マガジンのカバー画像

つれづれ

54
家族や恋や思い出などをつれづれに……。
運営しているクリエイター

記事一覧

サガンはここに。(2023年12月9日記)

サガンはここに。(2023年12月9日記)

祇園北、白川筋からちょっと路地を入ったところに、「サガン」というクラブがある。

昨年9月にいまのマンションに越し、ある夜、四条河原町方面から帰宅する途中に光る電飾看板を見つけた。ママがフランソワーズ・サガンを好きなのかな。いや、白川のそばだから、「左岸」という意味かも。でももし、サガンを好きなママなら、文学や本を愛する客がたくさん集う店かもしれない。夢想は止まらなかった。

そうしてまだサンダル

もっとみる
割烹でアルバイトを始めるの巻①。(6月27日記)

割烹でアルバイトを始めるの巻①。(6月27日記)

近所の割烹でアルバイトを始めた。

昼の部は11時〜16時半で、仕事は掃除と簡単な調理補助。初日は

ミニトマトの皮むき
蟹の下拵え(食べられない部分を除去し、味噌を集め、殻を歯ブラシで洗う)
蓮根の皮むき
大根おろし(鬼下ろしと普通のやつ、50㎝一本分)
茹でてミキサーにかけたグリンピースの裏漉し、葛を加えて鍋で焦げつかないようにかき回す(30分)
かき揚げの材料(とうもろこし、生姜、枝豆)のg

もっとみる
他者の存在を意識する。

他者の存在を意識する。

12月8日にソファーが届くのだが、そのスペースにはいま2つのダンボール箱があり、メルカリで販売中の品が入っている。シェアハウスのときはストップしていたので、1カ月前に再スタートし、21品売れて、8,960円の稼ぎになった。

それでずっと欲しかった「staub ピコココット 22cm カンパーニュ(新品・未使用)」を買った。って、10,890円もマイナスなんですが(笑)。

引っ越し貧乏なので外食

もっとみる
ダンボール1箱分の父娘。

ダンボール1箱分の父娘。

8月19日(金)、父の四十九日の続きのお話(遺品整理編)。

父の後見人の市原さんがホテルまで迎えにきてくれた。15時半に出発し、内灘の近くで家財整理事業をしている「T・Sコーポレーション」の本社に向かう。

遺品は、冷房の効いた事務所内に置かれていた。大きめのダンボール箱が15個くらいと、最後まで病院のベッドのそばに置いていたという10段ほどの書類棚、そして腰までの高さのある仏壇だ。

行くまで

もっとみる
歌う住職。

歌う住職。

7月19日は父の四十九日で、金沢に行った。

12時半にホテルに着き、ダメもとで「喪服に着替えないといけないのですが、もし、お掃除終わっている部屋があったら……」と言うと、すぐに部屋を用意してくれた。とてもありがたかった。

ひとり、バスで西明寺に向かう。14時着。父の通夜と告別式を担当してくれたご住職は、お経の名手。火葬場に行く最中、私を助手席に乗せた葬儀社の会長が、「あのお坊さん、お経うまかっ

もっとみる
浅く契りて、末まで遂げよ。(2005年8月20日記)

浅く契りて、末まで遂げよ。(2005年8月20日記)

一昨年の12月、NHKで放映された『小津映画・秘められた恋』というドキュメンタリーを見た。

佐野史郎が案内役で、今村昌平のインタビューや、小津監督と田中絹代、原節子、小田原の芸者という3人の女性とのそれぞれの関係がひそやかに描かれ、彼のお墓を訪ねて住職に話を聞くシーンなどもあった。

住職は佐野の話によって、数年前に監督の墓を訪ねてきた老女が、その「小田原の芸者」であったことを知った。とても

もっとみる
本物になるまでは。(2011年7月6日記)

本物になるまでは。(2011年7月6日記)

(2011年)6月26日(日)、青山ブックセンターで行われた『写真家 川内倫子 × 映画監督 是枝裕和「あらためて、ちょっといい話」』に行ってきた。

これは川内倫子さんの最新作『Illuminance』の発売を記念して、映画『誰も知らない』でのスチール担当をきっかけに交流のある是枝裕和監督をゲストに迎えたトークイベントだった。

