対策地域協議会。

これらは根拠の違う法律のもとに協議会が設置されています。非常にややこしいですね。これらを総合的に統括する法律としても、こども基本法は有効だと思います。


第十五条この法律及び児童の権利に関する条約の趣旨及び内容についての周知

第十五条 国は、この法律及び児童の権利に関する条約の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものとする。

第十五条はこども基本法や権利条約を周知する内容が記載されています。2019年に日本財団がおこなった3万人規模のアンケートでこどもの権利条約を聴いたことがない大人は約4割にものぼりました。


日本財団-こども基本法Webサイトより

「内容までよく知っている」2.2%と「内容について少し知っている」が14.2%です。内容について知っている大人は合わせてもたったの16.4%です。今後、もっとこどもの権利やこども基本法について広く知られることを願っています。

あと少しでゴールです!ファイト~!


第十六条こども施策の充実及び財政上の措置等

第十六条 政府は、こども大綱の定めるところにより、こども施策の幅広い展開その他のこども施策の一層の充実を図るとともに、その実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

第十六条は財政についてです。第十六条でしっかりとこども施策の充実と、その実施に必要な予算をつけるよう努力する義務があります。こども家庭庁の予算は年々増額しており、政府としても子育て支援はかなり力をいれようとしています。

前編でも記載しましたが、日本はこれまで、こどもへの支援にあまり力をいれてこなかった国です。これから、予算をつけ、子育て環境を改善しようとしていますが……今後の動向を注視していきたいですね。


第十七条~第二十条こども政策推進会議

(設置及び所掌事務等)
第十七条 こども家庭庁に、特別の機関として、こども政策推進会議(以下「会議」という。)を置く。

2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 こども大綱の案を作成すること。
二 前号に掲げるもののほか、こども施策に関する重要事項について審議し、及びこども施策の実施を推進すること。
三 こども施策について必要な関係行政機関相互の調整をすること。
四 前三号に掲げるもののほか、他の法令の規定により会議に属させられた事務

3 会議は、前項の規定によりこども大綱の案を作成するに当たり、こども及びこどもを養育する者、学識経験者、地域においてこどもに関する支援を行う民間団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(組織等)
第十八条 会議は、会長及び委員をもって組織する。
2 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。
3 委員は、次に掲げる者をもって充てる。

一 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣であって、同項の規定により命を受けて同法第十一条の三に規定する事務を掌理するもの

二 会長及び前号に掲げる者以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者

第十九条・第二十条 (略)

こども政策推進会議とは?
こども家庭庁に設置された、内閣総理大臣を長とした閣僚会議です。
こども大綱の案を作成し、こども施策の実施を推進する政府全体の司令塔の役割を果たします。

こども政策推進会議の中で「こども及びこどもを養育する者、学識経験者、地域においてこどもに関する支援を行う民間団体その他の関係者の意見を反映させる」としっかり明記されています。

今後、こども大綱が推進され、子育てしやすい政策がどんどん行われていくと良いですね!

これで「こども基本法マラソン」ゴールです!おめでとうございます!よく頑張りました✨


お疲れ様でした!
ここまで、こども基本法の内容を確認しながら、解説してきました。

こども基本法について、国の考えている子育てについて、少し理解が深まったのではないかと思います。子ども達が健やかに育つために、大人がこども基本法を学び、守っていく姿勢が大切だと思います。今回の記事がその一助になれば、とても嬉しいです。


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