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感想 | ほりそう

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世の中の「もの」「こと」に関して、感じたこと / 想ったことを綴ります。
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記事一覧

撮れたもの/撮れなかったものは何か。(映画「成功したオタク」を観て)

ドキュメンタリー映画を鑑賞すると、職業柄、「取れ高」のことを考えてしまう。 インタビュア…

物語がない「物語」で、なにかが物語られようとすること。(映画「悪は存在しない」を…

先週金曜日、映画メディア「osanai」で映画「悪は存在しない」を紹介しました。書き手はエッセ…

弁護士・雲野六郎が鳴らした、職業人への警鐘(ドラマ「虎に翼」より)

NHK連続テレビ小説「虎に翼」を、毎日楽しみに観ている。 多くの視聴者と同様、主人公の寅子…

最悪から始める、最高の旅。(映画「わたしは最悪。」を観て)

走り書きとはいえ、さすがに昨日のnoteはおざなりだった。 ということで、改めて映画「わたし…

「わたしは最悪。」は、望みを失いも、歩み直せる映画だ。

映画「わたしは最悪。」、ユリヤの物語かと思えば、人によってはアクセル、アイヴィンの物語に…

「キル・ビル」に出会い直した。

映画をしっかり観るようになって、たびたび耳にする名前がクエンティン・タランティーノだ。 …

養老孟司が考える、ものがわかるということ

世界をわかろうとする努力は大切である 人生の意味なんか「わからない」ほうがいい この矛盾するふたつを携えながら、養老孟司さんの近著『ものをわかるということ』は記されていく。 子どものとき、勉強するのは何かを「わかる」ためだと思っていたのに、結局わかったことは何だろうか。その逡巡する気持ちを抱きながら、世間を見渡すと「わかった!」と喝破する言論で溢れている。そのたびにため息をつくのだが、養老さんは静かに語る。 「世界をわかろうとする努力は大切である。でもわかってしまっては

サバンナ・高橋茂雄が拾い上げた、宇多田ヒカルの音楽への向き合い方

バラエティ番組の出演者の役割について、ずっと僕は勘違いしていたかもしれない。 ・面白いこ…

まぜるな危険、「GOD」と「LAND」。(映画「ゴッドランド/GODLAND」を観て)

デンマークの植民地下だったアイスランドが舞台の物語。 デンマーク人の若き宣教師・ルーカス…

「万引き家族」で気になった3つのポイント(と自分なりの解釈)

久しぶりに是枝裕和監督の代表作「万引き家族」を鑑賞した。 作品の素晴らしさは言うに及ばず…

生まれ変わった、“現代”の「異人たち」

アンドリュー・ヘイ監督が手掛けた映画「異人たち」、傑作でした。 同じく2024年公開の映画「…

愛すべき、言行一致しない人間たち。(小川哲『君が手にするはずだった黄金について』…

昨年読んだ『地図と拳』から、小川哲ブームが続いている。 ブームとはいえ、たかだか小川哲さ…

自分で、自分の育て方を学んでいく(宇多田ヒカル)

4月10日、宇多田ヒカルさんがベストアルバム「SCIENCE FICTION」をリリースした。 メディア出…

(映画「マリウポリの20日間」を観て)

「マリウポリの20日間」 (監督:ミスティスラフ・チェルノフ、2023年) ── 先日行なわれたアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した本作。奇しくも、ウクライナ史上初のオスカーとなりました。 ジャーナリストであり、本作の監督を務めたミスティスラフ・チェルノフさんは「この映画が作られなければよかった」と受賞コメントを発表。 内容は、ウクライナ東部に位置するマリウポリにロシアが侵攻を開始した20日間の記録。当時、報道で断片的に目にしていましたが、改めて97分間の「映画