養老孟司が考える、ものがわかるということ
世界をわかろうとする努力は大切である
人生の意味なんか「わからない」ほうがいい
この矛盾するふたつを携えながら、養老孟司さんの近著『ものをわかるということ』は記されていく。
子どものとき、勉強するのは何かを「わかる」ためだと思っていたのに、結局わかったことは何だろうか。その逡巡する気持ちを抱きながら、世間を見渡すと「わかった!」と喝破する言論で溢れている。そのたびにため息をつくのだが、養老さんは静かに語る。
「世界をわかろうとする努力は大切である。でもわかってしまっては