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音楽レビュー『何度でも新しく生まれる』MOND GROSSO(2017)多彩な人選による魅力的なボーカルワーク


おかえり!モンド・グロッソ

モンド・グロッソの6作目のアルバムです。

前作『NEXT WAVE』('03)から
14年振りの作品となりました。

その間にも大沢伸一名義の活動はあり、
モンド・グロッソ名義の作品が
しばらくなかったのは、
特に理由はないそうです。

このアルバム以降は、
コンスタントに作品を発表しています。

日本語の歌詞で行く
きっかけを作った『ラビリンス』

本盤の大きな特徴は、
すべての楽曲にゲストボーカルを
フィーチャーしていることと、

全編にわたって日本語の歌詞が
付けられているところです。

モンド・グロッソといえば、
'90年代からハウスのサウンドで、
bird や UA といった女性ボーカルを
起用した英語の歌詞が印象的でした。

すべての歌詞を日本語にしようと
思ったきっかけは、

女優・満島ひかりが
ボーカルを務めた③の
トラックができた時のこと
だったそうです。

本盤の中でも特に③は、
特に求心力のある楽曲で、
アルバムの方向性を決める上で、
重要な楽曲だったのではないかと
思われます。

多彩な人選による
魅力的なボーカルワーク

アルバムを手掛ける上で、
「この人とやりたい」
というような強い意志はなく、

多くはスタッフの推薦で
ボーカルを決めていったそうです。

本盤を聴いて、
「さすが DJ もやる人は、
 曲順も絶妙だなぁ」
と思っていたんですが、

今回に関しては曲順も
スタッフに任せたそうです。

モンド・グロッソといえば、
かつてはバンドとして活動し、

そこから大沢伸一の
ソロ・プロジェクトに
変わった経緯があります。

決めつけかもしれませんが、
そういうアーティストというのは、
相当、エゴが強いんじゃないか
という印象を持っていました。

実際、本人のインタビューを読むと、
昔はもっとエゴが強かったそうです。

おそらく、キャリアを重ねる中で、
丸くなった部分があるのでしょうね。

本人もスタッフに任せて良かった
というようなことを言っています。

とにかくボーカルが多彩な人選で、
モンド・グロッソらしいサウンドに
よく馴染む bird(①)、UA(②)が
安定感を感じさせますし、

満島ひかり(③)、齋藤飛鳥(⑤)
といった意外な人選が、
新しい風を吹き込んでいます。

また、INOUE Hidefumi(④)の
絶妙に細野晴臣っぽい感じも
いいですね。

⑩の下重かおりのボーカルも
かなりオススメです。

ボーカルの低音と高音の差がある曲で、
特に高音部の響きが素晴らしいなぁ
と思っていたら、

この方は知り合いのエンジニアから
紹介された主婦の方だそうです。

とにかく、曲順も聴きやすく、
素晴らしいアルバムなので、
通して聴いてほしいですね。


【作品情報】
リリース:2017年
アーティスト:MONDO GROSSO
レーベル:cutting edge

【アーティストについて】
'91年に始動した
大沢伸一のソロ・プロジェクト。
('06年まではバンドとして活動)

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