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著…萩原朔太郎 絵…しきみ『猫町』

 最近よく異世界モノの作品を見かけますよね?

 漫画、小説、アニメに「異世界」と名のつく作品の多いこと多いこと…。

 このことから、いかに現代人が「異世界へ行きたい」と思っているかがよく分かります。

 きっとみんな現実世界のありさまに辟易しているのですね…。

 さて、この小説の主人公も、まさに現実世界にうんざりしているタイプ。

 ただし、主人公の場合、異世界モノの作品を楽しんでしばしの夢に浸るのではなく、別の「あるもの」を使って現実逃避をしてしまいました…。


 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。


 主人公が頼った「あるもの」。

 それはモルヒネやコカインです。

 薬物によってすっかり心と体にダメージを負ってしまった主人公は、医師のすすめで散歩を始めます。

 散歩の最中。

 主人公は奇妙な町へと迷い込みます。

 まるで悪夢が始まって、とりとめのない展開をして、スッと消えてしまい、また悪夢が始まる時のような…、そんな感覚に陥らせる町へと。

 本当はいつも見慣れている町なのに、薬物の後遺症による妄想のせいで、別の町に見えているのか?

 それとも、みんなが気づかないだけで、実は世界のどこかにそんな不思議な町があるのか?

 解釈は読者次第。

 あなたはどう思いますか?



 〈こういう方におすすめ〉
 主人公が日常から離れて、奇妙な世界に迷い込む小説を読みたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間〜1時間半くらい。

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