川内倫子さんとは仕事をご一緒したことがない。 雑誌『SWITC

もっとみる
「あなたは家族と紅葉を見に行きましたか?」

「あなたは家族と紅葉を見に行きましたか?」

久しぶりに国際ロマンス詐欺に(それとわかって)引っ掛かってみました。以前よりさらに巧妙になっているので、注意喚起としてここに記します。

     ***

クリスマスの夜にインスタにDMのメッセージが2つ届いていた。1つは欧米人で「Hi」の一言だったので、メッセージごと削除。もう、1つはシンガポールの男性で、私の5月の風景写真に対して「とても素敵な風景ですね。故郷ですか?」というメッセージを日本

もっとみる
サポート。

サポート。

先日の深夜、noteから「メッセージのおしらせ」と「サポートのおしらせ」という、見慣れぬメールが届いた。送り主はミワコさん。

開いてみると、3,000円がサポートされている。私のブログはすべて無料公開なのになんだろう?と思い、送られたメッセージを読むと、誰だかわかって号泣してしまった。それは、父の2番目の妻からだったのだ。

ミワコさんは私の書いた「父の日。」というブログを読んでいた。アカウント

もっとみる
森茉莉じゃなくても平気。(2018年8月9日記)

森茉莉じゃなくても平気。(2018年8月9日記)

構成に携わっている対談集で、「自己肯定感」と「自己効力感」についての対話がある。前者はよく耳にするが、後者についてはよく知らなかったので調べると、

──能力や性格、容姿、財産などを根拠にせずとも、自分を肯定的に捉えられるのが自己肯定感。目標を達成する能力が自分にあると認知するのが自己効力感。──

ということらしい。(ちょー簡単に言えば。)

私は親しい友達何人かに「自己肯定感がものすごく強い」

もっとみる
生涯21本目の煙草(2009年6月12日記)

生涯21本目の煙草(2009年6月12日記)

ポール・オースターという作家が好きだ。

最初に読んだのは「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」だった。 内容は、

──と、こんな感じ。

スイッチ編集部のアルバイトを始めてすぐ、仕事の暇を見つけては過去の『SWITCH』のバックナンバーを読んでいたのだが、別冊『LITERARY Switch』の3号に掲載されていた。本当にすごく短い、なんでもない話だけれど、心にじんと残る物語だった(ちな

もっとみる

アレワナンデスカ?(2005年12月5日記)

「恋に落ちる」という言葉について、友人が「これはきっと“fall in love”の訳語として開発された比較的新しい日本語表現なのでしょう」と書いていたので、少し調べてみた。

さすがにいつごろに翻訳されたものかはわからなかったけれど、フランス語→英語→日本語という順番で翻訳されたらしい。

しかも、ある方のコメントによれば、「fall in loveを“恋に落ちる”と訳したのは誤訳の名訳ではな

もっとみる
最上級の男。(2018年2月9日記)

最上級の男。(2018年2月9日記)

両親は私が小学3年生のときに別居した。

母は泣く泣く弟だけを連れて東京に行き、私と妹は父の強い希望で金沢に残った。その後、父の恋人が家に出入りしたりして(詳細は「父の日。」 )、父の子育ては経済的にも体裁的にも破綻し、母は私と妹を引き取った。そして正式に離婚した。

最初に親子4人で住んだのは東村山・八坂町の2Kのアパートだった。

大学を出ていなかった母にはよい就職口がなく、簿記の勉強をして事

もっとみる
父の日。(2017年6月18日記)

父の日。(2017年6月18日記)

父の日をお祝いしたことがない。母の日もないが。

父と母は私が小学3年生の秋に別居した。母は「養育費も何も要らないから、子どもだけは私に託して」とお願いしたのだが、父が許さず、話し合いの末、まだ保育園児だった弟だけを連れて東京に行ってしまった。当時父は37歳、母は32歳だった。

当日は私の遠足の日で、母のつくったお弁当と母が選んだお菓子を持って、卯辰山(石川県金沢市)に出かけた。遠足の記憶はまっ

もっとみる